未来を考えると胸がぎゅっと苦しくなるあなたへ ──不安な気持ちとやさしく向き合うために
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「このままでいいんだろうか」
「先のことを考えると、不安で眠れなくなる」
「うまくいかなかったらどうしよう…」
そんなふうに、まだ起こっていない未来のことを考えて、胸が締めつけられるような思いになったことはありませんか?
本当は、前向きに過ごしたいのに。
もっと気楽に毎日を送りたいのに。
気がつくとまた、不安な気持ちが心を覆っている。
もし今、そんな状態にあるとしたら──この記事が少しお役に立てるかもしれません。
不安は「心がちゃんと働いている」サイン
人間の脳には、「これから起こるかもしれない危険に備える」機能があります。
私たちの祖先は、「この先に獣がいるかも」「明日は食べ物が手に入らないかも」と最悪を想定して準備することで生き延びてきました。
つまり、不安は「生きる力」でもあるのです。
不安を感じるのは、心が過敏だからでも、あなたが弱いからでもありません。
だから、まずはこう考えてみてください。
「私の心は、ちゃんと働いてくれているんだな」
「未来に備えようとしてくれているんだな」
その気づきが、少しずつ心をやわらげてくれます。
不安を強めてしまう考え方のクセ
未来が不安になるのには、「脳の仕組み」だけでなく、日々の考え方のクセも関係しています。
白黒はっきりつけたくなる心
「成功する or 失敗する」
「大丈夫 or ダメ」
本当は未来にはいくつもの選択肢や可能性があるのに、つい私たちは極端な二択で考えてしまうことがあります。
実はこれ、「曖昧なものに耐えるのが苦手」な心のクセ。
結論が出ない状態が苦しくて、どこかで「答え」を見つけたくなってしまうのです。
でも、未来はグレーです。
「どうなるかわからない」からこそ、怖くなる。
これは誰にでも起こる自然な反応です。
不安を感じることは「心がちゃんと働いているサイン」でもあります。
だからこそ、「どうして私はこんなに不安なんだろう」と自分を責めてしまうよりも、「ああ、私の心は今、一生懸命に備えようとしてくれてるんだな」「不安を感じるのはおかしいことじゃないんだ」と、少しずつ受け入れてあげることが大切です。
◆頭の中でシミュレーションを繰り返す
「もしこうなったらどうしよう」
「でも、ああしたらこうなるかも」
考えても答えが出ないとわかっていても、ぐるぐると考え続けてしまうことがありますよね。
それは、脳が「考えることで安心しよう」としているから。
でも皮肉なことに、考えれば考えるほど不安が増して、どんどん出口が見えなくなる…
未来をぐるぐると考え続けてしまうとき、私たちの心は「今」からどんどん離れていってしまいます。
ではどうすればいいのかというと…
まずは、「あ、私、また未来に行ってたな」と気づいてあげるだけでOKです。
そして気づいた瞬間に、深呼吸をして、目に映るものや触れているものに意識を向けてみてください。
たとえば…
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手の中にあるマグカップの温かさ
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部屋の中に差し込む光
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窓の外で揺れている木の葉の動き
こうした“小さな今”に目を向けることで、脳が「今、ここにいていいんだ」と安心を感じ始めます。
まじめでがんばり屋さんほど、考えすぎてしまう
「失敗したらいけない」
「ちゃんと準備しなきゃ」
そんなふうに、一生懸命がんばってきたあなたほど、不安に備えようとして、頭の中で何度も未来をシミュレーションしてしまいます。
だけど、未来は予測通りには進みません。
どれだけ準備しても、思いもよらない出来事が起きたりします。
だからこそ、少しずつでも「今」に意識を戻す練習が、心のやすらぎに繋がっていくのです。
不安は「未来」にいるときに生まれ、
安心は「今」に戻ったときに感じられる。
そのことを、ほんの少し意識してみてくださいね。
子ども時代に根付いた「不安との向き合い方」
不安に敏感な人の多くは、子どもの頃に「安心できなかった」経験を持っています。
たとえば…
子どもの頃、「失敗してはいけない」「ちゃんとしなさい」と言われ続けて育ってきた方は、知らず知らずのうちに「失敗=否定されるもの」と捉えるようになってしまうことがあります。
そのため、大人になってからも、「間違えたらどうしよう」「ちゃんとできなかったら誰かに責められるかもしれない」と、いつも先のことを気にして不安を感じてしまうのです。
また、親がとても慎重な人だったり、過干渉だったりすると、「それは危ないよ」「ちゃんと先のことを考えて行動しなさい」といった言葉を何度も聞かされる場面があったかもしれません。
親なりの愛情や心配の表れだったとしても、子どもにとっては「世界は危険でいっぱい」「安心できる場所ではない」という感覚が心に刻まれてしまうことがあります。
その結果、何かを始めるたびに「十分に準備できていないと危ない」「常に備えていないと安心できない」と、無意識のうちに未来に対して警戒し続けるクセがついてしまうのです。
根っこにある気持ちは、もしかするとただ「誰かに認められたかった」「大丈夫だよ、と言ってほしかった」だけなのかもしれません。
一生懸命がんばってきたことを、ほんの一言でもいいから「えらかったね」と言ってほしかったり…。
でもその願いが叶わなかったとき、子どもは「私はまだ足りないんだ」「ちゃんと備えていないと愛されないんだ」と思い込んでしまうことがあります。
だから今、不安を抱えやすくなっているのは、決してあなたの心が弱いからではありません。
むしろそれは、これまでの人生を、がんばって、がんばって生き抜いてきた“強さ”の証なのです。
どうか、そのことを忘れないでいてくださいね。
不安がある自分をそのまま受け止める
将来のことを不安に思うのは、
それだけ「自分の人生を真剣に生きたい」と思っているから。
誰かとの関係に不安になるのは、
「その人とのつながりを大事にしたい」と願っているから。
「私は今、不安なんだね」
「怖がっているんだね」
「でも、それだけがんばっているってこと」
そうやって、自分の気持ちに静かに寄り添ってあげることは、心の中に安心を少しずつ育てていきます。
「こうあるべき」から自由になるために
もしかするとあなたの中には、「前向きでいなければ」「明るく生きなければ」「不安に負けちゃいけない」といった“理想の自分像”があるのかもしれません。
でも、毎日そんなふうに「こうあるべき」と自分を追い立てていたら、心はいつか疲れ果ててしまいます。
不安を感じるあなたも、
何もできないあなたも、
迷っているあなたも、
どれもあなたの一部で、どれも間違ってなんかいないのです。
未来のことを考えて、不安になるのは自然なことです。
今のあなたは、ただ「一生懸命、生きようとしている」だけ。
どうか、不安を抱えている自分にも
「ありがとう」「よくがんばっているね」と声をかけてあげてください。
あなたは、あなたのペースで大丈夫です。
少しずつ、少しずつ。
この先にある、やさしく穏やかな日々へと向かっていけますように。