傷ついた経験が、本音を閉じ込めてしまうとき ~それでも“伝えてよかった”と思える関係を信じて
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「本音を伝えると、関係が壊れてしまうかもしれない…」
「言いたいけど、言ったらどう思われるかな…」
「本音を言うのが怖い」
そんな不安を抱えたことはありませんか?
以前、勇気を出して気持ちを伝えたのに、相手の反応がそっけなくて、どこか距離ができてしまったように感じたり、そのときの後悔が今も心のどこかに残っていたり……。
今日は、そんなあなたと一緒に、「なぜ本音を伝えることが怖くなってしまうのか」ということ、さらには「どうしたらまた少しずつ心を開けるようになるのか」について、一緒に考えていけたらと思います。
伝えることへの恐れの正体
本音を伝えたとしても、「思ったような形で伝わらない」ことがあります。
そんな時、どこか自己否定に近い感覚が残ってしまうことがあるのです。
たとえば…
「私の言い方が悪かったのかな(自分の伝え方を責めてしまう)」
「我慢していればよかったのかもしれない(我慢できなかった自分を責めてしまう)」
「言わなければ良かった(言った自分を責めてしまう)」
それだけではありません。
本音を言うことで「嫌われたくない」「責められたくない」という怖さも出ることがあります。
本当は、「本音を言ったあなた」が悪いのではありません。
本音を言う自由は、誰にでもあります。
言ったあなたがダメだったのではなくて、相手が受け入れてくれなかっただけ。
それは、あなたの問題ではなく、相手の問題なのです。
伝えること=関係を壊すリスク
- 「本音を伝えない方がいい」
- 「本音を言いたいけど、言えない」
そう感じるのはきっと、あなたがこれまで何かを伝えて傷ついた経験があるから。
そのときの痛みを、心がまだ覚えているからこそ、身構えてしまうのです。
本当に“あなたのせい”だったのか?
本音が伝わらなかった時に「言った自分」を責める人は多いのですが、本当は自分を責める必要はないのです。
なぜなら、本音を伝えることは「相手との共同作業」だから。
受け取る側にも「受け取る力」や「理解しようとする気持ち」が必要なのです。
関係が崩れたのは、あなたの伝え方のせいではなく、「本音を受け止められるだけの関係性ではなかった」だけなのかもしれません。
もしかするとその関係は、あなたが無理をしないと保てないものだったのかもしれません。
本音を出すことで壊れてしまったなら、それは“本音を出せば壊れる関係”だったということ。
それは決して、あなたの失敗ではありません。
伝えずにいることで、壊れてしまう関係もある
- 「言わない方が平和」
- 「我慢していれば丸くおさまる」
そう思って、気持ちを飲み込んだ経験はありませんか?
たしかに、本音を言わずにいられれば、相手を傷つけずにすむかもしれません。一時的には関係がうまくいっているように見えるかもしれません。
でも…
飲み込んだ気持ちは、ちゃんと心の奥に残り続けます。
- 「なんで私ばかり我慢しているんだろう」
- 「これって、本当に信頼できる関係なのかな」
―そんな小さな違和感が、少しずつ積み重なっていき、ある日突然、心がぷつんと糸が切れたように疲れてしまいます。
「いい人」でいようとするあまり、自分をすり減らしてしまっているのは、あなた一人だけだった…
―そんなふうに感じる瞬間が、何より人の心を傷つけ、疲れさせてしまいます。
本音を伝えることは、わがままではありません。
むしろ、“伝えずにいること”の方が、関係にひずみを生んでしまうことがあるのです。
本音を伝える5つの手法
もしあなたにも「わかり合いたい」「伝えたい」と言う気持ちがあるのなら、次のような工夫を取り入れることで『本音が伝わりやすくなる』かもしれません。
「アイメッセージ」で自分の気持ちを主語にする
たとえば「あなたのせいで嫌だった」ではなく、「私は寂しく感じた」と表現することで、相手を責めることなく、自分の本音を穏やかに伝えることができます。
伝える「タイミング」を選ぶ
相手が疲れているときや、気持ちに余裕がないときは、受け取りにくいこともあります。あえて少し時間を置いて、「今少しだけ話してもいいかな?」と、前置きしてから話すのもひとつの方法です。
「目的は責めることではない」と自分に確認する
本音を伝えるとき、自分の中に「わかってほしい」という願いがあることを意識しておくと、自然と話し方も柔らかくなり、相手との対話がスムーズになります。
一気に言おうとせず「スモールステップ」で伝える
すべてを一度に伝えなくても大丈夫です。たとえば「最近ちょっとモヤモヤしてて…」というように、“前置きだけ”を伝えてみるのも、れっきとした第一歩です。
話す前に「自分の気持ち」をノートに書いてみる
話すのが怖いときは、まず紙に書いてみるのもおすすめです。「どこが一番伝えたいことなのか」「何に不安を感じているのか」を整理することで、自分自身の気持ちにも優しく寄り添えるようになります。
そして覚えていてほしいのは―
「これを言ったら終わる関係」ではなく、「これを言って初めて始まる関係」も、たしかに存在するということ。
あなたの本音を、ちゃんと受け取ってくれる人は、きっといます。その出会いを信じて、少しずつでいいので、心の扉を開いていけたらと思います。
Pocheメールカウンセリングも、その1つ。
身近に出会いがなければ、そのことも思い出していただければと思います。
過去に傷ついた経験があるあなたへ
「言ったことで傷ついた」
「だから、もう誰にも気持ちを見せたくない」
そんな経験をしてきたあなたが、「もう一度、本音を伝えてみようかな」と思えるまでには、きっとたくさんの時間と勇気が必要だと思います。
だからこそまずは、過去の自分にこう声をかけてあげてください。
「よく頑張ったね」
「本当は、怖かったんだよね」
伝えられなかったのは、あなたが弱いからじゃありません。
それは、そのときのあなたが自分を守ろうとしてくれた、立派な“強さ”だったのです。
これからは、小さな一歩から始めていきましょう。
たとえば、自分の気持ちをノートに書く。誰かに「しんどいな」とつぶやいてみる。そうやって少しずつ、「言っても大丈夫だった」という記憶を心に増やしていけたら―
きっとあなたの中に、また新しい信頼が育っていきます。
まとめ
本音を伝えることは、壊すことではなく、「築くこと」。
もしそれで関係が壊れてしまったなら、それは“無理をしないと続かない関係”だったのかもしれません。
あなたの気持ちは、大切にされていいものです。
我慢しなくても成り立つ関係、ありのままのあなたでいられる関係は、必ずあります。
だからどうか、自分を責めないでいてください。
そして、自分の心にそっと耳を傾けながら、
少しずつ、“本当の自分”でいられる場所を育てていってくださいね。