もう大人なのに、まだ親の言葉が頭から離れない──それは“弱さ”ではなく心の自然な反応です
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「もういい大人なのに、まだ親の言葉に振り回されている気がする」
「いつまでも親の声が頭に残っていて、自分で決めるのが怖い」
そんなふうに感じることはありませんか?
社会人になって自立していても、親元を離れて暮らしていても、親との関係がそれほど悪くなくても……
ふとした瞬間に心の中で“親の声”がよみがえることがあります。
「そんなことして、恥ずかしくないの?」
「もっとちゃんとやりなさい」
「どうして他の子みたいにできないの?」
──大人になった今も「親に言われるから気になってしまう」こともあれば、子どもの頃に言われた言葉が「頭の中から消えない」こともあります。
なぜ、こんなにも深く、長く、心に残り続けてしまうのか…?
今日はそのことを少し、お話しできればと思っています。
親の言葉がなぜこんなにも残るのか
なぜ大人になった今も、親の言葉がこれほど残ってしまうのか…。
それは、子ども時代の私たちにとって「親の言葉が世界のルール」だったからです。
人は、小さければ小さいほど、身近な大人の言葉を信じて吸収します。
特に、親や養育者の言葉は、愛されるため、生きていくために必要な“指針”として心に刻み込まれていきます。
何も知らない子どもだからこそ、「それが正しいんだ」「そうしなきゃいけないんだ」と何の疑いもなく自分の心に取り込んでしまうのです。
「しつけ」や「教育」といった親なりの意図があったとしても、子どもにとっては「私がこうしないと愛されないんだ」と受け取ってしまうことも少なくありません。
「できない自分はダメなんだ」
「失敗すると怒られる」
「自分の気持ちより、親の機嫌が大事」
「いい子じゃないと愛されない」
このような思い込みが、心の奥深くに根づいてしまうことがあります。
ただし、
ここでこのようなお話をしたのは、親のせいだとか、親が悪いとか、そういう話をしたいからではありません。
「身近な大人の言葉は残りやすい」ということ。さらには、「なぜ身近な大人の言葉が残るのか」ということを知ってもらうことで、「大人になっても親の言葉に縛られているとしても、あなたはダメじゃない」と伝えたかったからなのです。
それは“考えて”覚えるというより、“感じて”染み込んでいった記憶。
大人になった今、頭では「そんなことない」「もう昔のことだ」とわかっていても、心がついてこないことがあります。
「もう大人なのに、まだ親の影響を受けている自分が情けない」
そう思ってしまう人もいるかもしれません。
事実私の元には、このように悩み苦しみ、自分を責めてしまう人がたくさん相談に訪れます。
でもそれは、過去を引きずっているのではありません。
未だに執着しているとか、前に進めていないとか、そういうことでもありません。
もちろん、情けないことではありません。
それだけ一生懸命に、親の期待に応えようとしてきたという証です。
誰よりもがんばって、いい子でいようとしたのかもしれません。
誰かに迷惑をかけないように、親に認めてもらえるように、褒めてもらえるように、頑張ったのかもしれません。
嫌われるのが怖くて、一生懸命親に合わせてきたのかもしれません。
──その結果として、今も心に“親の声”が残っているだけなんです。
それは責められることでも、恥ずかしいことでもありません。
「もう振り回されなくていい」その一歩を踏み出すために
とはいえ、過去の親の言葉に縛られていることで「生きづらさ」を感じている人がいるのも事実です。
たとえば…
・自分の気持ちが分からない
・何かを選ぶとき、いつも不安
・誰かの視線が気になって苦しくなる
このようなしんどさは、「過去の言葉」や「親の価値観や思考」が影響を与えやすい部分です。
そんなあなたに、今日からできる“小さな心の練習”を3つお伝えしますね。
① 親の声と、自分の声を分けてみる
ノートに書き出すのがおすすめです。
「◯◯しなきゃって思ったけど…これ、本当に私が思ってること?」
「これは“あの頃の親の声”かもしれない」
そうやって、頭の中の言葉を“誰のものか”見分けてみることで、
少しずつ“自分自身の声”を取り戻していけます。
②「親はそう思った。でも私はどう思う?」と問い直してみる
親の価値観は、必ずしも“正しい”とは限りません。
親の生きてきた時代や、育ち方、性格によって「当たり前」も違います。
「親はそう言っていた」=「それが絶対の正解」ではないんです。
「親がそう言ったこと」に飲み込まれそうになったら、「でも、私はどう感じてる?」と、心に問い直してみてくださいね。
③ 「いまの私が、昔の私を守ってあげる」と意識してみる
あなたは今、もう親の言葉に従わなくても、生きていける年齢になっています。
だからこそ今のあなたが、その頃のあなたにそっと声をかけてあげてほしいんです。
「もう、大丈夫だよ」
「あなたの感じ方はまちがってなかったよ」
「今は、私があなたの味方だよ」
そんなふうに、心の中の“小さな自分”を安心させてあげることで、少しずつ、心は自由になっていきます。
最後に
親の言葉に縛られるのは、弱さではありません。
それだけ一生懸命に「愛されよう」「認められよう」と生きてきた証です。
だからこそ、親の声に振り回されて苦しくなったときは、
「これは私が悪いのではなく、そうやって育ってきた心の反応なんだ」と
そっと理解してあげてください。
そして、
あなたの人生は「親の言葉」によって決められるものではなく、
“今のあなた”が、これからゆっくりつくっていけるものだということを、どうか忘れないでいてくださいね。
必要なときには、あなたの気持ちを整理するお手伝いをカウンセラーという立場からも、いつでもさせていただきます。
あなたが「自分の声」を大切にできる日が、少しずつ増えていきますように。