実家が苦手と感じるあなたへ 〜そう思う自分を責める必要はない理由
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
突然ですがあなたには、このように感じることがありますか?
- 実家でリラックスできない
- 実家に帰る数日前から、気が重い
- 実家は嫌いではないが、気を遣うから疲れる
- 親に本音を言えない
ここでお伝えしたいのは、このようなことが当てはまるのがダメだということではありません。
実家に帰るのが苦手でも、嫌でも、気が進まなくてもいいのです。親が悪いとか、子どもが悪いとか、そういうことではありません。
でもこのようなことが当てはまっているのだとしたら、実家に帰りたくないのはあなたのワガママなんかではありません。
あなたと親の間に「親子の役割逆転」が起こっている可能性があります。
親に申し訳なさを抱いている人や、自分が冷たいのでは、親不孝なのではと罪悪感を抱いている人に、「そんなことはないんだよ」ということをお伝えしたくて今回のブログを書いています。
※このブログは音声サイトVoicyでも配信しています。
親子の役割逆転とは
親子の役割逆転というのは、その名の通り親と子の役割が入れ替わってしまうことです。
……とお伝えすると、親にはちゃんと育ててもらったし、家事もやってもらったので「親子の役割逆転は起こっていないと思うのですが」とおっしゃる方がたくさんいます。
でも、役割が入れ替わるのは物理的な面だけではありません。
精神的な面で親と子が入れ替わることがあります。
親にご飯を作ってもらっていても、掃除や洗濯といった家事を世話してもらっていたとしても、働いて養ってもらっていたとしても、精神的な面では親子の役割逆転が起こっているケースはとても多いのです。
子どもは、親に甘えます。
でも親子の役割逆転が起こっていると、親が子に甘えます。
「ねえ、お母さん聞いて!」と親に話を聞いてもらったり、子どもが失敗した時に親が励ます関係がいわゆる親子です。
でも親子の役割逆転が起こると、子どもが親の愚痴を聞かなくてはいけません。落ちこんだ親を子どもが励ましたり、イライラした親を子どもがサポートすることもあるでしょう。父親の代わりに母親の話を聞いたり、母親の代わりに父親の機嫌を取ったり、子どもが家族のバランスを取ることもあります。
ここでお伝えしたいのは、親の愚痴を聞くのがダメだということではありません。
親を励ましたり、親を助けたのが良くなかったということでもありません。
あなたが親の話を聞いたり励ましたりしてきたのは「そうしてあげたい」と心から願っていたか、その当時は「そうするしかなかった」とあなたが感じたからです。
いずれにせよ当時のあなたは、小さな体で一生懸命頑張ってきたはずです。
だから過去の親子関係や、過去の自分の行動を責める必要はありません。
私があなたにお伝えしたかったのは、「子どもでありながら、大人のようなことを頑張ってきたのかもしれない」というひとつの可能性について。
今あなたが「実家に帰るのが苦手だ」と感じているのも、実家でくつろげないのも、あなたが精神面で大人のように頑張ってきたからかもしれないということなのです。
実家が「心の安全基地」かどうかの違い
本来実家は、子どもの心の安全基地です。
子どもの頃に子供らしく過ごせていれば、大人になって実家に帰るのは「楽」だと感じるはずです。自分を偽らず、ありのままでいられる場所だからです。
でも親子の役割逆転が起こると、実家は「安全基地」とはほど遠くなります。
ありのままの自分では親を怒らせたり悲しませたり否定されてしまうので、「親が喜びそうな子ども像」を演じなければいけないこともあります。
親に気を使わなければいけないので、リラックスするどころか疲弊してしまいます。親を傷つけないように、悲しませないように、怒らせないように、面倒なことにならないように、気を張るので疲れてしまいます。
…とお話しすると、「そもそもなぜ親子の役割逆転というものが起こるのか」「私(子ども)のせいなのでは?」と質問されることがあります。
考えられる原因はたくさんあるのですが、一番可能性が高いのは親子逆転をした親自身が、親の愛に飢えている可能性です。
「自分の親に愛して欲しかった、認めて欲しかった、だけど叶わなかった」という心の穴を自分の子どもを使って埋めようとしてしまうことがあります。
多くの場合、親は無意識です。
辛い気持ちは抑え込まない方がいい
私がここでお伝えしたいのは、「親も可哀想な人だから許してあげましょう」ということではありません。
「親の事情を理解して受け止めてあげましょう」ということでもありません。
それはそれ、これはこれです。
確かにあなたのお母さんは、十分に愛されてこなかったかもしれません。
つらい状況で育ち、愛情が欲しいという悲しみを抱えたまま生きてきたかもしれません。かわいそうな人なのかもしれません。
でも、お母さんが苦労したことと、あなたを苦しめることは全くの別問題です。
優しい子ほど「なんとかしてあげたい」「笑顔でいてほしい」と、自分のことよりお母さんのことを優先するようになります。
頑張り屋さんな子ほど「しっかりしなきゃ」と、小さな体で責任を背負い込みます。
親子逆転の影響が強ければ強いほど「お母さんはかわいそうだから」「お母さんも苦労してきたから」と子どもは自分を抑え込んでしまうのです。
…でも思い出してみて下さい。
子どもの頃のあなたは、苦労しませんでしたか?
子どもの頃のあなたは、我慢ばかりしていませんでしたか?
お母さんが苦労したり我慢したのと同じように、実はあなたも「苦労したり我慢してきた」はずなのです。
お母さんに同情してはいけない、と言っているのではありません。
お母さんをかわいそうだと思うがダメだ、と言っているのもありません。
お母さんのために何かしてあげるのがよくない、ということでもありません。
同情しても良いし、可愛そうだと思ってもいいし、お母さんを優先してもいいけれど、だからといってあなた一人が苦しみ続ける必要は無いということに気がついて欲しいのです。
あなたが傷ついて当然の理由なんて、どこにもありません。
親があなたを傷つけていい正当な理由も、ないのです。
もしかするとあなたは、これまで「実家に帰りたくない」と思う自分を責めてしまっていたかもしれません。
今回お伝えしたかったのは、そんなあなたが冷たいとか、親不孝だとか、ダメだというわけではないということです。
帰りたくなる家なのかどうか、それだけの差だということです。
実家に帰るのが嫌だと思っているあなたが、「実家に帰るのが嫌だと思う理由がちゃんとあるのだ」ということに気づけますように。
そう願いながら今回のブログを書き進めました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
※このような親子問題の過去の影響については、現在発売中の著書「あなたはもう、自分のために生きていい」でもまとめています。過去にカウンセリングを受けたことのある方には、こちらがおすすめです。
過去を振り返るのはしんどいなぁ…という方には、「あなたのしんどい心をほぐす」が読みやすいかなと思います。