「もしもあの時…」「もしも、もっと恵まれていたら…」—過去を悔やむ気持ちを少しずつ手放すために
こんにちは。
心理カウンセラーのPocheです。
✅ 「もしも、あの時こうだったら…」
✅ 「もしも、あの人が違う対応をしてくれていたら…」
✅ 「もしも、もっと恵まれた環境で育っていたら…」
ふとした瞬間に、そんな「もしも」の世界を考えてしまうことはありませんか?
こんなふうに「過去が違ったら…」と考えてしまうことは、ごく自然なことです。
むしろ、それだけ あなたが今の苦しみをちゃんと理解しようとしている証拠 でもあるんですよ。
「もしも」に囚われると苦しくなる理由
なぜ「もしも」を考えすぎると、辛くなってしまうのでしょうか?
ここでは、3つの可能性についてお伝えしますね。
① 「もう変えられないこと」だから
過去を振り返ることは、自分を理解するためにとても大切なことです。ですが、「もう変えられないこと」に目を向けすぎると、その事実が苦しみを生んでしまうことがあります。
ここでは「もう変えられないこと」に悩む、2人の相談者の事例をご紹介します。
「学生時代、ずっと憧れていたことがあったのに、親や周りの目が気になって挑戦できませんでした。『あの時、勇気を出していれば…』と今でも後悔してしまいます。SNSで同じ夢を叶えた人を見かけると、『私は何をしていたんだろう…』と落ち込んでしまいます。」
この相談者の場合は、「過去の自分も、その時できる範囲で頑張っていた」と考えることで、後悔から抜け出しました。後悔が消えたことで、自分を責めることがなくなったといいます。
「就職の時、迷った末に選んだ道。でも、最近になって『もし違う道を選んでいたら、もっと楽しく働けていたのかな?』と考えてしまいます。昔の同級生が別の業界で活躍しているのを見ると、『私もそっちを選んでいたら…』と比べてしまい、今の自分に自信が持てません。」
この相談者の場合は、親が勧めた道に進んだこともあり、「本当は別の業界に行きたかった」と誰にも打ち明けられずにいました。
メールカウンセリングでその思いを吐き出すだけでスッキリし、さらには親に対するモヤモヤについても本音を聞いてもらうことで、「今の私でもいい」「理想と違うけど頑張ってる」と自分を肯定できるようになったといいます。
二人の相談者のような思いが湧いてくるのは、それだけあなたが真剣に生きてきた証拠でもあります。
変えられないからこそ、悩んでしまう。
変えられないからこそ、「もしも」と期待してしまう。
まずはその自分の苦しみや葛藤をそのまま受け止めてみることが、次に進むための第一歩です。「過去の自分がいたから、今の自分がいる」と考えてみるだけでも、ほんの少し、心が軽くなるかもしれません。
②「今の自分」まで否定してしまうから
「子どもの頃、親は厳しくて、いつも『ちゃんとしなさい』『もっと努力しなさい』と言われて育ちました。褒められた記憶はほとんどなくて、『もっと自由に育ててもらえていたら、私は今より自信を持てていたのかな?』と考えてしまいます。幸せそうに生きている人を見ると、『私は環境に恵まれなかったから、今も生きづらいのかも…』と思ってしまい、なんだか虚しくなります。」
過去の環境が今の生き方に影響を与えているのは事実ですが、それがすべてではありません。今のあなたの価値を決めるのは「過去」ではなく「これから」です。
上記の相談者の場合は、「過去がどうであれ、あなたは今までたくさんの困難を乗り越えてここまで生き抜いてきた」ということを伝え、一緒に「今の自分」を肯定することで、自己肯定感を育てていきました。
「自分で自分を認められない」場合には、他人に自分を認めてもらうことで「自分を認められるようになる」こともあるのです。
「もしも」を考えると、どうしても「今の自分には何かが足りない」と感じてしまいやすいですが、そうではなく、「今の私がいるのは、これまでの経験があったから」と捉えてみるのも一つの方法です。
あなたは、過去にどんなことがあっても、今ここにいる。それだけでも、あなたの存在には十分な価値があります。
③「未来への不安」を強めてしまうから
「私は昔から、人間関係がうまくいきません。学生時代も、職場でも、なんとなく孤立してしまうことが多くて…。『どうせ私なんて、誰からも必要とされない』と思うようになりました。今、新しい環境に行っても、『また同じことになるんじゃないか』『どうせ馴染めない』と不安ばかりで、人と関わること自体を避けるようになっています。」
「何をやっても続かなくて、自分に自信がありません。ダイエットも勉強も、新しい趣味も、途中で挫折してばかり。『どうせまた続かないんだろうな』と思うと、また失敗するんじゃないかと思うと怖くて、何もできなくなってしまいました。」
このような不安を抱く人が増えています。
過去に辛い経験があると、どうしても「また同じことが起こるかもしれない」と警戒してしまうものなのです。
でも、未来は、まだ何も決まっていません。
過去と未来は違います。
あなたが「変わりたい」と思ったその瞬間から、未来は過去とは違うものになっていくのです。
あなたは今、この記事を読んでくれています。記事を読むというのも、立派な「行動」の1つ。
その時点で「もしも」から抜け出す第一歩を踏み出そうとしている、といってもいいはずです。
「この記事をここまで読んでくれた」という今の状況そのものが、「もしもから抜け出す新しい一歩」だと信じてみてくださいね。
あなたは、あなたの人生を生きていい
「もしも、あの時こうだったら…」
そう考えてしまうのは、それだけ あなたが今を大切にしたいと思っているから。
過去を振り返ることは、あなたが「どう生きてきたのか」を知るための、大切な作業です。
でも、そのことに疲れてしまった時には、過去を振り返りながらも少しずつ 「これからどう生きたい?」 に目を向けてみてください。
未来は、あなたのものです。
あなたは、あなたの人生を生きていいのです。
どうか、あなたがこれからの人生を、少しずつでも 「自分のために」 生きられますように。