「いい人症候群」とは?自分を犠牲にしない生き方への第一歩
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日お伝えするのは「いい人症候群」について。
あなたは日常的に、次のように感じることはありますか?
もしもこれらに心当たりがあるなら、「いい人症候群」に陥っているのかもしれません…!
- 頼まれると断れず、つい無理をしてしまう
- 「どう思われるか」が気になり、自分の本音を隠してしまう
- 他人に尽くしてばかりで、自分が疲れていることに気づかない
いい人症候群の原因
「いい人症候群」は、以下のような背景から生まれることが多いと言われています。
なお、原因は1つではなく、複数当てはまることも珍しくありません。
1. 幼少期の家庭環境
- 厳しい親や期待が大きい家庭で、「いい子」でいないと愛されないと感じていた。
- 親の機嫌を取るために、我慢や迎合が身についてしまった。
2. 自己肯定感の低さ
- 「自分には価値がない」と感じるため、他人の評価や承認を必要以上に求めてしまう。
3. 社会的な影響
- 「他人を思いやることが美徳」とされる環境で育つと、「自分を優先すること=わがまま」と感じてしまう。
いい人症候群とは?
「いい人症候群」とは、他人から「いい人」と思われたい気持ちが強すぎて、自分を犠牲にしてしまう状態のこと。病気ではありません。
ですが…この状態が続くと、自分の感情や欲求を押し殺し、ストレスや孤独感を抱える原因になります。
いい人症候群の特徴として挙げられるのは、次の4つです。
他人の期待に応えすぎる
「友人から『この日、代わりに仕事をお願いできる?』と言われ、本当は自分の予定があったのに、気づいたら『うん、大丈夫だよ』と返事をしていました。頼まれると、『断ったら相手を傷つけるんじゃないか』『嫌な思いをさせるかも』と思ってしまい、どうしてもノーと言えません。後から、『なんで引き受けてしまったんだろう…』と後悔するのに、次もまた同じことを繰り返してしまいます。」
相談者は、「断ることが、まるで悪いことのように感じてしまうんです。でも、本当はもっと自分の気持ちを大事にしたいし、無理なことはちゃんと断れるようになりたい…」と悩んでいました。なぜ「悪いこと」のように感じてしまうのか…。
その原因は、子どもの頃、親に『頼まれたことはちゃんとやりなさい』と言われて育ってきたことにありました。
この教えそのものが、悪いのではありません。
ですが、「過去に親に言われた一言」を守り続けた結果として、自分自身をひどく苦しめてしまうことがあるのです。
相談者の場合はその事実に気づき、「今はそこまでして守れなくていい」と思うことで、少しずつ楽になっていきました。
自分の本音を隠してしまう
「友人とご飯を食べに行くとき、『どこに行きたい?』と聞かれても、『どこでもいいよ!』と答えてしまいます。本当は食べたいものがあるのに、『私が決めていいのかな?』『相手の希望に合わせたほうがいいよね』と思ってしまい、つい相手に合わせてしまうんです。
何かを決めるとき、ふと『私は本当は何がしたいんだろう?』と考えるけれど、答えが出てこなくて…。私は、自分の気持ちをどうやって知ればいいんでしょうか。」
相談者は、「大人になった今でも、自分の本音がわからない」と悩んでいました。言いたいのに言えない、言おうとしても「言いたいことが分からない」状態だったのです。
相談者の場合は、子どもの頃から、親の機嫌を損ねないように生きてきました。
『そんなこと言うんじゃない』『わがままを言わないの』と言われるたびに、「自分の意見を言うのは良くないことなんだ」と思うようになっていったのです。
他人の評価を気にしすぎる
「いつも周りの目を気にしてしまいます。誰かにどう思われるかを考えすぎて、自分が本当は何をしたいのかわからなくなることがよくあります。例えば、着たい服があっても『似合わなかったらどうしよう』『変だと思われないかな?』と考えてしまい、結局無難な服ばかり買っています。
あとは・・・誰かに褒められるとホッとするけれど、批判されると落ち込みが止まりません。直接何かを言われなくても、『褒められない=私はダメなんだ』と思ってしまうんです。職場で同僚が上司に褒められているのを聞くと、『どうせ私は…』と悲観的になっちゃうんです。」
褒められると安心し、批判されると深く傷つく。直接批判されなくても「褒められない=ダメ」と思うこと、自分以外の誰かが褒められた時に、「どうせ私は…」と悲観的になる。
相談者の場合は、子どもの頃から『ちゃんとしなさい』『周りに迷惑をかけないように』と言われ続けてきたせいで、自分の気持ちよりも他人の評価を優先する癖がついていました。
自己犠牲的な行動をする
「いつも周りの人を優先してしまいます。誰かが困っていたら手伝うし、頼まれごとは断れません。『助けてあげたい』という気持ちもありますが、それ以上に、『断ったら嫌われるかも』『冷たい人だと思われたくない』という不安が強いんです。
気づけば、自分の時間もエネルギーも削られて、ヘトヘトになってしまいます。本当はゆっくり休みたいのに、『休むなんて甘えかも』『もっと頑張らなきゃ』と、自分を追い詰めてしまいます。」
相談者は、子どもの頃から『人に迷惑をかけてはいけない』『いい子でいなさい』と言われ続けてきたせいか、無理をしてでも相手に尽くすことが当たり前になってしまいました。
「でも、本当はもっと、自分を大事にする生き方をしたい。」という想いを叶えるため、「小さなものを断る」という練習を一緒に行いました。断っても嫌われないし、冷たい人だと思われない…そんな安心感を積み重ねていったのです。
月に1回のカウンセリングも3回目に差し掛かった頃には、「断り方も上手になってきた」と嬉しそうに報告してくれました。さらには、「断れるようになったから、引き受けるストレスも減ったんです。引き受けるかどうか悩んで、自分で決めて「引き受ける」からなのか、前ほど「やらなきゃよかった」と思うこともなくなりました。」とのこと。
「しんどいなぁ」と思う思考や癖があったとしても、大丈夫。相談者のように、子どもの頃に身についた習慣は、少しずつ変えていけます。
いい人症候群、なおすべき?
冒頭でお伝えした通り、いい人症候群というのは「状態」を指し示す言葉で、病気ではありません。
結論からお伝えすると、「なおさなければいけない」というものではありません。
あなた自身が「いい人」でいることに困っていなければ、そのままで何の問題もありません。
ですが…
いい人で疲れてしまったり、いい人でいる弊害が生じている場合には、「いい人から抜け出す」選択肢も必要です。
無理を続けることで心身ともに疲労が溜まり、ストレスが増大し、最終的には体調を崩してしまうこともあるからです。
さらに、人間関係においても問題が生じやすくなります。
「いい人」として振る舞い続けることで、周囲から「都合のいい人」として扱われたり、自分の本音を押し殺してしまうために、不満や孤独感を抱え込むことが多くなります。
その結果、表面的には周囲と良好な関係を築いているように見えても、「誰にも自分をわかってもらえない」と感じる孤独感が強まる傾向があります。
あなた自身が「いい人症候群」から抜け出したいと感じているのなら、この先も読み進めていただければと思います。
最後に
「いい人症候群」とは、他人を優先しすぎるあまり、自分の感情や欲求を後回しにしてしまう状態です。
周囲の期待に応えようとするあまり、知らず知らずのうちに自分を犠牲にしてしまい、心身の疲労感や孤独感に苦しむ人も少なくありません。
でも、この状態から抜け出すことは十分に可能です。
まず大切なのは、「自分の気持ちを大切にする練習」を少しずつ始めること。
自分の感情に耳を傾け、「本当はどう感じているのか」「何を望んでいるのか」を意識することで、自分の軸を取り戻すことができます。
無理をして他人に合わせるのではなく、「今の自分にとって最も心地よい選択は何か」を考える習慣を持つことが、心の余裕を生み出す第一歩となります。
「自分を大切にする」ということは、決して自己中心的でわがままな行動を意味するわけではありません。
自分の心の声を尊重し、無理をせずに生きること。そして、自分の幸せを他人任せにせず、自分自身で築いていくということです。
小さな一歩でも、その積み重ねがあなたの心を軽くし、より自分らしく楽に生きる未来へとつながっていきます。