【毒親育ち】兄弟姉妹で子どもの扱いが違うのはなぜ?〜ターゲットにされる1人の子ども
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日の内容は、「兄弟姉妹で違う扱いを受ける子ども」というテーマです。
この記事の目的は、「親」の立場のあなたに向けて、「子どもを差別するのは良くない」と子育てを批判したり、「こんなふうに育てましょう」という子育てアドバイスをすることではありません。
親とあなたの関係、あなたの子どもの頃に起こった出来事について説明するものです。
すでに親になっている方もいらっしゃるとは思いますが、「あなたと親のこと」「子どもの頃のあなた」について、下記に当てはまるものがあれば読み進めていただければと思います。
- 自分ばかり怒られていた
- 自分だけいつも悪者にされた
- 自分だけ褒めてもらえないことが多かった
- 自分だけ損な役回りだったと感じる
- 兄弟姉妹の方が、自分より優遇されていたように思う
- いつも兄弟姉妹と比較されていた
たった一人ターゲットにされる子ども
「毒親」と呼ばれるような人たちが、自分の子ども全員をターゲットにするかといえば、そうとは限りません。
ネグレクトや育児放棄、暴力等の虐待については、子ども全員がターゲットになりやすいのですが、心理的虐待などのケースにおいてはたった一人の子どもだけが犠牲になることが多いです。
兄にだけ、弟にだけ、姉にだけ、妹にだけ……というように、ターゲットを一人に絞ります。兄弟姉妹全員に対して「毒になるような影響」を及ぼしているように見えても、そのうちの1人にだけ極端な負担がかかっていることは珍しくありません。
このようなことを書いた時に、「攻撃された子どもの側にも問題があるのでは」「いじめられる側にも問題があるのでは」と言われてしまうことがあります。
ですが、そのようなことは決してありません。
大人同士の関係ならば、相手に「従う」「従わない」の二択を自分の意思で選ぶことができます。
ですが、親と子の関係は違います。親子の関係、特に幼少期においては「子ども側の自己責任」はあり得ません。
小さな子どもの場合は、「親に従う」という選択肢しか与えられていません。
親に従わなければ、どうなるかを本能的に分かっているからです。仮に「親に従わない」を選んだとしても、強制的に親に従うことを余儀なくされるでしょう。
家庭という閉鎖的空間の中、それも「親と子」という絶対的な力関係の差がある状況において、子どもが出来ることは非常に限られているのです。
もしも、あなたが「たった一人のターゲット」にされた側だとしたら、伝えたいことがあります。
それは、あなたは悪くなかったということです。
親に大事にしてもらえた兄弟姉妹が良くて、あなたが悪かったのではありません。
親とうまくやっていた兄弟姉妹は良くて、あなたの努力が足りなかったわけでもありません。
あなたの性格や考え方がそんなふうだから、親が差別したのでもありません。
- 「自分がもっといい子なら」
- 「自分がもっと出来る子だったら」
- 「自分がもっと親の言うことを聞いていれば」
…このように自分を責める人が後をたちません。でも実は、あなたのせいではないのです。
親が勝手に、あなたをターゲットに選んだだけです。
このことが少しでも伝わり、過去の自分を責めることが減ることを願いこの先を書き進めていきます。
親はどのようにターゲットを選ぶのか
冒頭でもお伝えしたように、親子逆転を行う親はターゲットを決めます。
兄弟姉妹がいる場合は、そのうちの一人が犠牲になることが多いです。上の子どもが犠牲になることもあれば、下の子どもが犠牲になることもありますが、どの子が犠牲になるのかを決めるのは「親」です。
一概にはいえませんが、これまでの何千という親子問題の相談を見ていると、日本においては特に「上の子ども」が被害に遭うことが多いように感じます。
上の子ども以外がターゲットに選ばれやすいのは、「優しい」「まっすぐ」「真面目」「責任感が強い」「家族を大切に思っている」といった傾向が見られる子どもです。
親は自分を攻撃しない優しい子ども、さらには自分の言うことを生きてくれるような素直な子どもを選びます。
次に挙げるのは、3人姉妹の長女Aさんの例です。
毒親育ち系の漫画を見ていると「親に褒められたことがない」というものがありますが、私はそうではありません。「あなたがいて助かった」「私にはあなたしかいない」そんなふうに褒めてくれたことはあります。
でも、『私自身』を見てくれたと思ったことはありません。親が私を褒めてくれるのは、親のため、妹のために頑張った時だけ。子どもの頃は気づけなかったけど、大人になった今は「本当の意味で、褒められたことはない」と感じています。
自分が好きなことをしたり(お絵かきをしたり)、テストの点が良かったからといって、褒められたことはありません。むしろその逆で、「そんなことしている暇があったら…」と怒られたり、「あなたはいつも自分のことばかり」「自分勝手」と批判されてしまいました。ああ、私のことなんて興味がないんだなって。
それなのに、何かあるといつも私に連絡をしてくるんです。母が入院した今も……「あれをもってきてくれ」「これを洗ってくれ」といった雑用から、不満や愚痴の聞き役まで、すべて私です。なんでいつも私なの、私だって忙しいと言ったら、「妹たちには迷惑をかけたくない」ですって。お母さんのために頑張っていたのは、今も昔も私の方なのに、お母さんは「妹たち」を大切にするんです。
それで私、思い出したんです。
子どもの頃、お母さんに甘えたいと思った時に拒否されたことを。「お姉ちゃんなんだから」「もう小学生なんだから」と言われたのに、妹たちは小学生になっても親に甘えていたことを。
私と妹たちで、何が違ったのだろう?と、今思い出しても胸が苦しくなります。妹みたいに可愛かったら大切にしてもらえたのかな、もっと明るい性格だったら好きになってくれたのかなって…。
妹のようにワガママを言えたら…
弟のように上手に甘えられたら…
兄のように勉強ができたら…
姉のように明るい性格だったら…
あなたもAさんのように、「私が〇〇なら、親は私に優しくしてくれたのでは」「私が〇〇すれば、親は私を認めてくれたのでは」と考えることがあるかもしれません。
「ターゲットに選ばれたのは私の性格のせいでしょうか?」とおっしゃる相談者は、非常に多いのです。
ですがこの思考こそが、親が悪いことでさえ「自分が悪かったから」と思わされてしまうことそのものが、親に植え付けられた無意識の罪悪感です。
繰り返しになりますが、親があなたをターゲットに選んだのも、あなたを認めてくれていないように感じたのも、あなたのせいではありません。
親が高齢になると「束縛」は加速する
親からの攻撃が、成人してもなお続くケースは珍しくありません。
攻撃の種類によっては、成人してからの方が強烈になることもあります。
例えば、「束縛」がその1つです。
親の愚痴の聞き役になってあげていたり、親のために動いてあげていたり……親を支えるような立場になっている子どもの場合には、親が高齢になるにつれて束縛が加速します。
高齢になった親は、以前のように怒鳴り散らすことはなくなるかもしれません。年齢とともにパワーが衰えるのが一般的です。
一見すると「子どもの頃見ていた親より、穏やかになった」「落ち着いた」と感じることもあるでしょう。
確かに、そのようなケースもあります。
ですが多くの場合は、親の攻撃手段が変化しているだけです。年齢とともにパワーが衰えたから、「怒鳴り散らす」以外の手段を使うようになっただけなのです。
それ以外の可能性としては、「大人になったあなたら、怒鳴るだけではいうことを聞いてくれない」と親側が察することもあります。
すると、拗ねたり、不機嫌になったり、不安そうにしたり、恩着せがましいことを言ったり、罪悪感を持たせたり……子どもを自分の思う通りに動かすために、親はあの手この手を使います。
子どもの性格を熟知している親の場合は、「この子はコレをすればいうことを聞く」というのが分かっています。だから、あなたが最も親のいうことを聞くであろう手段を使って、あなたをコントロールしようとします。
例えば…
優しい子には、情に訴えます。罪悪感を抱かせて、「親の要求を断ること」を防ぎます。
責任感のある子には、「〇〇さんの家は〜」など他者と比較したりします。
自己肯定感が低い子には、否定的な言葉を浴びせて思い通りに動かそうとします。
大人になってもなお、子どもを苦しめ続ける親というのは、「子どもはどんなことでも親の言うことを聞くべき」「親が正しい」「子どもは親に恩返しすべきだ」と考えていることが多いです。
だから、親の要求に終わりはありません。
どれだけ親の要求を叶えてあげても親は満足せず、「もっともっと」「まだ足りない」とあなたに求め続けます。
もしもあなたが、子どもの頃から「ターゲットにされていた」と感じるのなら、その役割から降りてもいいのだと自分自身に伝えてあげてください。
あなたがその役割から降りることで、別の兄弟姉妹に矛先が向く可能性はゼロではありませんが、そのようなことは一旦考えず、「まずは自分のこと」について考えてあげてください。
兄弟姉妹に申し訳ない、兄弟姉妹が可哀想なのでは…と思うこともあるかもしれません。
でも、あなたは長年、一人で親の攻撃を受け続けてきたはずです。
このような気持ちが出てきたら「これ以上ターゲットにされ続けたら、私だって可哀想だ」と思い出してください。
あなたなら「親から攻撃を受けていい」「あなただけが攻撃を受ければ丸くおさまる」、なんてことは決してありません。
そう思ってしまうのだとしたら、それこそが、子どもの頃に親が植え付けた「間違った感覚」です。
そのことをどうか知っていただければと思います。