「誰のおかげで」「買ってやった」「してやった」という親~あなたに与える影響
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
今日は、恩着せがましい親が子どもに与える影響についてお伝えしていきます。
恩着せがましい親が使うのは、次のような言葉です。
- ○○に連れて行ってやる
- 仕方ないから、買ってやる
- あんなにしてやったのに
- 誰のおかげで生きてこれたと思っている
- 私のおかげで、あなたはここまで大きくなった
- お前のために、持ってきてやる
- あなたのために、私はこんなに頑張っている
- あの子と違って、お前は幸せだ
- あなたのせいで、私はこんなに苦労している
このような言葉を日常的に受け続けることで、「自分は親に迷惑をかけてきた」という罪悪感や、「親のおかげで今の自分がある」というような過剰な感謝を植え付けられてしまいます。
親を悪く言うこと、親の意見を受け入れないこと、親に自分の気持ちを言ったり、親にNOを言うことに非常に強い抵抗を感じるようになります。
親が絶対的な場合には、親が間違っていても「自分が間違っているのでは」と納得しようとすることもあります。親に逆らったところで、何倍にもなって攻撃されて後悔することを知っているからです。
自分は、人より劣っていると感じやすくなります。何かが人並みにできていたとしても、「できていない」という焦りや不安が膨らみます。
さらには、「人に迷惑をかけちゃいけない」と一人で背負い過ぎてしまったり、「人に頼ると見返りを求められるかもしれない」と疑心暗鬼になることもあります。
恩着せがましい親とは
あなたは、冒頭でお伝えしたような恩着せがましい言葉を親から言われたことはありますか?
もしくは直接言われていなくても、親の態度から下記のような気持ちを察したことはありませんか?
- ○○に連れて行ってやる
- 仕方ないから、買ってやる
- あんなにしてやったのに
- 誰のおかげで生きてこれたと思っている
- 私のおかげで、あなたはここまで大きくなった
- お前のために、持ってきてやる
- あなたのために、私はこんなに頑張っている
- あの子と違って、お前は幸せだ
- あなたのせいで、私はこんなに苦労している
「上記の言葉を言ったことがある=恩着せがましい親だ」と非難したいのではありません。
これらの言葉は、いわゆる普通の親でも、たまに言うことがあるものだからです。
でも、これらの言葉が半分以上あてはまったり、たまにではなく日常的に言われているようであれば、あなたは知らず知らずに「恩着せがましい言葉」の影響を受けていた可能性が高いです。
さらには言葉の意味だけではなく、どのような状況で言われたのかということ、言われた時に子どものあなたがどう感じたのか……ということも重要です。
恩着せがましい親は「どんな親」?
親は、子どもの価値を認めようとします。
自分と子どもの考え方や好きなものが違っても、子どもの考えや意思を尊重しようとします。理解しようとしたり、分かろうとします。子どもと自分が別の人間であり、「子どもが一人の人間である」ということを理解しているからです。
でも、恩着せがましい親は、子どもの価値を否定します。
その代わりに、自分(親)の価値を子どもに認めさせようとします。
私(親)は正しい、あなた(子ども)は間違っていると思っているからです。
それが世間一般に見て、「本当に正しいかどうか」は、このタイプの親にとって重要ではありません。自分の言うこと・自分の思うことが正しいと主張します。
だから、それに子どもが従わないと怒ります。子どもが反論すると、「いかにあなた(子ども)が間違っているのか」を突きつけます。
このようなことを繰り返されるうちに、子どもは自分の意見を言うことができなくなっていきます。意見を言っても、親が認めてくれないからです。それどころか、自分を否定されて苦しい思いをするからです。
このようにして恩着せがましい親は、言葉や態度によって「あなたは私がいるお陰で生きていられる。あなたを育てるために私がどれだけ苦労しているのか」ということを小さい頃から徹底的にたたき込みます。
幼い子どもは、良い・悪いの基準を知りません。
多くの場合、「良い悪い」の基準は家庭内で教えられ、それが正しいかどうかを知る術もなく、親の価値観を植え付けられます。
真っ白な心のキャンバスに、恩着せがましい親の言葉がどんどん刻まれていきます。
するとどうなるか…。
子どもは、自分を無価値だと感じるようになります。
人に迷惑をかけながら、生きているという申し訳なさを抱くようになります。
自分1人では、何もできない人間だと思い込まされてしまうこともあります。
恩着せがましい親は、子どもに恩を着せることで「自分は凄い人間だ」「自分は価値のある人間だ」「自分は与えている」と感じることができます。
だから、子どもに恩を着せることをやめません。恩を着せることで「自分を保っている」からです。
その一方で子どもは、恩を着せられることで「自分はダメな人間だ」「自分に価値はない」「自分はいつも人に迷惑をかけている」という申し訳なさを感じながら生きることになります。
この申し訳なさや罪悪感が、大人になった時の人間関係にも悪影響を及ぼします。
理不尽な関係を受け入れてしまったり、人に助けを求められず一人で頑張り過ぎたり、人を信じられないという悩みを抱えることもあります。
「これが」恩着せがましい親
恩着せがましい親に育てられていると、「何が恩着せがましかったのか」に気がつけません。
それが当たり前の環境で育つからです。
そこで、ここでは子どもを旅行に連れて行く場合の例を挙げてお伝えします。
実は、「恩着せがましい親」と「そうではない親」では、旅行ひとつにしても目的や動機が全然違っているのです。
「そうではない親」は、「旅行に行こうか!」と、子どもを連れていきます。
子どもの気持ちを叶えるためだったり、楽しむために、「旅行に行く」という計画を立てます。
でも、恩着せがましい親は違います。
例えば次のような言葉を言ったり、直接言わないにしても態度でアピールします。
- 「お前がそこまで旅行に行きたいのなら、連れて行ってやる」
- 「連れて行ってあげても良いよ」
- 「旅行に連れて行ってもらえるなんて、あんたは幸せだね」
- 「あなたのためにしてあげたのだから」
このように、「連れて行ってあげる」という表現を強調します。
子どもの頃に「してあげたこと」を大人になって何度も子どもに言うこともあります。その見返りを、子どもに求めることもあります。
すると子どもは「してもらった」という申し訳なさ、さらには必要以上の感謝を求められているように感じて苦しみます。
「感謝が足りない」と言われてしまったり、親に感謝しているのに「感謝を強制されるのが嫌だ」と思う自分に苦しんだり、いつまでも親から自立できていないと焦りや不安を感じることもあります。
恩着せがましい親に育てられると…
- 他人が、好意からしてくれたことを恩着せがましいと感じる
- 他人に頼った時、見返りを求められるように感じる
- 他人の好意を素直に受け取れない
- 他人の好意に裏があると疑ってしまう
このように、恩着せがましい親の与える影響は大人になった時の人付き合いに顕著に現れます。
これらの原因が幼少期の親とのかかわりあいにあると知らず、「自分の性格のせいだ」「自分はコミュニケーション能力がない」「自分は冷たい」と悩む人も多いです。
「いじめられてる」が言えない
子どもの頃、「いじめられていたのに親に言えなかった」という過去を抱えるケースも多いです。
言えない理由は人によって違いますが、言えない理由が「親に心配させたくなかった」「親を悲しませたくなかった」なら、以前お伝えした『親子逆転』の可能性も考えられます。
このような「いじめ」をメディアが報道する際、「子どもは、なぜ親に言わなかったのか」「なぜ早く助けを求めなかったのか」と言われてしまうことがあります。
まるで、「言わなかった」子どもに責任があり、「言われなかった」親が可哀想であるかのような印象を与えることがあるのです。
カウンセラーとして相談を受ける身として感じるのは、実際には言わなかったのではなく「言えなかった」のではないかということです。
子どもの側だって、親に言えるなら言いたかったはずです。
親に言って味方になってもらえるなら、味方になってもらいたかったはずです。
自分の味方がいるというのは、何より心強いことだからです。
でも…「それができなかった理由」があったはずです。
頼れるはずの親、信頼して守ってもらえるはずの親に「言えなかった理由」があるはずなのです。そしてそれは、子どものせいではありません。
子どもは本来、親を頼ります。親は、子どもの様子を気にかけます。
でも親子逆転が起こっている家庭では、親が子どもを頼ります。親が子どもの機嫌を気にするのではなく、子どもが親の機嫌を気にしなくてはいけません。
子どもは本来、親に話を聞いてもらいます。
でも親子逆転が起こっている家庭では、親が子どもに話を聞いてもらいます。親の愚痴を子どもに聞かせます。
だから子どもは、親に相談できません。
「親のことを悪く言うなんて…」と、抵抗がある人もいるかもしれません。
「こんなこと、どの家でもあることなのではないか」「こんなことで悩んでいていいのだろうか」と一人思いやなむ人も少なくありません。
ですが、この記事に何か思い当たることがあるのなら、親の影響から抜け出してあなたがあなたらしく生きていくために、過去を整理していく必要があります。
その過程で、あなたのせいではないことや、あなたが持たなくてもいい罪悪感を抱かされていることに気づくこともあるでしょう。生きづらい思い込みを植え付けられていることに気づくことは、それを手放し、もっとラクに自分らしく生きてくきっかけにもなります。
メールカウンセリングで行う過去の振り返りは、親を非難することが目的ではありません。
親がしたことが、あなたにどのような影響を与え、今大人になったあなたが何に苦しんでいるのかを見つける手段です。
「もしかして…」と思う事があれば、一度ご相談ください。
Poche