【これって毒親?】過干渉の親が「悪気なく」大人になったあなたに及ぼす影響とは
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日お伝えするのは、過干渉の親があなたに及ぼす影響について。
- 虐待を受けたわけでもない。
- ふつうの生活を送らせてもらった。
- むしろ色々与えてもらっている。
- 優しくしてくれることもある。
- 仲のいい親子だとよく言われる。
- 親を悪く言うことに強い抵抗がある。
- 親は自分に愛情を注いでくれている。
これらの項目に半分以上当てはまるのなら『過干渉』の親に育てられた可能性があります。
過干渉が悪い、と言いたいのではありません。
ですが、大人になったあなたが「自分では解決できない生きづらさ」を抱えていると感じているのなら、過去の親子関係がよくない形であなたを縛り付けてしまっているのかもしれません。
過干渉のケースは問題が表面化しにくいこともあり、なかなか周囲に理解されません。
だから子どもは、独りで抱え込んで苦しみ続けます。「自分がおかしいのではないか」「自分さえ我慢すればいいのではないか」と。
ですが、カウンセリング現場において実感するのは、「毒親というほどではないのですが…」「母も悪い人ではないのですが…」とおっしゃる人ほど、親から深く傷つけられているケースが多いということなのです。
過干渉の親が「あなた」にすること
突然ですが、あなたの親があなたに与えてくれた「愛情」のイメージは、AとBのどちらに近いでしょうか?
A:自由でのびのびしたイメージ、ホッとするような穏やかな時間、抱きしめられた時の安心感
B:縛られるような不自由さ、監視や束縛、時に息苦しさを感じるもの、いつか失うかもしれないという不安
過干渉の親に育てられた子どもたちは、「B」のようなイメージを強く抱きます。
本来愛情は自由で心地よいもののはずなのに、過干渉の親が子どもに与える愛情は不自由で息苦しさを感じます。
でも、過干渉の親は、そんなことは気にも留めません。
過干渉に接する親にとって重要なのは、「自分が子どもに何をしたいか」です。
「子どもが親に何を求めるか」を考えず、「私(親)が子どもに何をしたいか」だけで行動します。
だから、子どもは苦しみます。
親なりに愛してくれているし、与えられているものも多い……でも、「それは自分の欲しいものではない」のです。感謝できない自分や、親を悪く思う自分自身への葛藤で苦しんでしまいます。
以前の記事でも書いた通り、ある程度の年齢までは「干渉」が必要です。
ですが、その干渉は年齢とともに必要がなくなっていきます。子どもを信じたり、自由に選ばせたり、見守ったりすることで、子どもが「一人の人間」として学ぶ時期が訪れるからです。
ですが…
過干渉の親は、あなたが成人してもべったりくっつき、あなたの計画を自分のものにし、あなたの世界の真ん中に居座ろうとします。
多くの場合は、悪気はありません。悪意もありません。親は親なりに子どもを愛していたり、それが愛情だと信じ込んでいることも多いのです。
※書籍『もしかしてうちの親って、毒親』でも解説している通り、毒親にはいくつかのタイプがあり、コントロール過干渉のタイプの場合には「子どもを苦しめること」を手段として行使することもあります。
おそらくあなたが小さな頃は、それでも何とかなってきたのではと思います。
でもあなたが大人になるにつれ、親から離れ、自分で計画を立て、自分だけで何かをやろうとしたとき、確実に問題が起こります。
過干渉の親は、あなたが自分から離れることが許せないからです。
- 素直で可愛い子どものままでいてほしい。
- 自分(親)と一心同体でいてほしい。
- どんな時も自分(親)のことを考えていてほしい。
- 子どものために何かすることが自分の生きがい。
親が過干渉になる理由はいろいろありますが、共通しているのは「子どもの気持ちを本当の意味で考えられていない」ということです。
子どもがどう思うかよりも、自分がどう思うかが大事なのです。
親の過干渉によって子どもがどう感じるかよりも、「自分がどう感じるか」を優先します。
だからもしも、子どもが親に不満を伝えたなら、過干渉の親は「子どもの言葉によって自分がどれだけ傷ついたのか」を語ります。
子どもの気持ちを受け止めるのではなく、自分の気持ちを子どもに受け止めさせようとするのです。
子どもの頃に見られる3つのサイン
ある日突然、親が過干渉になるわけではありません。
多くの場合は自分でもまだ自覚できない、小さなころから親の束縛、過干渉が始まっています。今回は具体例を交えながら、「3つのサイン」についてお伝えします。
1.あなたは私の○○
Aさんが、学生だったころの話です。母親とは仲がよく、一緒に買い物に行くこともよくありました。その時に、店員さんから「姉妹みたいですね!」と声を掛けられることも、しばしば。Aさんは「親子なんだけど」と複雑な気持ちになりましたが、母親はとても嬉しそうに喜んでいました。
過干渉の親は、子ども(特に娘)と友達や姉妹のようにふるまうことがあります。
「あなた私の親友」「あなたは一番の友達よ」と、子どもに言うこともあります。
このような言葉を使うのがダメだ、というのではありません。このような言葉を使う意図が「何なのか」ということが重要なのです。
過干渉の親の場合は、このような言葉を「自分のため」に使います。
なんでも話せて、なんでも相談できる、自分の絶対的な味方。他人のように自分を攻撃しない、優しい子どもを「手放したくない」と思う親が一定数います。
ですが、子どもが求めているのは「友達」ではありません。
精神的に支え、安心感や愛情を与えてくれる母親です。
でも過干渉の親は、自分の欲求を満たすことで忙しいので、子どもの欲求に気づくことができません。
子どもの頃に、満たされるべきものが満たされない……その結果、親以外の他人に求めすぎて恋愛関係で苦労したり、反対に親と共依存状態になってしまったりして、苦労する人がたくさんいます。
2.あなたしかいない
Bさんが小学生だったころ、母親と父親がよく喧嘩をしていました。喧嘩になりそうになるたび、Bさんはビクビクしていました。だから、父親の機嫌をとったり、怒らせないように空気を読んだり。喧嘩の後には、母親の愚痴も聞いてあげていました。祖父母と同居していたこともあり、母親の味方はBさんだけだったからです。母親はいつも、「私にはあなたしかいない」「お父さんは私のことを分かってくれない」「あなたがいるからお母さんは頑張れる」と言いました。
親が言う「あなたしかいない」という言葉は、大人になったあなたにも強い影響力を及ぼします。
子どもの頃は「お母さんを助けられるのは私だけ!」「お母さんを幸せにしなきゃ!」と、頑張り続けます。
でも大人になるにつれ、親があなたに求めるものも増えていきます。
するとだんだんと、大好きだった親を「負担」に感じるようになるのです。
おそらくあなたは、「親を負担に感じている自分」にさえ罪悪感を抱きます。
- あなたしかいない=親を放っておくことは許されない
- あなたしかいない=私だけ幸せになることは許されない
- あなたしかいない=親から離れちゃダメ
- あなたしかいない=親を悲しませちゃダメ
厄介なのは、あなたに恋人が出来ても、家を出ても、結婚しても、子どもが出来ても親の要求がなくならないことです。
それどころか、親が年齢を重ねるごとに要求は増える一方です。
子ども側の事情など、過干渉の親は気にも留めないのです。
そしてあなたの方も「そうするのが当たり前」と、親に信じ込まされます。
すると、自由にしたい気持ちと、「そうしてはいけない」という罪悪感の間で苦しみます。
3.あなたのため
Cさんと母親は、いつも一緒でした。「一人でやりなさい」という代わりに、親は「私がやってあげる」「やっておいたわよ」と何でもしてくれました。「自分で決めなさい」という代わりに、「お母さんに任せて」「お父さんの言うとおりにすればいい」といって選んでくれるのです。時には、宿題までやってくれました。
大人になった今、Cさんは自分で出来ることも増えました。でも親が頻繁に家にやってきて、「あなたのため」「やらせて」といって、何でもかんでもやってしまうのです。助かるけれど、正直息苦しい……。このことを友達に相談したら「羨ましい」「親に感謝した方がいい」と、たしなめられてしまいいました。たしかに、意地悪をされているわけではありません。でも、「してほしい」とお願いしたことではないのです。Cさんは、それでも感謝しなければいけないのか。感謝できない自分はダメな人間なのかと思い悩むようになりました。
子どもが苦労している時に助けたいと思うのは、親として自然な感情です。
健全な親子関係において、これらの目的は自立の手助け。子どもが自立するためのステップです。
でも、過干渉の親は違います。
子どもの自立を望んでいません。ずっと一緒にいて、ずっと自分が「やってあげたい」と思っています。それが愛情だと信じていることもあります。
ですが、その弊害が次のようなものです。
- 私は一人ではやれない。
- 私は一人で決められない。
- 私は未熟だ。
- 私は自立していない。
自分でできることをするチャンスを親が奪い続けた結果、子どもの自信が育ちません。
大人になった自分には出来るかもしれないことでさえ、「出来ない」と思い込まされてしまいます。
これは母娘の関係において特に顕著で、過干渉の母親は娘を引き留めていつまでも傍に置こうとする傾向があります。
娘の側も「私は一人では生きていけない」と不安に感じていたり、「母親を一人にしてはいけない」と信じていたりするため、母親から離れることにブレーキがかかります。いわゆる共依存の関係になると、「できない」「してはいけない」とさえ思います。
親から離れないのがダメだ、ということではありません。
親のそばにいたいと心から願っていて、そうしているのならいいのです。
ですが、過干渉の親が問題になるケースというのは、子どもは「親に息苦しさ」を感じていながら離れられません。
親から離れたいと思いながら、「でも出来ない」と思っています。
その結果、離れられないのは「親の過干渉による影響」と気づけず、自分を責めてしまう人がたくさんいます。
離れられないのはあなたのせいではありません。
「できない」と思わせる何かが、あなたの心の中にあるはずです。
そしてそれはあなたのせいではなく、「過干渉によって植え付けられたもの」の可能性が高いのです。
あなたは悪くない
こういった過干渉の母親に育てられた子ども、特に娘が母親から抜け出すのには、想像以上に大きな罪悪感が付きまといます。
大人としてふつうのことを決断するにしても、ものすごく悪い事をしているような気持ちになるでしょう。
過干渉の親に育てられると、「何がふつう」で「何がおかしい」のか分からなくなることがあります。
以下はその一例です。
- 隠し事は、一切してはいけない
- 部屋に鍵をかけてはいけない
- 別の家に住んでいるなら、合い鍵を渡すのが当然
- 手紙や日記を母親が見る
- 娘あての郵便物、荷物を母親が勝手に開ける
- 母親が、娘の鞄や財布の中を見る
- どんなことも母親に報告しなければいけない
- 決まった時間、決まった曜日に母親に連絡しなければいけない
- 母親を悲しませてはいけない
- なるべく母親の意見には従う
- 出来る限り、出かけるときは母親も一緒
あなたには当てはまるものがありますか?
また当てはまらないにしても、これらを母親から求められた時に「嫌だ」「やめて」と言えますか?
あなたの親は、あなたの意見を受け入れてくれますか?
これらは全て、「NO」と拒否する権利があるものです。
こういったことが当たり前になっていて、さらにはあなたのストレスになっている場合は、親との距離の取り方・境界線のもたせ方について考え直すいいチャンスかもしれません。
過干渉の親は、罪悪感を利用するのが得意です。
それが無意識だろうと、意識的だろうと関係ありません。親に悪気がなくても、親なりに愛していても、あなたに悪影響を及ぼすことがあるのですから。
誰が悪いとか、誰のせいだという話ではありません。
親の意図がなんであれ大人になったあなたによくない影響を及ぼす可能性がある、 ということです。
今この段階ではまず、「自分は悪くなかった」ということ。
さらには過去のあなたも悪くないということを知っていただければと思います。
自分のせいではないことで、あなたがこれ以上悩み苦しみませんように……そのような願いを込め、このような記事を書かせていただきました。