【これってダメなこと?】人に相談するのが苦手、相談できないあなたへ
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日のブログは、「人に相談できない」「人に相談するのが苦手」というあなたに向けて書いています。
まず初めにお伝えしておきたいのは、相談できないあなたはダメではないし、相談できない自分を責める必要は全くないということです。
「人に頼った方がいい」「人に相談した方がいい」と言われることもありますが、人に相談することにはメリットだけではなくデメリットもあります。
だから、「何が何でも相談できた方がいい!」「相談すべき!」ということは、ないのです。
あなた自身が「相談できるようになりたい」「自分の話をできるようになりたい」と思っていなければ、そのままで大丈夫です。これは、おかしなことでも何でもありません。
ですが、もしあなたが、「相談できるようになりたい」「自分の話をできるようになりたい」と思うなら、ここから先に書いてあることが役に立つかもしれません。
なぜ相談できないのか?を知る2つの質問
あなたがなぜ相談できないのかを知るために、これから2つの質問をします。
「なぜできないのか」という原因を知ることが、「できるようになる」という解決への近道だからです。
質問1:相談してもいいと思えるか
誰かに相談してもいいと思えますか?
それとも、「迷惑なんじゃないか」「こんなことで相談していいのだろうか」と、相談することにブレーキがかかりますか?
「相談してもいい」と思えている場合には、質問2に進んでくださいね。
「相談してもいいと思えていない」のであれば、まずは「相談してもいい」と思うことから始めましょう。
誰かから相談されることが多い人であれば、「誰かの相談を聞いてあげてきたように、私も相談を聞いてもらっていい」と思ってみてください。
あなただけが相談してはいけない、なんてことはありません。
…それでもやはり「相談してもいい」と思えないのであれば、その理由を次の質問2で掘り下げていきましょう。
- 「人に頼ってはいけない」
- 「迷惑をかけてはいけない」
このような思いが、人に相談することにブレーキをかけてしまうこともあります。
この場合には、「人に頼ってもいい」「相談するのは、迷惑ではない」と信じることから始めてみてください。
人に頼れないことで今あなたが苦しんでいるのなら、「人に頼った方がいい」からです。
「迷惑なのではないか…」と不安になるかもしれませんが、相談されるのを嬉しいと感じる人もたくさんいます。
※「迷惑なのではないか…」と感じる原因は、過去の親子関係に起因していることが多いです。この場合は【過去の記事】がお役に立てるかもしれません。
質問2:なぜ相談できないのか
なぜ、相談できないと感じますか?
誰かに相談するメリット、デメリットについて考えてみてください。
例:相談すると「こんないいことがある」、その一方で相談すると「こんな嫌なことがあるかもしれない」など
この質問で重要なのは、メリットとデメリット、どちらがより多く思い浮かんだのか。
それは、行動のブレーキになるのが「デメリット」だからです。
相談するメリットの方が多く思い浮かんだ人は、メリットのイメージをより具体的に膨らませてみてください。
メリットが多ければ多いほど、具体的であればあるほど、「相談できるようになる」可能性は高くなります。
反対に相談するデメリットの方が思い浮かんだ人は、「相談しない方がいい」というブレーキが何かしら働いているはずです。
この場合は、何がブレーキになっているのかを知ることが問題解決の近道となります。
デメリットとして挙げられることが多いのは、次のようなものです。
- 相談しても、分かってもらえない気がする
- 否定される気がする
- 余計なアドバイスをされそう
- 誰かに秘密をばらされそう
- 弱みを握られそう
- 迷惑になるのではと思う
- 「こんなことで」と思われそう
上記の内容はいずれも、性格や考え方が原因でそう思うのではありません。
「そう思う」に至った出来事が、過去にあります。
例えば、「分かってもらえない気がする」「否定される気がする」というのは、実際に相談して「分かってもらえなかった」「否定された」という経験が関係しています。
振り返ってみた時に、これといった記憶がないのであれば、もしかしたら「覚えてもいないような昔のこと」が心の傷となって残っているのかもしれません。
たとえば子どもの頃に、「親に相談しても理解してもらえなかった」「そんなことで…と真面目に話を聞いてもらえなかった」といった経験をしていることもあります。
「秘密をばらされそう」「弱みを握られそう」というのも、同様です。
実際に誰かに自分の秘密をばらされたり、信頼している人に裏切られたりした経験から、このように感じている可能性が高いです。
「内緒にしてほしい」といったのに秘密をばらされてしまったり、信頼していた人に悪口を言われたり、自分のコンプレックスをからかわれたり……。子どもの頃の嫌だった経験が、大人になっても影響を及ぼすことがあります。
※特に思い当たることが特にない場合には、「身近な人を見てそのような警戒心を抱いた」可能性もあります。例えば、陰で悪口を言うタイプの親を持っていると、誰かがコソコソしているだけで「自分の悪口を言っているのでは」などと警戒することもあります。
嫌な経験が「相談できない」につながる
実際に、どのようにして過去が影響を及ぼすのか、「人に相談できない」「頼れない」という相談例を1つご紹介します。
※掲載の了承をいただいた実際の相談事例です
「相談できない」と悩むNさんのケース
昔から、人に相談されることが多かったNさん。
子どもの頃から、母や祖母の愚痴の聞き役にもなっていたそうですが、相手の話を聞くのは別に嫌ではないと言います。そんなNさんの悩みは、人に相談できないこと。困ったことがあって相談したくても、嫌なことがあって誰かに聞いてほしくても、なぜか話せないのだと言います。
「いつ言おう」「いつ切り出そう」「今は迷惑かな」などと考えているうちに時間が経ってしまい、最終的には「もういいや…」と諦めてしまうのだそうです。実はNさんは、全く相談できない人ではありませんでした。
過去には何度か、友達や家族に自分の悩みを相談したこともあります。ですが、毎回決まって「私の方が大変」「わかる。実は私もね…」と相手の話を聞くはめになってしまったり、「そういう考えは良くない」などと否定的なことを言われて、後悔することが多いのだそうです。
「もう少し人に頼ったり相談できるようになりたいのに、なぜかできない」
……そう思い悩んで相談に訪れました。
Nさんの場合、相談できないブレーキとなっているのは、「相談しても良い結果が得られなかった」という嫌な経験の積み重ねです。
最後まで話を聞いてもらえなかったり、否定的なことを言われたりして、「相談を聞いてもらえた」「話してよかった」という満足感を得られたことはなかったと言います。
このような経験が積み重なることによって、次のような思い込みが無意識につくられていました。
- 相談する=どうせ最後まで聞いてもらえない
- 相談する=結局相手の相談を聞くハメになる
- 相談する=否定的なことを言われて傷つく
「思い込み」と書いてしまうと、まるで「Nさんが勝手にそう思い込んでいる」かのように感じるかもしれませんが、そうではありません。
過去の経験をもとに作られる思い込みというのは、本人にとっては「限りなく事実に近いもの」だからです。
限りなく事実に近いものだからこそ、怖いし、不安になるし、なかなか一歩が踏み出せないのです。
話を掘り下げていくうちにNさんは、「相談したいと思っていながらも、本音の部分では相談しても意味がないと思っている自分自身」に気がつきました。過去の嫌な経験が、あまりに多すぎたのです。
実のところは、「相談したいのにできない」ではなくて、「相談したいと思えないから、相談できなかった」のです。
そのことに気づき納得したNさんは、「相談できないのは自分のせいではない」という新しい事実に気がつきました。
自分の何かがダメだから相談できないのではなく、「相談しない方がいいと思うような過去があるだけ」「信頼できるような相談相手がいなかっただけ」ということに気がついたのです。
Nさんの場合はカウンセリングの場を通して「最後まで話を聞いてくれる人がいる」「相談しても否定されない」「信頼できる人もいる、というポジティブな経験を積み重ねていきましたが、カウンセリングに行かなければ解決できないということではありません。
私が手助けしたのは、本当に「相談できない」のか、それとも本音の部分で「相談しない方がいい」と思っているのかを一緒に考えること。さらには、「相談してもいい」と思えるような経験を一緒に積み重ねたことだけ。
カウンセリング後半には相談することへのブレーキがなくなり、家族や友達にも相談できるようになっていましたが、それはNさん自身が「相談してもいい」と思えたからなのです。
重要なのは、「相談してもいい」と自分に許可を出せるかどうか。さらには、「自分の話を聞いてくれる存在がいる」ということを自分自身が信じられるかどうか。
今回は、「Nさんが人を信じるためのきっかけ」が、たまたまカウンセリングだったというだけなのです。あなたの身近に話を聞いてくれそうな人がいるのなら、その人に聞いてもらう経験を積み重ねるだけでも、同じような結果が得られます。
あなたも実は「相談できる人」なのかもしれない
「相談できない」と悩む人の多くは、本人の性格や考え方のせいで「できない」のではありません。
「できない」と思わせているだけで、実際には「しない方がいい」「しても意味がない」と思うような過去を背負っているケースは非常に多いのです。
「できない」と思うことと、「できそう」だと思うこと。
あなたは、どちらの方が挑戦できそうだと思いますか?
おそらく多くの人が、「できそうなこと」だと答えるのではと思います。
それと同じで、「相談できない」というレッテルを自分で貼ることは、「相談するハードル」を自分自身で上げてしまうことになります。
だからこそまずは、「相談できないのではない」ということを自分自身に教えてあげてください。
「できないのではなく、しなかったのだ」「できないのではなく、しない方がいいと思っていたのだ」という、自分の本音の部分を受け止めてみてください。
そうすることで「できない」というレッテルは、剥がせます。
「できない」という思い込みが減るだけで、相談できるチャンスは増えます。
それはあなたが本当は、「相談できない人」ではなく、何かのせいで相談できないと思い込まされてきたからです。
とはいえ、これまで相談してこなかった人が、「相談してみる」というのは、なかなかハードルの高いことです。
不安や恐怖で、なかなか一歩踏み出せないこともあるでしょう。
でも、それは当然のことなので心配しないでくださいね。
踏み出せないのはあなたのせいではなく、「それほど過去の影響が強い」ということです。
だからこそ今はまず、「できない、わけではない」ということを信じてみてください。
この一歩は、あなたが「相談できるようになる」ためのとても大きな一歩になるはずです。