「限界まで頑張れ」「死ぬ気で頑張れ」は本当に正しいの?──頑張りすぎてしまうあなたへ伝えたいこと
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「限界まで頑張れ」
「本気になればできる」
「死ぬ気でやれよ、死なないから」
―そんな言葉を見聞きしたことはありませんか?
このような言葉がやる気を引き出したり、あなたの背中を押してくれることもあるでしょう。
でもそれとは反対に、このような“根性論”に心を追い詰められてしまう方も、たくさんいます。
今日の記事は、「全力でやらないと価値がない」と感じて苦しくなっているあなたに向けて、伝えたいことです。
限界までやらない方がいい理由
人は、限界まで走り続けると、本当に心や体が壊れてしまうことがあります。
しかもそれは、一度壊れたらすぐには戻らない「再起不能」の状態になることもあるのです。
特に、まじめでがんばり屋な人ほど、
「まだやれる」「もっと頑張らなきゃ」と、本来の限界を超えてしまう傾向があります。
もしかすると「頑張るしかない」と感じるような状況にいる方も、いらっしゃるでしょう。
そのような人にとっては、「休むと取り返しがつかなくなる」と感じるかもしれません。「今頑張らなくて、どうするんだ」と、言われてしまうこともあるかもしれません。
でも、たくさんの「がんばり屋さん」が疲れ切ってしまう姿を見てきたからこそ、思うんです。
続けられること、倒れずにいられること。
あなたが元気に「明日を迎えられること」が、いちばん大事なんだということです。
頑張りきらなかったとしても、やりきれなかったとしても…それは決して「失敗」ではありません。
頑張りきらなかったからこそ、次に繋げられるということもあるんです。
どうして「死ぬ気でやれ」が美化されるのか
では、どうしてこのような「限界までやれ」という言葉が世の中に広まっているのか…。
それには、「生存者バイアス(成功者バイアス)」と呼ばれる心理現象が関係しています。
これは、たとえば――
・限界まで頑張って成功した人の話はメディアで大きく取り上げられる
・挫折して消えていった人の声は、表に出づらい
そんなふうに、“うまくいった人の体験談だけが広まりやすい”という偏りのこと。
うまくいかなかった人、倒れて壊れてしまった人の声は、広がりにくいのです。
だから、
「自分も頑張れば成功できるはずだ」
「努力しないのは甘えだ」
と、自分や他人に厳しくなってしまうことがあります。
でも、実際はその陰に、心を壊してしまったたくさんの人たちがいることをどうか忘れないでください。
「無理しないで」が綺麗事に聞こえるとき
「無理しないで」「頑張りすぎなくていいよ」と言われると、
「そんなの甘えに聞こえる」「綺麗事だな」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、それはあなたが今まで本気で頑張ってきたからこそなんだと思います。
「頑張って結果を出すことが正義」と教えられてきたからこそ、力を抜くことや、立ち止まることに罪悪感を覚えてしまうのかもしれません。
でもだからこそ私は、何度でも伝えたいんです。
本当に大切なのは、結果よりも、あなたが壊れないこと。
どんなに頑張っても、倒れてしまったり、元気がなくなってしまったら、あなたが心から楽しめないからです。
頑張っても頑張っても報われないように感じたり、苦しみが続いてしまうことが、現実にたくさんあるからです。
今日、少しだけ心を守るためにできること
「まだやってないことがある」
「もっと頑張れるんじゃないか」
そんな気持ちが出てきたときは、まずは深呼吸してみてください。
そして、こんなふうに声をかけてあげてほしいのです。
「ここまで頑張ってきた私、えらいよ」
「今日はこれでじゅうぶん」
「ちゃんと立ち止まれる私も、いいな」
がむしゃらにならなくてもいい。
時には“ほどほど”が、あなたを長く守ってくれる生き方となることがあります。
「ほどほど」という言葉が苦手なら、「今日は、1つやめてみる」「とりあえず、1つ減らす」と思ってみてください。
そうすることで限界まで無理してしまうリスクは、確実に減らせます。
「死ぬ気でやれ」「限界までやれ」という言葉が、
頑張る人の背中を押すものであったとしても、
「今のあなたを追い込むもの」であってはなりません。
だから私は、これからも何度でも伝え続けます。
無理しないで。
頑張りすぎなくていい。
生きていてくれるだけで、もうじゅうぶんなんです。
あなたが、あなたのペースで、やわらかく生きていけますように。