【母の日】贈る?贈らない?どうするべきか悩んでいる毒親育ちに伝えたいこと
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
親との関係に悩む人たちにとって、悩ましいイベントの1つ『母の日』。
テレビのCMやネット広告などで『母の日』の文字を目にすることが増えるこの時期は、親との関係に悩む相談が増える時期でもあります。
モヤモヤとしたり、心がギュッと苦しくなったり、ムカムカと怒りがこみあげてきたり……自分の感情に戸惑ってしまうことも少なくありません。
今日の記事は、「母の日を贈ろうか悩んでいるあなた」に向けた内容です。
母の日に贈り物をしてる自分も、しない自分も好きじゃない。
そのように感じてしまうあなたが、「母の日」のストレスを減らすきっかけになりますように。
すでに親と距離をとっていたり、「母の日は何も贈らない」と決めたあなたが、自分の決断に罪悪感を抱くことがなくなりますように。
…そう願って、この記事を書き進めていきます。
母の日で悩み苦しむ3つの理由
「お母さんに感謝を伝えよう」
「お母さんに気持ちを伝えよう」
このような広告を見ていると、まるで「感謝できない自分がダメな人間」のように感じてしまうことがあるかもしれません。
これはあなたの心の中にある、「親に感謝すべき」という強い思い込みが生み出すものです。
「思い込み」というと、まるであなたが勝手に作り出したかのように聞こえてしまうかもしれませんが、そうではありません。
親に感謝すべきというような「しなければいけない」という思い込みは、あなた以外の要因によって作られます。
母の日を大々的に宣伝する世間の風潮、保育園や学校でよく言われる「親に感謝しよう」という教え、さらには親から「感謝すること」へのプレッシャーを感じることもあるでしょう。
いずれにせよ、あなたが『母の日』というイベントに心苦しくなる理由が、何かあるはずです。
感謝しなければいけないのに出来ないと感じたり、感謝できないような関係性だったり、贈り物をしたくない理由があったり……あなたには、そう思う理由がなにかあるはずなのです。
ここでは3つのケースについて、ご紹介します。
個人差が大きなところなので、ぴったり自分に当てはまるものはないかもしれませんが、「どれが自分に近いだろうか」と考えてみていただければと思います。
ケース1:本当は贈りたくない
- 親のことが嫌い
- どうして自分だけ贈らなければいけないのか
- 心から感謝できない
母の日では、「仲の良い親子関係」が綺麗に描かれたプロモーションが目立ちますが、母親との関係がよくない人もたくさんいます。
「自分の誕生日にプレゼントをくれるわけではないのに、なぜ母の日だけ…」とモヤモヤすることもあります。
テレビCMなどで「心からの感謝を」と言われると、「本当は贈りたくない」と思っている自分が嫌になるかもしれません。「感謝なんてできない」と悲しくなったり、過去を思い出して怒りが湧くこともあるでしょう。
「普段言えないありがとうを」なんて言われると、「いろいろしてもらったのに親を嫌っている自分」を責めてしまうこともあります。
どのような感情が出てくるかは、どのような幼少期を過ごしたかで変わります。
同じような出来事を経験しても、怒りが出る人、悲しみが出る人など、さまざまです。
※表出する感情が違うのは、「どの感情なら親が認めてくれるのか」が違うからです。過去を思い出した時に出やすい感情は、子どもの頃にどのような感情が許可されていたかによって変わります。
- みんなは贈っているのに…。
- みんなはお母さんに心から感謝できるのに…。
- どうして私は…。
このように思い悩む人たちが、カウンセリングにたくさん訪れますが、どのような感情が出てきたとしても構いません。
「母の日=贈るのが当然」という世の中の雰囲気があまりに強すぎて、「贈りたくない」と思う自分に罪悪感を抱く人は多いのですが、そう思うあなたが悪いのではないからです。
贈りたいと思える親なのか、そうではない親なのか、ということだけです。
子ども側の問題ではありません。
「本当は贈りたくないのに贈る」自分が嫌だという人もいます。
でも私は、それはそれで良いと思っています。あなたが「贈る」という決断をしているのには、理由があるはずだからです。
「贈った方がマシ」「贈らないわけにはいかない」と思えるような理由があるはずです。
もちろん、反対に「贈りたくないから贈らない」というのも良いです。
親との関係を考えた上で、「どうするか」を選択する決定権はあなたにあります。
どのような選択をしたとしても、「贈りたくない自分」を許してあげてください。
贈りたくないと思う自分を責めてしまいそうになったら、「贈りたくないことをした方が悪いのだ」と思い出してください。
好きになれなかったり、感謝できない人が悪いのではありません。
好きになれないようなこと、感謝できないようなことをした側に問題があるのです。
ケース2:贈っても文句を言われる
- 「こんなもの」と文句を言われる
- 「センスがない」とダメ出しされる
- 金額のことをネチネチ言われる
- ○○さんちの娘さんは~と、比較して嫌味を言われる
母の日に、良い思い出がない人もいます。
一生懸命考えてプレゼントしても、親に文句を言われたり、怒られたり笑われたりした人たちです。
では、親が喜ばないプレゼントを渡した子どもが悪いのでしょうか?
……答えはNOです。
あなたがどれだけ一生懸命選んでも、お母さんは「ダメだし」したでしょう。
お母さんが本当に欲しいものをプレゼントしたとしても、何かしら文句を言ったでしょう。
そうだと言える可能性は3つあります。
1つめは、「あなたの選ぶものじゃ私を喜ばせられないのよ」という一種のマウント、支配コントロールタイプの親によく見られる行為です。
2つめは、子どもが悲しむ様子を見て喜びを覚えるタイプの可能性です。あなたが悲しそうな顔をしたのを見て喜んでいるようなら、書籍『もしかしてうちの親、毒親?』でご紹介した『残酷な母』の要素もあるかもしれません。
3つめは、子どもの気持ちを考えられない親の可能性です。子どもがどう思うかよりも、自分(親)の気持ちが最優先なので、子どものプレゼントを平気で批判します。このタイプの親にしてみれば「事実を言っただけ」なので、子どもが傷ついた時には「こんなことで傷つく子どもが悪い」と責任転換します。「子どもがどんな思いでプレゼントしてくれたのか」を想像できないのです。
このタイプの親を持つあなたに知ってほしいのは、「子どもの頃のあなたは何も悪くない」ということです。
お母さんは、ただあなたに文句を言いたかっただけです。あなたが自分を責める必要は全くありません。
問題は、このタイプの親に母の日を贈るかどうか。
正直なところ私は、どちらでも良いと考えています。
贈っても贈らなくても文句を言う親の場合、正解がないのです。
だからこそ、「贈るメリットとデメリット・贈らないメリットとデメリット」、その両方を比較してあなたに負担が少ない方を選んでみてください。
ケース3:贈っても親が喜んでくれない
- 「ああ、ありがとう」と一応言うだけ。
- 「ありがとう」の形式上の一言さえ、ない。
- 「あーうん、そこ置いといて」と興味を示さない。
「これなら喜んでくれるかな?」「これなら好きかな」と一生懸命選んで、何日も前から母の日の準備をする人もいるでしょう。
だけど、何を贈っても喜ばない親がいます。
物を貰って当然だと思っているので、何とも思わないのです。
「ありがとう」という一言さえ、ないこともあります。
「ありがとう」と言ってくれるものの、あきらかに「一応言っただけ」で喜んでいないと分かることもあります。
では贈らなくてもいいのかというと、そうはいかないケースが大半です。
贈らないとチクチク嫌味を言ってきたり、「○○さんちは…」と他の家と比較したり、「育て方を間違えた」とあなたを批判したり、「私はかわいそうな親だ」と泣き脅しにかかることもあります。
多くの場合、子どもは悩みます。
「私の贈り物がよくなかったからでは」「お母さんの好きなものを贈らなかったからだ」と……。
親ではなく、自分側の落ち度を探してしまうのです。
でも、そうではないのですよ。
当時のあなたは、あなたなりに一生懸命考えてプレゼントを贈ったはずです。
だからこそ、これ以上自分を追い込まないでください。
「喜ばない」のは、お母さん自身の問題です。
「母の日にプレゼントをもらって喜ぶ」という概念が、このタイプの母親にはありません。
水道の蛇口から水が出ても感謝しないのと同じで、親にとっては「母の日に贈り物をすること」は当たり前のことなのです。
贈っても喜ばないけれど、「ネチネチ言われないために贈る」のも良いと思います。
贈っても喜ばれないのなら、「贈らない」と決めてしまうのも良いと思います。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、お母さんの性格を想像しながら考えてみてもいいかもしれません。
大切なのは、どちらが自分にとってストレスが小さいかです。
「親が悲しむかな」「親不孝かな」といった考えはいったん捨てて、それだけを考えてみて下さいね。
いつも親のことを優先してきたあなたが、自分のことを大切にしてあげる第一歩です。
母の日、どうするか悩んだら…
母の日は、義務ではありません。
贈りたいと思ったら贈ればいいし、贈りたくないなら贈らなくていいのです。あなたの自由です。
しかし、親との関係性によっては、「母の日に贈らない」という選択肢がない場合もあります。
贈らなかったら…と考えるだけで、気持ちが滅入ってしまうことでしょう。だから、仕方なくでも贈ることで、あなたがスッキリするのならそれでいいと思います。
「嫌だけど贈る」という選択をするにしても、メリット・デメリットを理解したうえで納得して「贈る」なら、今までよりもストレスは小さくなるはずです。
贈りたいわけじゃないけれど「贈った方がストレスがなさそう」「贈っておく方がマシ」と思う状況なら、贈る方がまだ良いこともあります。
でも…
モヤモヤしたものが残ってしまうのなら、「贈らない」という選択肢について考えてみてもいいかもしれません。
「贈らない」という選択は、あなたを母の日から解放してくれます。
贈るのをやめた1回目はものすごく悪いことをしたような気持ちになること守りますが、2回、3回と回数を重ねるうちに「これで良かった」と心から納得できるようになるでしょう。