【性別批判】「男の子が良かった」「女の子が良かった」という言葉は、大人になっても残る
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
この記事でお伝えするのは、過去に誰かから言われた「忘れられない言葉を」どう整理していくのかについてです。
「本当は男の子が欲しかった」「本当は女の子が産みたかった」という親からの言葉が忘れられなかったり、それらの言葉が時々頭をよぎる…というあなたに向けて記事を書いていきます。
今回のブログの目的は、あなたの親を責めることではありません。
かといってあなたの親を擁護したり、過去のことだから親を許した方がいいよ、というお話をするつもりもありません。
なぜ大人になった今も「過去に言われた言葉が忘れられないのか」という理由について書いていきます。
理由について知ることの大切さ
「過去を掘り起こして何になるのか」「理由なんて知ったところで何になるのか」と思う人もいるかもしれませんが、理由を知るだけで心が少し軽くなることがあります。生きづらさが和らぐことがあります。
理由について知るのは、問題を「過去のせいにするため」ではありません。
今のあなたが、ほんの少しでも楽になるための1つの手段なのです。
脳は、よくわからないものが苦手です。
だから、分からないことがあると無意識に考え続けます。
どこかで見たはずの「あの人」の名前が思い出せない時にずーっと考えてしまうのと同じように、過去に言われた言葉に納得できないと無意識に考え続けてしまいます。
あなたが過去に言われた「男の子が良かった」「女の子が良かった」という言葉を忘れられないのも、その言葉が心のどこかにひっかかっているからかもしれません。
「何が心に引っかかっているのか」理由がわかれば、それだけで嫌な言葉を思い出す頻度が減ったり、思い出したとしても今ほど不快感を感じなくなっていきますよ。
性別批判は心に残りやすい
- 「本当は男の子が欲しかった」
- 「本当は女の子が欲しかった」
このようなことを親や親戚から言われてしまうことがあります。
多くの場合、言った人に強い悪意はありません。「そう思ったから言った」「深く考えずに言った」という人がほとんどです。
言った本人は、そのようなことを言ったことさえ覚えていないこともあります。
毒親関連の書籍やSNSでの発信では、「親と対決する」「親と話し合う」ことを勧められることがありますが、勇気を出して親に「子どもの頃に、本当は男の子が欲しかったと言われたのが辛かった」と伝えたとしても、全く理解してもらえないことは多いのです。
理解してもらえないどころか、「そんなこと言った?」と話しあいにすらならなかったり、「そんな昔のことを…」「あなたは昔から…」と反撃されてしまったり、「大人になりなさい」と諭されてしまうことも珍しくありません。
「本音を言っただけ。何が悪いのか」「自分の思ったことも言ってはいけないのか」「実際にあなたが生まれてちゃんと育てたのだから、どこに問題があるのか」と逆ギレされてしまうこともあります。
この問題は、「周囲に理解されないこと」も悩みを複雑にします。
「男の子が良かった」「女の子が良かった」という親の言葉に縛られることは、周囲から批判されてしまうことも多いのです。
例えば、「未だに過去のことを」「それくらいで」「あなたよりもっと辛い人がいる」と言われ、理解されないどころか批判を受けることも珍しくありません。医師やカウンセラーからそう言われてしまうこともあります。
重要なのは、誰が悪いのかということではありません。
その当時、親に悪気があったかどうかも関係ありません。
子どもの伝え方が良かった・悪かった、ということでもありません。
ここでお伝えしたかったのは、「男の子が欲しかった」「女の子が欲しかった」という言葉の重みが、言った側と言われた側では全然違うということです。
「男の子が欲しかった」「女の子が欲しかった」いう言葉は、親にとっては「当時の自分の本音」でしかないのかもしれません。でも、言われた側の子どもにとっては、とても大きな意味を持ちます。
自分を産んだ親から、自分の性別を否定されている、それはつまり「自分そのものを否定されている」のと同じだからです。
自分の努力では変えようのない部分を親から否定されるというのは、「生きている価値がない」と言われているのと同じくらい、子どもの心を苦しめます。
何を大袈裟なと思われるかもしれませんが、子どもにとってはそれほど大きな意味を持ちます。
自分はいなくてもいいのでは…という不安
たとえば、女の子として生まれた子が、「本当は男の子がほしかった」と親から言われたとしましょう。
このような言葉を言われると、「自分は望まれていなかったのでは」と不安になります。自分を生み出した人から「自分の性別を否定される」というのは、自分の存在そのものを否定されるのと同じような意味を持ちます。
親にはそのような意図はなかったとしても、子どもの心には「女の子としての自分は、親に望まれていなかった」という1つの可能性が不安として残ってしまうのです。
「男の子が欲しかった」と言われても、女の子としてちゃんと育ててもらったのだからいいじゃないかという人もいるかもしれません。
言われた本人である「子ども」が、心からそう思えるのなら、それはそれで問題ありません。
……でも今このブログを読んでいる方はきっと、大人になった今でも過去に言われた「男の子が良かった」「女の子が良かった」という言葉に苦しめられているのではと思います。
苦しむまではいかなくても、ふとした時に思い出してなんともいえないモヤモヤを感じている人もいらっしゃるでしょう。
「男の子が欲しかった」「女の子が欲しかった」という言葉が今も忘れられないのは、自分の存在を一番認めて欲しい相手に、自分の存在を否定されたように感じているからです。
だから、今もまだこんなことで悩んでいるなんて、自分を責めないでおきましょう。
今も忘れられないのは、それだけ当時のあなたがショックだったということ。
今になって考えれば大したことないと思うような出来事だとしても、当時のあなたにとっては大問題だったということなのですから。
過去の言葉の乗り越え方
同じ言葉を言われても、何を感じるかは人それぞれ違います。
過去の言葉に傷つく理由も、忘れられない理由も一人一人違います。
だから、「男の子が欲しかった」「女の子が欲しかった」と言われた時、自分がどう感じたのかを思い出してみてください。
自分が要らないと言われているようで悲しかったのか、望まれていなかったのではと思って不安だったのか、そんなこと知りたくなかった、ではなぜ産んだのかと怒りが湧いたのか……。悲しいのか悔しいのか、不安なのか苦しいのか……。
今も忘れられない言葉があるなら「その言葉をどう感じたのか」について、考えてみてください。
この記事でお伝えしたのは、次の3つについてです。
- 「男の子がよかった」「女の子がよかった」という言葉は、周囲が想像するよりも大きな傷を残すということ。
- だからこそ、その言葉に今もなお苦しむのは、全くおかしなことではないということ。
- その言葉の「何に」苦しんでいるのかを見つけること。
この3つのステップが、今あなたが抱えている「モヤモヤ」「怒り」「悲しみ」をスッキリさせる手助けになるはずです。
理由がわかれば、対処できます。
なぜ、過去の言葉が今も忘れられないのかという理由に納得できるようになると、それだけで思い出す頻度は減り、思い出したとしても前ほど嫌な気持ちになりにくくなります。
※親が及ぼす影響の種類、弊害については、書籍『もしかしてうちの親って、毒親』をご参照ください。