「また…」ふとした時に嫌なことを思い出す…:デフォルト・モード・ネットワーク
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
・ふとした瞬間に嫌な記憶がよみがえる…
・忘れたいのに、あの人の言葉や態度が頭から離れない
・もう終わったことなのに、何度も思い出してしまって苦しい
そんな経験をしたことはありませんか?
仕事や家事の合間、電車に揺られているとき、シャワーを浴びているとき…。
ふっと気がゆるんだ瞬間に、嫌な過去や苦手な人の顔が思い浮かび、気づけばイライラやモヤモヤに包まれてしまうことがあります。
「そんな自分が嫌!」「こんな性格を変えたい」とおっしゃる方は多いのですが、
実はこれ、脳の自然なはたらきの一部なのです。
何もしていないときに頭が動き出す…?
脳には、「何かに集中していないとき」に活性化するデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と呼ばれる仕組みがあります。
これは、ぼんやりしているときや、ひとりで静かにしているときに働きやすく、過去の記憶や感情、未来のシミュレーションなどを自然に思い浮かべてしまう“脳の自動運転モード”のようなものです。
この仕組み自体は、人間にとって必要なものでもあります。
ですが…
過去に傷ついた経験が多かったり、未消化の感情がある場合は、そこに意識が向かいやすくなり、つらい記憶ばかりが繰り返し浮かんでくるという状態になってしまうのです。
なぜ、嫌な人や出来事ばかり思い出してしまうの?
人間の脳は、「危険だったこと」「傷ついたこと」を優先的に記憶するようにできています。
これは、同じような危険を避けるための“防御本能”として働くからです。
そのため、過去のイヤな出来事や、人から言われて傷ついた言葉などは、楽しい記憶よりも強く残りやすくなってしまいます。
・あのとき、どうしてあんなことを言われたんだろう
・私が悪かったのかな?
・あの人だけはどうしても許せない…
そんな思いが繰り返し浮かび上がってくるのは、あなたの心が「まだ整理できていない」「ちゃんと見てほしい」と感じているサインでもあります。
だからここで、無理に「忘れなきゃ」と思うほど、逆に意識してしまい、苦しくなってしまうこともあるんです。
過去の記憶に苦しんでいたKさんの話
Kさん(40代・女性)は、数年前の人間関係でのトラブルを、ふとした瞬間に何度も思い出してしまい、イライラと自己嫌悪のループから抜け出せずにいました。
「もう終わったことなのに、なぜか忘れられないんです。
相手のことを思い出すだけで、気分が落ち込むし、イライラもします。友達や親には、忘れた方がいい。前に進まなきゃってアドバイスされるんですけど…」
そんな苦しさを、長い間ひとりで抱えていたKさん。
カウンセリングの中で、Kさんは少しずつ、その出来事が彼女にとってどれほどつらかったのか、当時どれだけ我慢していたのか、言葉にしていきました。誰にも言えなかった「本音」も、たくさん出てきました。
「本当は、忘れることより、安心して“思い出していい場所”が必要だったのかもしれません。
なんか全部聞いてもらえて、受け止めてもらって、それだけで昨日はイライラしなかったです。夜もぐっすり眠れました。」
そう話してくれたとき、Kさんの表情がふっとゆるんだのが印象的でした。
過去の記憶は、「処理されないまま残っている感情」があると、何度も脳内で再生されてしまいます。
でも、その気持ちをちゃんと受け止めてあげることで、少しずつ脳の働きも落ち着いていくのです。
思い出してしまう自分を、責めなくて大丈夫
「また思い出してしまった…」
「私はいつまで引きずるんだろう」
そんなふうに、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、思い出すこと自体が悪いのではありません。
むしろそれは、あなたの心が「まだ整理できていない気持ちがあるよ」と知らせてくれているサインでもあるのです。
ふとよみがえる記憶に、無理にフタをするのではなく、
「そうだね、まだつらいんだよね」と、そっと気づいてあげてください。
Pocheのメールカウンセリングでは、忘れたいのに忘れられない気持ち、誰にも話せなかった過去の出来事を、あなたのペースで、あなたの言葉で話すことができます。
「もう終わったことなのに…」と、自分に言い聞かせてきたことも、
「そんなことで悩んでるの?」と誰かに言われてしまったことも、ここではちゃんと受け止めさせてくださいね。
あなたが、自分の記憶とやさしく向き合えるようになるための、第一歩を一緒に探していけますように。
そして、これからの時間が、少しでも安心していられるものになりますように。