「ちょっと言われただけなのに…」「指摘されると落ち込む…」:指摘されたときの心の持ち方
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「ちょっとドア閉めといて」
「これ、やり方違うよ」
「こうしたほうがいいんじゃない?」
こんなふうに、日常のちょっとした指摘を受けたときに、 ひどく落ち込んでしまったり、怒りや悲しみがこみ上げてしまったりすることはありませんか?
でも、指摘が苦手なのには ちゃんと理由がある のです。
今日は、「指摘を受けるのがつらい理由」についてお話ししながら、どうすれば気持ちが少し楽になるのかをお伝えしますね。
「指摘されるのが苦手」なのは、あなたのせいじゃない
「指摘されて落ち込んでしまう」 と聞くと、「自分のメンタルが弱いせい」「気にしすぎなだけ」と思ってしまう人もいるかもしれません。
ですが、そんなことはないのですよ。これまでの環境や経験によって、指摘への反応が強くなっている可能性があるのです。
ここでは、特に考えられる3つの理由をお伝えします。
① 過去に強く責められた経験がある
次に挙げるのは、過去に強く責められた経験から「指摘を受ける=責められること」という認識が無意識のうちに根付いてしまった2つの事例と、その対処についてご紹介します。
「小さい頃、親や先生によく怒られていました。少しでも間違えると『何やってるの!』『ふざけないで!』と強い口調で叱られて…。子どもながらに『怒られないようにしなきゃ』と常にビクビクしていた記憶があります。そのせいか、大人になった今でも上司や先輩から注意を受けると、頭が真っ白になってしまいます。」
過去に傷ついた経験があると、「また同じことになるかも」と警戒してしまうようになります。
上記相談者の場合は、理不尽な怒りを受けていたということ、「あの時の相手と、今目の前にいる人は違う」ということ、「過去の出来事が今のあなたのすべてを決めるわけではない」ということを受け入れることで、ゆっくりと不安を払拭していきました。
今では「推し仲間」もできたといいます。「来月は一緒にイベントに行きます!」と報告が来るほどになり、本人も「不安がなくなるだけでこんなに毎日楽になるなんて!」と嬉しそうです。
「子どもの頃、宿題やテストでミスをすると、親から『なんでこんな簡単な問題ができないの?』と言われていました。努力してもうまくいかないと、『もっとちゃんとやりなさい!』と責められて…。そのうち、『完璧にできないとダメだ』『間違えたら恥ずかしい』と思うようになりました。今でも仕事でミスをすると、必要以上に落ち込んでしまい、『また怒られるかも』と焦ってしまいます。」
幼い頃に「失敗=責められるもの」と学んでしまうと、大人になっても失敗を極端に恐れてしまうことがあります。
上記相談者の場合は、過去の影響を整理した上で、「どの言葉が今も影響しているのか」を探しました。
相談当時は、十分に睡眠が取れず落ち込みの強い状態でしたが、相談者は少しずつ元気を取り戻しました。「親とのことを否定せず聞いてもらえたこと」さらには、「自分の本音を言える場所」が見つかったことが、精神的な支えになったからです。
「今ではミスをしても、落ち込みすぎなくなった」と言い、また「焦らなくなって、どうすればいいか考えられるようになったら、上司からの評価も上がった」とのこと。カウンセリングから2ヶ月、「また怒られるかも」という不安を順調に乗り越えている最中です。
② 「間違えること=ダメなこと」だと思い込んでいる
「昔から何事も完璧にこなさなきゃいけないと思ってしまいます。だから、うまくできる自信がないことは最初から避けるようになりました。完璧な人間なんていない、それはわかっています。
でも、人から指摘されると、『こんな簡単なこともできないの?』と思われた気がして、すごく落ち込みます。『ダメな人間だ』と感じてしまうんです。」
過去に厳しく指摘された経験があると、指摘=責められている、と感じやすくなります。
相談者の場合は、「頭でわかっているのに、心がついてこない状態」でした。なぜ「心がついてこないのか」について過去を振り返ることで、「ダメな人間だと思われたくない」という思いが強いことに気づきました。
このように「頭でわかっているのにできないこと」には、自分一人では気づけない「過去の思い込み」が隠れていることが多いもの。
そのことに気づくだけでも、大きな一歩を踏み出しています。
③ 「相手の言葉を100%受け止めなければならない」と思っている
「指摘されたことは絶対に正しい」「私はそれに従わなければならない」と思い込んでしまうと、 指摘されたときに強いストレスを感じやすくなります。
次に挙げるのは、このような思い込みに悩む相談例です。
「人から言われたことは、正しく受け止めないといけないと思っています。親にそう言われて育ちました。
たとえば友人に『こうしたほうがいいんじゃない?』と言われると、たとえ納得できなくても、『自分が間違っているのかも…』と考えすぎてしまいます。意見を否定するのはよくないことだと思うので、『そうだね』と受け入れてしまうのですが、後からモヤモヤしてしまうんです。」
「昔から、何かを指摘されると『言われる前に気づけなかった私が悪い』と思ってしまいます。
上司に『この資料、ちょっと修正して』と言われると、『どうして最初から完璧にできなかったんだろう』と自分を責めてしまって…。だから、指摘されるのが怖くて、完璧にしようとするあまり仕事が遅くなってしまいます。でもこんなの、言い訳ですよね…。」
実際には、指摘されたからといって、 必ずしも相手の言うことが100%正しいとは限りません。
相手の価値観が反映されているだけかもしれないし、「ちょっと言ってみただけ」の軽い意見かもしれませんし、相手が理不尽なことを言っているだけ…ということもあります。
「指摘されるのが苦手」でも、大丈夫
指摘を受けると落ち込んでしまうのは、決して「弱いから」ではありません。
むしろ、 あなたが真面目で、相手の言葉を大切にしようとする優しい人だからこそ 、強く心に響いてしまうのです。
でも、その 優しさを守るためにこそ 、すべての指摘を間に受ける必要はありません。
たとえば、大切な人からの助言や、あなたの成長につながる指摘は受け取ってもいいかもしれません。
でも、相手の機嫌や価値観による否定的な言葉、必要以上にあなたを傷つける指摘まで、すべてを受け入れる必要はないのです。
「これは受け取る」「これはスルーする」と選び取ることは、 あなたの優しさを守るための大切なスキル 。
それは「指摘を無視する」のではなく、自分を大切にするための選択です。
あなたがあなたらしく、少しでも楽に生きられますように。