「自分には価値がない」と感じてしまう理由:無価値観の正体と対処法
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「自分はどうしようもない人間だ」
「自分なんて」
「自分には価値がないのでは」
…このように思ってしまうことは、ありませんか?
今回の記事では、「なぜそう思ってしまうのか」ということ、さらには「その気持ちを少し楽にする考え方」についてお伝えできればと思います。
「私は価値がないのでは…」の裏にある無価値観
無価値観とは、「自分には価値がない」「何をしても意味がない」と感じてしまう心の状態を指します。
本来、人の価値は何かを成し遂げたかどうかで決まるものではありません。
…ですが、さまざまな経験の積み重ねによって、「自分は存在する価値がない」と思い込んでしまうことがあります。
ここでは、どのような経験が「無価値観」につながりやすいのかということについて、4つの事例をご紹介します。
1. 幼少期に十分に認められなかった経験
「子どもの頃から、頑張ったことを認めてもらえた記憶がほとんどありません。逆にミスをすると、ここぞとばかりに怒られました。そのせいか、今でも何をやっても『どうせダメなんだろうな』と自信が持てません。仕事でうまくいっても『たまたま運が良かっただけ』と思ってしまい、自己肯定感がどんどん下がってしまいます。」
「小さい頃から、何かにつけて兄と比べられてきました。『お兄ちゃんはもっとできたのに』『お前には期待していない』と言われるたび、悔しくてたまりませんでした。でも、どう頑張っても親は兄ばかり褒めていて、私はずっと“できない子”のまま扱われてきました。」
上記のような経験が繰り返されることで、「何かできない自分には価値がない」「努力しても結果が出なければ意味がない」という思いが強化されていきます。
2. 失敗や挫折の経験
「高校生の頃、第一志望の大学に落ちてしまいました。周りの友達は合格していくのに、私だけが不合格。『今まで頑張ってきたのに、結局ダメだった』と思ったら、もう何もかもやる気がなくなってしまいました。その後、別の大学に進学しましたが、『本当はここじゃなかったのに…』という気持ちが拭えず、何をしても『どうせ私はダメな人間だ』と思うようになりました。」
「昔、仕事で大きなミスをしてしまい、上司に『君には期待してたのに、がっかりだよ』と言われたことがあります。それ以来、『私は人の期待に応えられないダメな人間なんだ』と思うようになってしまいました。仕事ができる人を見ると、『私はあの人みたいになれない』『何をやっても中途半端』と落ち込んでしまい、常に自信が持てません。」
過去の親子関係に何の問題がなくても、「その後の人間関係」における失敗や挫折が、心の傷となることがあります。
それがあまりに深い場合には、「失敗する自分には価値がない」と思ってしまうのです。失敗を恐れるあまり、挑戦することすら避けるようになります。挑戦して成功するイメージよりも、失敗する嫌なイメージの方が強烈にインプットされているからです。
3. 周囲と比較する環境にいた
「学生時代の友人がどんどん昇進したり、夢を叶えたりしているのを見て、『私だけ何も成し遂げていない』と焦ってしまいます。SNSを開くたびに、『こんなに頑張ってるのに、なんで私は何も変わっていないんだろう』と落ち込んでしまって…。本当は『自分は自分』と割り切りたいのに、どうしても周りと比べてしまいます。友人を祝福したい気持ちはあるのに、羨ましさや劣等感ばかりが募ってしまい、そんな自分にも嫌気がさします。」
上記相談者の場合は、「そんな自分に嫌気がさす」という気持ちを肯定することから始めました。羨ましさや劣等感が募るのは、ある意味では正直で素直なことでもあるからです。
そうすることで、「自分だけできていない」「自分には価値がない」という思いも少しずつ手放していきました。
4. 人間関係の中で否定され続けた経験
「前の恋人は、何かうまくいかないことがあるとすぐに私のせいにしてきました。『お前のせいで機嫌が悪くなった』『お前がちゃんとしていないからイライラする』と、どんなことでも責められました。最初は『そんなつもりじゃない』と思っていましたが、あまりにも繰り返されるので、『私が悪いんだ』『私がもっと気をつけていれば、こうならなかったのかも』と考えるようになりました。」
「仕事で『こうしたほうがいいのでは?』と提案しても、『お前の意見なんか聞いてない』『余計なことを言うな』と上司に冷たく言われ続けました。最初は頑張って発言していたけれど、あまりにも否定されるので、次第に『どうせ私の考えなんて間違っているんだ』『意見を言わないほうがいい』と思うようになりました。」
上記のような経験が繰り返されると、 「自分なんていなくてもいい」「どうせ誰にも必要とされない」と思い込まされてしまいます。
何度も繰り返し「価値がない」と思わせるような出来事があると、人はそれを信じ込んでしまうのです。
でも、それは「あなたに価値がない」という証拠ではありません。「そう思わざるを得なかった状況があった」ということなのです。
無価値観を抱えている=あなたが無価値だ、ということではありません。
「どうしようもない人間」なんて本当は存在しない
何もできていないように感じる日があっても、何も進んでいないわけではありません。
たとえ何かを成し遂げなくても、誰かと比べなくても、本来はそれだけで十分なはず。
もし「どうしようもない」と思ってしまう日が来ても、その気持ちを無理に変えようとしなくても大丈夫です。
ただ、「今はそう思ってしまっているんだな」と、そっと自分に寄り添ってあげてくださいね。
「そう思ってもいい」といったん自分の気持ちをそのまま受け入れることは、無価値観から抜け出す近道になります。
無理なく、あなたが自分のことを少しずつ受け入れられますように。