親の影響を知っても、苦しさが消えないのはなぜ?— そこがゴールではなく、スタート
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
近年、親との関係に悩み、大人になってもその影響を受けて苦しんでいる人が増えています。
「今の生きづらさは、過去の親との関係が影響している」
「親との関係が、今の自分にどんな影響を与えているのか知りたい」
そう思って、ネットの記事や本をたくさん読んだ人もいるのではないでしょうか。
…ですが、過去の影響に気づいても、すぐに楽になれるとは限りません。
それどころか、「じゃあ、これからどうすればいいの?」「今更知ったところで…」と苦しくなったり、新たな悩みが生まれてしまうこともあります。
今日は、そんな 「親の影響を知っても、苦しさが消えない」 というあなたに向けて、お話ししていきたいと思います。
なぜ苦しさが消えないのか?
親との関係が今の生きづらさに関係していると気づくことは、とても大きな一歩。
なぜなら、それまで 「自分が悪いから苦しいんだ」 と思い込んでいた人にとっては、苦しさの原因が「自分のせいではなかった」と知ることができるからです。
カウンセリングを行なっていると、「自分の性格の問題ではなく、過去に植え付けられた思い込みが原因だった」と分かるだけでも、生きづらさから抜け出せる人がたくさんいます。
だからこそ私は、「今の悩みの原因が、親の影響だったとわかるだけでも心が軽くなることがある」と伝え続けてきました。
ですが、それだけでは苦しみが消えない人もいます。
自責から抜け出した時に、親に対して怒りや悲しみといった感情が溢れてくるケースです。
たとえば、次のような思いが浮かんできて、気持ちの整理がつかなくなってしまうことがあります。
✅ 「親が原因だったのに、なぜ私ばかりが苦しまなきゃいけないの?」
✅ 「過去の影響を知ったところで、どうすればいいの?」
✅ 「こんなに苦しいのに、親は普通に生きているのが納得できない」
ですが、親の影響を知ることはゴールではなく、 自分を理解するためのスタート 。
大切なのは、原因が分かった上で、ここから 「これからどう生きるか?」 に目を向けていくことなのです。
「私ばかりが苦しいのは、納得できない」
カウンセリングでも良く聞かれるのは、次のような思いです。
「私はずっと親に否定され続けて育ちました。自信が持てないまま大人になりました。でも、親は何もなかったかのように普通に暮らしていて、家族の集まりでは笑顔で過ごしています。私だけが苦しんでいて、今も自己肯定感が低く、人と接するのが怖いのに…。『親は忘れているのに、なんで私だけ?』と思うと、虚しくなってしまいます。」
「子どもの頃、親から理不尽に怒鳴られたり、きつく当たられたりすることが多かったんです。誰かが大きな声で怒鳴るのを聞くだけで、過去の嫌な記憶がよみがえってしまうこともあります。親は『そんな昔のことを気にしているの?』と笑いますが、私は今でも思い出すたびに、苦しくてたまりません。」
「親の価値観を押し付けられ、自分の意見を持つことも許されない環境で育ちました。そのせいで、今でも人の顔色ばかりうかがってしまい、『自分はどうしたいのか』がわかりません。親は『もう大人なんだから、自分の責任でしょ?』と平気な顔をしています。私は今もこんなに生きづらさを抱えているのに、何もしてくれない親に対して、どうしようもない怒りが込み上げてきます。」
「理不尽だ」「納得できない」 と思うのは、当然のことです。怒りや悲しみがでるのも、ダメなことではありません。
むしろ、それは「あなたが前に進んでいる証拠」でもあるのです。
子どもの頃、あなたは親に対して怒ったり、悲しんだりすることができなかったかもしれません。
「こんなことを思ってはいけない」
「親に逆らったらいけない」
「私が我慢すれば丸くおさまる」
そうやって、自分の感情を抑え込みながら生きてきた人もいるでしょう。
でも今、あなたは「親に傷つけられた」と認識し、その痛みに対して怒りや悲しみを感じることができるようになっています。
それは、あなたの心が少しずつ「本当の気持ち」を出せるようになってきたということ。子どもの頃とは違う視点を持てるようになったということ。
「親に責任をとってほしい」「許せない」と思うのも、それだけあなたが「自分を大切にできるようになった」ということです。
「私はあんなに傷ついた」
「私は本当は、もっと大切に扱われるべき存在だった」
そう思えるようになったのなら、それはあなたの心が、これまでよりも「自分を守ろう」としている証でもあります。「責任をとってほしいと思うくらい、私はつらかったんだ」と認めることは、とても大切なことです。
むしろ、「私はやっと、この気持ちに気づけるようになったんだ」と、そっと受け止めてあげてくださいね。
「過去を知ること」はゴールではなく、スタート
親の影響を知ることは、決して「親を責めること」ではありません。「自分がどう生きてきたのか」を知るための、大切なステップ です。
✅ 「だから、私はこう感じていたのか」
✅ 「だから、私はこういう考え方をしてしまうのか」
✅ 「だから、私はこんなに自信が持てないのか」
そうやって、自分を知ることができたのなら、次に考えるのは 「これからどう生きるか?」 ということ。
「これから」に目を向けることが大切なのです。
過去は変えられないけれど、過去の意味合いが変わります。
「親のせいで」が、「親のことがあったけど、これからどうしていくか」に変化していくからです。そうすることで過去の苦しみは少しずつ癒えます。
「親の影響を乗り越えなきゃ」と思わなくてもいい
「今すぐ親の影響を手放さなきゃ」と思う必要はありません。
むしろ、長年染みついた思考パターンや感情を、すぐに変えようとすると、かえって苦しくなってしまいます。
だからこそ、無理をせず、 「少しずつ、できる範囲で」 考えていけば大丈夫です。
✅ まずは、「親の影響を知っただけでも一歩前進」と思う
✅ 親の影響を受けている自分を責めない
✅ 「私はどう生きたい?」と考える時間を少しずつ増やしてみる
これくらいの意識で、少しずつ 「自分の人生に目を向ける時間」 を増やしてみてくださいね。
あなたが、あなたらしく生きられる未来が見つかりますように。