白黒思考を変えるべき?——はっきりした考え方を持つあなたへ
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「自分は白黒はっきりつけたがるタイプかもしれない」
「物事を極端に考えてしまいがち」
「うまくいかないと、全部ダメに思えてしまう」
このような悩みを抱えている方もいるかもしれませんね。
世の中には「もっと柔軟に考えたほうがいい」「グレーを受け入れよう」といったアドバイスがあふれていますが、そもそも「白黒思考」は悪いものなのでしょうか?
今日は、「白黒思考を変えるべきなのか?」というテーマについて、お伝えできればと思います。
白黒思考とは?
白黒思考とは、物事を「良い or 悪い」「成功 or 失敗」「正しい or 間違い」のように、極端に分けて考えてしまう思考パターンのことです。
たとえば…
- 100点を取れなかったら、0点と同じように感じる
- 少しミスしただけで、「私はダメだ」と思ってしまう
- うまくいかないと、「もう全部終わりだ」と感じる
- 人間関係でも、「この人は良い人」「この人は悪い人」とはっきり分けてしまう
このように、物事を「どちらか一方」に決めつけてしまうのが白黒思考の特徴です。
一見、極端な考え方に見えるかもしれませんが、実はこの思考パターンには「なりやすい理由」や「メリット」もあるのです。
白黒思考はダメなもの?
白黒思考が「良くない」と言われることがあるのは、物事をはっきり分けすぎることで、自分自身を苦しめてしまうことがあるから です。
たとえば、「完璧にできなかったら意味がない」「少しでもミスしたらダメな人間だ」と思ってしまうと、自分に対して厳しくなりすぎてしまいます。
そのほか人間関係においては、「この人は良い人・悪い人」と極端に分けてしまうと、小さなすれ違いでも「もうダメだ」と感じ、関係を築くのが難しくなってしまう…ということがあります。
でも、これは 「あなたの考え方が間違っている」 ということではありません。
それだけあなたが物事を真剣に考え、誠実に向き合っているからこそ生まれる思考でもあるのです。適当に生きていたなら、白黒思考になることなどありません。
だからこそ、白黒思考を「直さなきゃ」と思う必要はないんですよ。
もしも、そのせいで「ちょっと生きづらいな」と感じた時に、少し緩めるだけで大丈夫。それだけでも、今より楽になっていくはずです。
なぜ白黒思考になるの?
白黒思考は「悪いクセ」ではなく、これまでの環境や経験によって身についた「考え方のパターン」というケースがほとんど。
特に、以下のような環境で育ってきた人は、白黒思考になりやすいと言われています。
①厳しいルールや評価の中で育った
次に挙げるのは、実際の相談事例です。
「子どもの頃から、何かミスをすると『なんでそんな簡単なこともできないの?』と強く叱られていました。『次は失敗しないように』と頑張るのですが、また少しでも間違えると厳しく怒られて…。いつの間にか、ミス=怒られること、失敗=価値がないこと、のように感じるようになりました。今でも仕事で少しミスをしただけで冷や汗が出て、必要以上に落ち込んでしまいます」
このような環境にいた人は、「成功か失敗か」「良いか悪いか」という基準で物事を判断しやすくなります。
性格のせいというよりは、「そういうものだ」と思うような環境で生きてきたことが要因です。その環境下で生き抜くために、自分を守っていくために身につけた思考と言ってもいいでしょう。
「曖昧」が苦手
次に挙げるのは、実際の相談事例です。
「友達とLINEをしていて、既読はついているのに返事が来ないとすごく不安になります。『私、何か変なこと言ったかな?』『怒らせたのかな?』と考えてしまって…。すぐに『気にしすぎかも』と思おうとしても、相手の本当の気持ちがわからないと落ち着きません。『嫌われたのなら、そう言ってくれたほうがマシ』とさえ思ってしまいます。」
「グレーな感情を持つことで生きやすくなる」「ほどほどでいいと思う方が楽になれる」という考え方がありますが、白黒思考の人の場合はハッキリしない状況が「強い不安を引き起こす」ことがあります。
物事がはっきりしていれば、「どうすればいいのか」が明確になり、迷わず進めることができますが、グレーな状態では「このままでいいのかわからない」「早く結論を出さなければ」と焦りを感じてしまうのです。
たとえば、人間関係でも「この人は信頼できるか、できないか」「自分は好かれているのか、嫌われているのか」と明確な答えを求めて相手を困らせてしまったり、一方的に関係を切ってしまう…というご相談も多いです。
③真面目で責任感が強い
白黒思考を持つ人の多くは、とても真面目で責任感が強い という特徴があります。
「いい加減な選択をしてはいけない」「間違ったら取り返しがつかない」という意識が強いため、できるだけ物事を明確に分けようとするのです。
たとえば、仕事で何かを決めるとき、「どちらの選択肢が正しいのか?」と考えすぎてしまったり、「これで本当に大丈夫なのか?」と不安になってしまうことがあります。
でも、これらは決して悪いことではありません。
むしろ、慎重に物事を考え、誠実に行動しようとする姿勢の表れです。
白黒思考にはメリットもある
白黒思考は、「変えなきゃいけないもの」ではありません。むしろ、白黒思考には メリット もたくさんあります。
例えば…
✅ 判断が早い
→ 迷わず決断できるため、行動力がある
✅ 目標に向かって努力できる
→ 「やる or やらない」が明確なので、目標に向かって頑張れる
✅ ルールを守る意識が高い
→ 責任感が強く、周囲から信頼される
✅ 白か黒か決めることで安心できる
→ 迷いが少なく、考えを整理しやすい
白黒思考は、あなたの強みでもある
「白黒思考だからダメ」
「もっと柔軟に考えなきゃ」
そんなふうに思う必要はありません。
白黒思考は、あなたの強みでもあります。それによって「判断が早い」「目標に向かって努力できる」「責任感が強い」といった長所が生まれています。
だからこそ、「白黒思考のせいで苦しくなることが多いな」と感じたときに、ほんの少しだけ柔軟な視点を取り入れてみる。特に問題がないなら、そのままでいい。
…そんなふうに、自分の体調や状況に合わせて「白黒思考」を使うことで、今よりも楽に過ごせるようになるかもしれません。
あなたが、自分の考え方を大切にしながら、もっと心地よく生きられますように。