「忘れたいのに…」どうして嫌な記憶ばかり思い出すの?~自分を守る心の仕組み

こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。

 

「過去の嫌なことばかりが頭に浮かんで、気持ちが暗くなる」

「どうして楽しい記憶が思い出せないんだろう」

「将来のことを考えると、不安ばかりが募ってしまう」

…こんな風に悩むことは、ありますか?

頭では「気にしすぎない方がいい」とわかっていても、心がついてこないこともありますよね。

 

そこでこの記事では、過去の嫌な記憶が思い浮かぶ理由や、それが「悪いことではない」と思える考え方についてお話しします。

自分の心に優しく寄り添いながら、少しずつ楽になれるヒントを見つけていきましょう。

 

嫌な記憶を思い出してしまうのはなぜ?

まず、「どうして嫌な記憶ばかり浮かぶのか」ということについて。

ここでは、特に多くみられる<2つの理由>についてお伝えします。

※「全部当てはまらない!」という場合は、過去の影響が関係している可能性が高いです。

 

1. 脳のしくみによるもの

人間の脳は、ネガティブな出来事を強く記憶するようにできています。これは、危険を察知して安全を確保するための本能です。

 

次に挙げるのは、実際に相談に寄せられた事例です。

「以前、職場の上司にミスを厳しく責められたことがありました。その時は本当に怖くて…。それ以来、また怒られるんじゃないかって常にビクビクしてしまいます。ちょっとした確認でも、『これを聞いたらまた怒られるかも』と不安になって、余計に慎重になってしまうんです。」

 

この方は、過去に受けた強いストレスの記憶が残り、同じような場面に遭遇するたびに警戒心が働いてしまう状態でした。これは、「また傷つかないように」「次は避けられるように」と、脳が危険を回避しようとしているサインでもあります。

だからこそまずは、警戒心が強くなっている理由についてお伝えし、かつ相手上司の性格にあった対応を一緒に考えていくことで、職場でのストレスは激減。今では、上司と雑談できるほどに「警戒心」が消えています。

 

さらに脳は、「過去に危険だったもの=これからも危険かもしれない」と判断し、警戒モードを発動させる仕組みになっています。

これは、「もう同じ思いをしたくない」「また傷つくのが怖い」という自己防衛の本能でもあるのです。

そのことがわかる事例を1つ、ご紹介します。

「昔、小学生の頃に同級生からいじわるをされていました。その子は、いつもハキハキしていて、少しキツめの口調で話すタイプだったんです。それから何十年も経って、もう私はいい大人なのに…。同じような雰囲気の人に出会うと、無意識に身構えてしまうんです。
その人が特別意地悪をしてくるわけでもないし、むしろ周りと楽しそうに話しているのに…。『この人も私を傷つけるかも』って思ってしまう自分がいて、そんな自分が情けないと感じることもあります。」

 

この方のように、過去に嫌な経験をした相手と「似ている人」に対して、無意識に警戒してしまうのは、とても自然なことです。

脳は「過去に危険だったもの=これからも危険かもしれない」と判断し、警戒モードを発動させる仕組みになっています。

怖かったこと、嫌だったこと、不快だったこと…それらを記憶として留めておくことで、「同じような目に遭わないように」と自分を守ることができます。

 

思い出すのは、それほどのことがあったということ。嫌な記憶がたくさんあるなら、あなたはそれだけたくさんの嫌な経験を乗り越えて頑張ってきたということ。

それは、あなたが今まで精一杯生き抜いてきた証でもあるのです。

 

2. 未解決の気持ちが残っているから

嫌な記憶が思い出される理由の一つに、「その時の気持ちが整理しきれていない」という点があります。

たとえば、誰かに言われた一言が引っかかっているとします。その時に感じたモヤモヤや悲しみが十分に表現されないまま残っていると、脳はその感情を「未解決の課題」として捉え続けます。そして、「この気持ちをどうにかしないといけない」と繰り返し思い出すよう促すのです。

ここでは、3つのパターンに基づいた相談事例をご紹介します。

 

パターン①:学生時代の出来事が今も影響している

「そういえば…高校時代、先生に『もっと周りを見なさい』と言われたことがありました。その時は深く考えなかったのですが、社会人になった今でも、指摘されるたびに『やっぱり私はダメなんだ』と落ち込んでしまうんです。」

この相談者の場合は、過去に言われた言葉が「今」にも影響を及ぼしている可能性についてお伝えし、一緒に過去を整理していきました。

そうすることで相談者は「過去の言葉」から抜け出して、「今の自分」「今の状況」を楽しめるようになっていきました。

 

パターン②:過去の上司の一言が今も心に残っている

「前の職場で、上司に『気が利かないな』と言われたことがありました。その場では笑ってやり過ごしましたが、家に帰ってからずっとモヤモヤが残っていました。今の職場では別の上司がいますが、少し注意されるだけで『また言われるかも…』と過去の記憶がフラッシュバックしてしまいます。」

この相談者の場合は、自分自身で「過去の上司の言葉が残っている」ことを自覚していました。

その上司の言葉や状況について振り返り、一緒に考えていくことで、「過去の上司の言葉」を少しずつ乗り越えていきました。カウンセリング後には、気持ちが切り替えられるようになり、上司の嫌な言葉も思い出さなくなっていました。

 

パターン③:些細な言葉が心に残り続ける

「ある日、同僚に『あなたって変わってるよね』と言われました。その時は軽く流したつもりだったのですが、それ以来、ちょっとした場面で『私、また変なこと言っていないかな?』と過剰に気にしてしまうようになりました。誰かと一緒にいるときも、常に『ちゃんと話せてるかな?』と不安で、疲れてしまいます。」

この相談者の場合は、カウンセラーや医師にさえも気を遣ってしまうような状態になり、「自分の気持ち」を話せなくなっていたため、メールカウンセリングを利用されました。

不安になった時の対処法を一緒に試していくうちに、次第に「相手の言葉」を受け流せるようになっていきました。

 

嫌な記憶は勝手に消えることはなく、まるで「冷凍保存された」ような状態で、ある時ふと生々しく蘇ることがあります。そして特に何も対処しなければ、長い間あなたを苦しめてしまいます。

だからこそ、嫌な記憶が浮かぶのは、まだ終わっていない感情を整理するチャンス。ここで気持ちを整理してあげれば、今後の人生であなたが苦しめられずに済みます。

 

さいごに

嫌な記憶が浮かぶのは、あなたの心が「これ以上傷つかないように」「安全でいられるように」と働いている証。「今の私にはこういう感覚があるんだな」と受け止めてみてください。

 

たとえば、「あの時、私は傷ついていたんだな」「あの言葉が悲しかったんだ」と心の中でつぶやくだけでも十分です。

感情を認めることで、「自分の気持ちが否定されていない」と安心感が生まれます。

 

それでもやっぱり嫌な記憶が頭から離れない時は、ほんの小さな行動を挟むことで、気持ちを切り替えてみましょう。

たとえば、深呼吸をする、窓を開けて外の空気を吸う、好きな飲み物を飲む……。こうした行動は、脳の思考の流れをリセットする効果があります。

 

無理に「思い出さないようにしよう」としなくても、「一度休憩しよう」と軽く考えるだけで心は少しずつ軽くなります。

その上で、自分が楽になれる行動を少しずつ取り入れていけば大丈夫です。

 

無理に変わろうとしなくても、今のままのあなたで十分に価値があります。

どうか安心して、自分の心に優しく寄り添ってくださいね。

「そんなこと、一人では難しい!!」と思われる場合は、いつでもご相談ください。

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Posted by poche