子どもは親を『選ばない』│毒親育ち・流産中絶・不妊治療で苦しむ人に伝えたいこと
こんにちは。
心理カウンセラーのPocheです。
今日の記事は『子どもが親を選んで生まれてくる』という説について。
最初にお断りしておきますと、このような考えを持つ方を批判したり、考えを変えさせようとするための記事ではありません。
親に苦しんでいる『子ども』に向けて書いた記事です。
(すでに大人になっている、毒親育ちの子どもを含みます)
- 自分が親を選んだのだから、我慢しないといけない。
- 選んで、産んでもらったことを感謝しないといけない。
- お母さんをこんな風に変えたのは、私の責任だ。
このように自分を責めて、親と離れられずに苦しんでいる方へこの記事が届きますように。
「色々な考え方があるんだよ」ということが、伝わりますように。そう願い、書き進めていきます。
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『子どもは親を選んで生まれてくる』説とは
生まれる前の世界は雲の上のようなところで、お空の上には赤ちゃんや子どもがたくさんいて、「この人が良い!」「この家に生まれたい!」と自ら選んで生まれてくる。
子どもは皆、自分の意思で親を選んで生まれてくる。
どうやって親を選んだのかについては、「テレビのようなものに映されていた」という子もいれば、「お空から下が見えた」という子もいます。
大仏さんが座っていて、その様子を見守っていたという子もいます。
(「この親にしなさい」とは言わず、見守るだけ)
兄弟がいる場合は、生まれる前に「どんな順番で生まれるか話し合いしている」という説もあります。
病気で生まれるか、元気に生まれるかも、「自分で決めて生まれてくる」という説もあります。
虐待するような親の元に生まれてきたのは、「そんなことしちゃいけないよ」と教えてあげるためという説もあります。
これが『子どもは親を選んで生まれてくる説』の大まかな内容です。
私は、胎内記憶や生前記憶の研究家でもありません。産婦人科医でもありません。
なにが正しくて、何が間違っているかは分かりません。
考え方や捉え方は
人それぞれです。
いちカウンセラーとしてこの記事を書いています。
その上で、これまで毒親問題と接してきた立場でハッキリと申し上げます。
『子どもが親を選んで生まれてきた』なんて、無理やり思い込まなくていいです。
あなたが選んだんじゃない。
あなたが責任を取る必要はない。
あなたは、たまたまその家に生まれてきただけ。
前世がどうとかも、関係ない。
「私の居場所はここじゃない」
そう思ったら離れていいし、その親を選んだのは自分なのだから「一生かけて償わなきゃ」なんて思わなくていい。産んでもらったことに感謝して、一生を捧げなくていい。
あなたの人生はあなたのもの。
今はまだそう思えないかもしれないけれど、苦しい時には思い出してほしい。少し楽になるかもしれないから。
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子どもは親を選ぶのか
「子どもは親を選んで生まれてくる」という絵本が増えだしたのは、2002年頃から。
その頃から、少しずつ『親になった子ども(毒親の元で育ち、親になった人)』からの相談が増えてきました。
- 「私は、親を選んで生まれてきたのでしょうか?」
- 「自分で選んだ親なのだから、嫌いだと思うのはワガママなのでしょうか?」
このような悩みを抱える「子ども」が、ジワジワと増えてきたのです。
そしてその相談数は、『毒親』が認知されるのと同時に、どんどんと増えていきました。
「自分の親は毒親かもしれない」と気がつくことで、「自分が本当にこんな親を選んだのか?」と疑問を持つ子どもが増えたのでしょう。
それと同時に「自分で選んだのだとしたら、親がこうなったのは私の責任なのか?」「やっぱり私は生まれない方がよかったの?」と、自分を責めてしまうケースも増えてきました。
自分が悪いと思うからこそ誰にも相談できず、大人になるまでずっと一人で耐えてきた人も多いです。
毒親に苦しむ『子ども』の声
「お空から選んできた」という事実を認めるように強要されたり、「あなたが選んだのだから」と責任を感じるようなことを言われたりして悩んでいる人が大勢います。
厄介なのは、大人になってもこの言葉に苦しめられること。
親にとって子どもは、いつまでたっても「子ども」だからです。
20歳を過ぎても、30歳になっても…何歳になってもこの言葉に苦しめられてしまいます。
ここでは特に相談が多い、3つの例について取り上げます。
この言葉に悩む「大人になった子ども」の心が、少しでも解放されることを願って、私なりの回答をさせて頂きます。
「あなたは、お空でお母さんを選んで生まれてきたんだよ!ありがとう!ずっと一緒に居ようね」
厄介なのは、小さい頃から教え込まれたケース。
子どもが生まれる前から「子どもは親を選んで生まれてくる」という絵本を親が読んでいて、物心つく前から読み聞かせられたというものです。
自分でも「選んで生まれてきたのだ」と思い込んでしまっているので、この考え方からなかなか抜け出せません。「お母さんを悲しませちゃダメだ」「ずっと一緒に居なきゃダメだ」と、自分で自分にプレッシャーを与えてしまいます。
だけど、あなたは本当に自分で選びましたか?そのような記憶がありますか?よく考えてみたら、親にそう言わされていただけではありませんか?
あなたが選んでやってきたかどうかは、あなたにしか分かりません。
『私は親を選んで生まれてきたわけではない。ずっと一緒にいる義務もない。』そう思っていいのです。
「アンタがこの家を選んだんだから、お金を入れろ!お金がないって分かってて、助けに来たんだろ!産んでやったんだから、それくらい感謝しろ!」
- 子どもは家の金銭状態も知ったうえで、やってくる。
- 親を助けるために、生まれてきた。
このような考えを持つ親から、言われることがあります。
これに対しての私の答えは、『あなたは選んでいないし、お金がないのは親の問題。あなたに親を助ける責任はない』です。
もし仮にあなたが親を選んだとしても、お空の上にいる赤ちゃんが『家の金銭状態』まで把握できるでしょうか?
この家に生まれて、「お金を稼いであげよう!助けてあげよう!」なんて発想に至るでしょうか?
どちらにせよ、あなたには助ける義務はないのです。
金銭的に援助しないからといって、自分を責める必要はありません。あなたにも、あなたの生活があるのですから。
産んでもらったことに、感謝してもいいでしょう。
ですが、育った環境次第で、感謝できなくてもいいと思います。
「感謝しろ!」と、人から言われて感謝するものではありませんし、ましてや親が子どもに言うような言葉ではありません。
感謝することと、これまで言われたこと・されたことを許すのは別問題です。
「あなたがお空でお姉ちゃんになりたい!って決めたんでしょ?もっとちゃんと、お姉ちゃんらしくしないと!」
親が「お空の上で兄弟姉妹が話し合って生まれてくる」、という説を信じている場合に起こるトラブルです。
悩みを抱えるのは、長女と長男。
「お姉ちゃんなんだから」「お兄ちゃんなんだから」と言われ、甘えることを許されなかったり、本来親がすべきことを押し付けられたりします。
大人のようなふるまいを求められるのに、その子の考えや意見は認めてもらえません。(子ども扱いされる)
かといって子供のように甘えようとすると、「お兄ちゃんでしょ!」「恥ずかしい」と大人のような扱いを受けます。
親の都合のいいように、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」という言葉を使われてしまうのです。
だけどあなたには、本当に選んだ記憶がありますか?
親からそう言われて育っただけではありませんか?
『自分が選んでお姉ちゃん(お兄ちゃん)になったのだから…』なんて、思わないこと。自分を責めないこと。
「好きで選んだわけじゃない」「望んでこうなったわけではない」と、思っていいのです。
たいていの場合は「あなたに押し付けるための言い訳」でしかないのですから。罪悪感を感じる必要は全くありません。
不妊治療で苦しむ『夫婦』の声
悩むのは、子どもだけではありません。
「子どもが親を選ぶ」という説は、子どもを授かりたいと願う夫婦にも影を落とします。
子どもが親を選ぶのなら、どうして私たちは選ばれないのか?親になる資格さえ、ないというのでしょうか?
「何であんな人が?」と思うような人でも、妊娠しています。でも私は、ずっと妊娠できません。
だとしたら私は、あの人たちよりもおかしな人間なのでしょうか?だから子どもが、私の所に来てくれないのでしょうか?
このような考え方は
信じなくていい。
考え方はそれぞれですし、何を信じるかもその人の自由です。
だけど、「子どもは親を選んだ」という考えを他人に強要するのは違います。
このようなことを言われても、自分を責めないでください。
不妊治療という精神的・肉体的にも負担の大きなものに向かい合っている二人が、これ以上傷つきませんように。
もう一度言いますね。
あなたが苦しむような『仮説』は信じなくていいです。
流産・中絶で苦しむ『女性』の声
- 私を選んできてくれたのに、産んであげられなかった。
- 私のお腹を選ばなければ、あの子は生きていたかもしれない。
- 私のせいで、あの子の人生を台無しにしてしまった。
流産や中絶は、心と体に負担の大きなものです。
ただでさえ女性は自分自身を責めてしまうというのに…
このような仮説を信じて、これ以上苦しまないでください。
あなたのせいではありません。
あなたのお腹に来たから、なんて自分を責めないでください。
他の人のお腹だったら、なんて自分を追い込まないでください。
辛いと思います。苦しいと思います。しんどいと思います。
あの時ああしていれば、あの時あんなことしなければ…未だに脳裏をよぎるかもしれません。
でもその時のあなたには、どうすることも出来なかった。
赤ちゃんもあなたも、病院の先生でさえ、何も決められないのです。選べないのです。誰の責任でもありません。
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思うのは自由
冒頭でもお伝えしたように、何を信じて、何を信じないのかは自由です。幸せの形も人それぞれです。
「子どもは親を選んで生まれてくる」
そう思う事で子どもを愛おしく思えたり、育児を頑張れるというのなら、そのような考え方も良いと思います。
だけど、自分が信じているものを他人に強要するのは違います。
親が子に「子どもは親を選んで生まれてくる」という考えを押し付けたとき、この言葉が呪いのように子供にのしかかります。
- お母さんのために人生を捧げないといけない
- お母さんを幸せにするのは、自分の役目だ
- 自分が選んだ親だから、我慢しないといけない
- 虐待されるのも、自分のせいだ
このように、無意識に責任を感じている子どもは多いです。
親子関係において、子どもに強要すべきではありません。
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何を信じるかは「あなた」が決める
「子どもは親を選んで生まれてくる」という説を信じている方は、多いです。
それが良いとも、悪いとも思いません。その人の心は、その人の自由です。
ですが私は、
そう思えません。
これは私の意見です。
毒親問題で苦しんでいる方を大勢見てきたからこそ、どうしてもそうは思えません。
本人でさえ分からないというのに、子どもが親を選んだかどうか親に分かるはずがないのです。
「あなたは私を選んできたのだ」という言葉で、コントロールしているようにしか思えないのです。
親の問題は、親のものです。
子どもに責任はありません。子どもが一生背負う必要もありません。
親のために生まれてきたのではないのですから。
Poche
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