【毒親育ちは甘えてる!?】これって逃げ?甘え?~毒親から抜け出す5つのステップ
こんにちは。
心理カウンセラーのPocheです。
今日の記事は、毒親育ちの方が抱えやすい『悩み』について書いていきます。
私って甘えてるの?
私って逃げてるの?
このように感じて悩んでいる方に、この記事が届きますように。
誰にも相談できずに苦しんでいるあなたの心が、少しでも軽くなりますように。
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毒親から抜け出す5つのステップ
毒親育ちの子どもが、親から抜け出すためには5つのステップがあります。
ここでは『心の動き』にみられる、5つの段階についてお伝えします。
(毒親と物理的に離れるステップについて、今回は触れていません)
1│毒親だったと気づくこと
誰かと比べて、「自分の家はまだマシだ」と自分を納得させる必要はありません。
毒親=悪人ではありませんし、いい人だけど『あなたにだけ』そうではなかったケースも考えられます。兄弟姉妹で扱いが違うケースも多いです。
大人になった今でも、親に言われたことや親の価値観に苦しんでいるのなら、「あなたにとって毒親だった」。それが事実です。
毒親だと思う事に罪悪感を感じる必要はありませんし、あなたのせいで毒親になったなんて自分を責める必要もありません。
2│違和感に気づくこと
毒親だと気がつく前は「これが当たり前」「嫌だけど仕方ないのかな」と思い込んでいた物事に、「あれ?」という違和感を覚えるようになります。
まるで洗脳が解けていくかのようにポロポロと過去の記憶や言葉が蘇り、「あれはおかしかった!」「私は悪くなかったのでは?」と考えられるようになっていきます。
この時点で「もう嫌いだ!」「知らない!」と怒りを吐き出せる人は、スムーズに次のステップに進むことができます。
時間がかかるのは、親から罪悪感を刻まれているケース。
「私が悪かったかもしれない」「もう十分に良くしてくれたし…」と、自分が悪かったように感じてしまい、罪悪感や恐怖から次のステップに進むことをためらいます。
言うことがコロコロ変わる親の元で育つと、子どもは毎日親の機嫌を伺うようになります。
とはいえ相手は毒親。どれだけ気を付けても、どれだけ頑張っても、親の一方的な感情で怒ったり責めたり…かと思えば、急にあなたに優しくしたりします。心を支配するのがうまいのです。
3│怒り・悲しみを吐き出す
※ステップ3とステップ4の順番が逆、もしくは同時、一方のステップしかない方もいらっしゃいます。
「自分にとって毒親だったのだ」と信じることができるようになると、だんだんと気持ちが溢れてきます。
- なんであんなことしたの?
- どうして私のことを分かってくれなかったの?
- お誕生日会に行きたかった!
- 部活も自分で選びたかった!
- 本当はあの学校に行きたかった!
- どうして妹や弟には優しいの?
- 私の方が頑張っていたのに!
鍵をかけて蓋をしていた『心の箱』がパカッ!と開かれたように、子どもの頃は「仕方ない」で済ませていた出来事が次々に蘇ります。そして、止まりません。
4│愛されたかった気持ちを認める
※ステップ3とステップ4の順番が逆、もしくは同時、一方のステップしかない方もいらっしゃいます。
怒りや悲しみ、過去の記憶が溢れてきた時。
「もうあんな親、大嫌い!」「あんな親、もう知らない!」と思えるなら、このままステップ5に進むことができます。
ですが、そう思えないケースも多いです。
「苦手だ」と思えても、嫌いになれない。嫌いだと自覚しても、「大嫌い」になれない。
根っこにあるのは、『親が好きだった』という気持ち。
どんな酷い親でも、自分を愛してくれなくても、『子どもは親が大好き』です。人としての本能です。
成長過程で「この人、嫌い」「合わない。苦手」と気がつくことはあっても、最初から親が嫌いだというケースは稀。
(私はまだ出会ったことがないです)
虐待やネグレクトの酷い親の元で育った子どもでさえ、「3歳ころまでは、殴られても大好きだった。だんだん嫌いになったけど。」「小学校に入るまでは、無視されてもママが好きだった。」と話すケースもあります。
- 本当は、愛されたかった。
- ありのままの自分を認めてほしかった。
- 大好きだった。
こういった気持ちがあったことに気がつき、『あの親にそれは期待できない』と認めることができると、やっと次のステップに進めます。
数年間、ステップ5とステップ4を行ったり来たりすることも多いです。
※これは一例です。『ステップ4』は複雑でデリケートなので、状況に応じて個別にカウンセリング対応しています。
5│もういいや、と思える
すべての気持ちを吐き出したあとに直面するのが、『親を許すのかどうか』という問題。
「許さなきゃ」と思うと、「許す」or「許せない」という究極の選択を迫られます。許せない自分はダメだ、まだ許せないなんて成長できていないのではないか…。そう自分を責めてしまいがちです。
では、こう考えてみてはいかがでしょうか。
「許さなくてもいい」
そもそも許せなくていいのだから、親をどう思おうと、自分を責める必要はありません。
許せるようになったら、許しても良いと思います。
許しても許せなくても、どちらでもいいのです。
周りの人や医師やカウンセラーが「許した方がいい!」と言ったとしても、あなたがそう思えなければ従う必要もありません。
許すかどうかは、『あなたの心の中の問題』だから。
こう思えるようになると、『許す』『許さない』に縛られなくなります。
だんだんと『もう、どっちでもいいや』と思えるようになっていきます。
すると、親のことを想い出す回数が圧倒的に減ります。
嫌な言葉が頭をよぎりません。
失敗したときに、親の顔が出てきません。
何かを決める時に「親はどう思うか」なんで、考えることもなくなります。
本当の意味で
親から解放されます。
- 自分が自分らしくいられる。
- 自分の好きな物がわかる。
- 自分が嫌いなものがわかる。
- 好きか嫌いかで選べるようになる。
これが私の考える『毒親から抜け出すゴール』です。
許すも許さないも、あなたの自由です。
※「親を許さなくてもいい」という私の考え方は、【>>こちら】の記事に詳しく書いています。
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毒親育ちは甘えている?
本題に入る前に、あなたにお伝えしておきたいことがあります。
今あなたが「私、甘えてるのかな?」という不安を持っているのなら、胸を張ってください。
あなたは前に進めています。
この問題は毒親だと気がつき、違和感に向き合い、自分の感情を出している最中に起こるものだからです。
さきほど紹介した5ステップで言うと、「ステップ3」「ステップ4」「ステップ5」の人たちが抱える悩みなのです。
ここまでよく頑張りましたね。
さて。
『毒親』という言葉が広まる一方で、このような悩みを抱える人が増えてきました。
- 勇気をもって親のことを相談したら、「それって甘えじゃない?」と言われた。
- 「毒親、毒親っていう人って、なんでも親のせいにしてるだけだよね」という批判的な意見を言われた。
- 「もういい大人なのに、まだ親のせいにしてるの?」と、冷ややかな目で見られた。
誰かから直接言われて傷ついたという人もいれば、SNSで批判的な意見を目にして「自分で自分を責めてしまう」という人もいます。
だけど、あなたが落ち込む必要はありません。傷つく必要もありません。
このような意見をぶつけている人は、『普通の親のもと』で育った人たちだからです。
- 「私だって大変だったけど~」
- 「ウチの親も何かあったら叩いてきたけど~」
- 「私の家も、めっちゃ過保護だったよ~」
このように「大変なのは、毒親持ちだけじゃないよ」というニュアンスのことを言われるかもしれません。
でも、
そうじゃないんです。
親が、何をしたかが問題なのではありません。
大変だったかどうかが重要なのではありません。
毒親は、大人になってもその子の『心』を縛り付けるのです。
毒親育ちの子どもは、親の言葉にずっと苦しめられ、自分の何が悪いのかと悩み、考える力さえ奪われます。
子どもが大人になっても、親に苦しめられているか。
親との過去に苦しんでいるか。
毒親かどうかの判断基準は、そこにあるのです。
毒親育ちは『自分を責める』
結論からいうと、私が今まで接してきた毒親育ちの方は、誰一人として甘えていません。
この記事を読んでくださっているあなたも、その一人です。
「甘えているのではないか?」と感じている時点で、あなたは甘えていません。
毒親育ちの子どもは、
自分を責めます。
これは、決してあなたのせいではありません。
子どもの頃にそうするのが当たり前だったり、そうしないと生きていけなかったり、そうしないときに罰が与えられることを無意識に自覚しているからです。
- 明らかに親が悪くても、親を責めることは許されなかった。
- 親を責めたら、ますますひどい目に合う。傷つけられる。
- 自分が我慢して、謝った方が、早く終わる。
子どもなりにたくさん考え悩んだ結果が、『自分を責めた方がいい』なのです。
そして大人になるにつれて、自分でも意識せずに『自分が悪い』と思い込むようになります。
いつも不愛想なあの人、態度の悪い店員、機嫌の悪い上司、失礼な親戚、苦手なあの人…問題は相手にある時でさえ、「私が何かしたかな?」「良くないことを言ったかな?」「私のことが嫌いなんだろう」と、無意識に自分を責めてしまうのです。
もう一度いいます。
あなたは甘えていません。
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これって『甘え』なの?
そもそも周囲の言う『毒親は甘えている』の『甘え』とは何なのでしょうか。
これまで受けた相談から察するに、『甘え=責任転換』を意味していることが多いように感じます。
毒親の愚痴を言うのは甘え?
いいえ、違います。
毒親について、大人になっても悩むのは甘え?
これも違います。
それほどの傷を残されたのですから、悩むなというのは無理な話です。それに本人だって、悩みたくて悩んでいるのではありません。
毒親のせいでこうなったと思うのは甘え?
これも甘えではありません。
自分の悩みについて考えた時に、「幼少期の親とのかかわりが関係していた」と気がついただけです。悩む過程で見つけた、事実です。
本来自分で解決しなければいけないことについて、『自分では全く努力もせず』『他人がやって当然』だと思うのが『甘え』です。
悩んだり親を責めたりしたところで、それは甘えではありません。
これは甘えじゃない!具体例3つ
冒頭でもお伝えしたように、毒親育ちのほとんどは甘えていません。
だけどそう言われても、まだ自信が持てないという方もいらっしゃると思います。
そこでここでは、具体例を3つ挙げてご紹介していきます。
【ケース1】
小さい頃からずっと「お前は何をやってもダメだねぇ」と言われて育った。そのせいで、どうしても自分に自信が持てない。
これから就職活動があるが、ちゃんと面接で話せるのか…不安で毎日眠れない。
次のような考え方は甘えではありません。
・「自信が持てないのは、親のせいだ!だけど、どうやったら責任が持てるようになるんだろう…」
⇒今の状況から抜け出すために、事実に気がついて悩んでいるだけです。
・「人前で話せないのは親のせいだ…。だけど就職しないと家から出られないから、面接のない仕事を探そうか…」
⇒親のせいだと思う=甘えではありません。その状況で出来ることを見つけています。
・「今でも親の言葉が頭に浮かんで怖い…。どうしてあんなこと言われなきゃいけなかったんだろう。就職活動、不安だなぁ…」
⇒毒親を認識して、気持ちを出せるようになった段階。不安になるのは当然のことです。
【ケース2】
親は出来ちゃった結婚。私は愛されなかった。目を見て話してくれたり、抱きしめてもらった記憶がない。
好きな人ができても、「こんな自分を愛してくれるのか?」と怖くなる。
次のような考え方は甘えではありません。
・「親が愛してくれなかったから、私は愛されることが怖い。周りが羨ましい…」
⇒毒親だと認識し、どうして「愛されるのが怖いのか」に気がついています。次に進むために、必要なステップです。
・「親でさえ愛してくれなかったのに、自分を愛してくれる人は現れるのかな…。どうやったら自分に自信が持てるのかな…まだ無理だなぁ」
⇒どうやったら自分に自信が持てるのか、というところまで進めています。「まだ無理」と思えるのも、成長しているからこそです。
・「親に人生を台無しにされたと思う。愛されなかったから、結婚も、出産も怖い。だけど幸せになりたい。私は私と思えるようになりたい」
⇒愛されなかったという事実、それによって起こる弊害まで認識し、さらに先に進もうとしています。毒親から抜け出す最終ステップです。
【ケース3】
一人娘で、いつも母親と一緒だった。学校であったことは、1から10まで全部話さないといけないし、洋服もおもちゃも「母が好きなもの」じゃないと不機嫌になって大変だった。「ママのこと、好きじゃないのね」って言うから。
そのせいで、何にも選べない自分になってしまった。
次のような考え方は甘えではありません。
・「自分の好きな物なんて、分かんないや。だってこれまで、お母さんの言うとおりに生きてきたんだから」
⇒毒親だと認識できるようになっただけです。毒親と思う=甘えではありません。
・「お母さんのせいで好きなものを好き!って言えなくなった。だけど本当は柔道部に入りたかったし、スカートよりズボンが好きだった…今も、悲しい。」
⇒「大人げない」「まだそんなこと言っているのか」と非難してくる人もいますが、違います。やっと過去の自分と向き合い、その時の気持ちを出せるようになったのです。大切なステップです。
・「自分の意見を言うのが苦手なのは、幼少期の関わりのせいだって気づいた。今からでも、何とかできるのかなぁ」
⇒毒親との生活で、思考がどのように偏ってしまったのか(自動思考)まで気がつくことが出来ています。今から変わろうとしています。
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それでも心配になったら・・・
- 毒親育ちは甘えている!
- 毒親育ちは逃げている!
- 毒親育ちは、親のせいにしている!
たしかに、そのような人もいるかもしれませんね。
でもあなたは違う。
親のせいにして甘えているような人は、こんな記事を読まないから。
「甘えているのかな?」って思う人は、実は甘えていないんだよ。
むしろ自分に厳しすぎることの方が多い。
親を優先しなきゃいけない人生だったから、自分のことが後回しになっちゃうんだよね…。
「逃げているのかな?」って思う人は、実は逃げてないんだよ。
自分の考えや状況に向き合っているから、そう感じるの。
むしろ逃げていい時もある。
「都合よく親のせいにしているのかな?」って思う人は、自分をつい責めちゃうクセがある。
よく考えてみて。
「誰かのせいにしている」のは、あなたじゃなくて『親』でしょう?
親がやらなきゃいけないことをあなたに押し付けて、親の責任をあなたの背負わせて、親が不幸なのもあなたのせいにする…。
あなたは十分、それに従って、支えて、助けてきてあげた。
甘えているのはあなたじゃなくて、親。
そんなあなたが「毒親でこんなに悩んだ!」「毒親のこんな言葉に今も苦しんでいる!」と言ったところで、甘えじゃないんだよ。
周りの人は、あなたのことを何も知らない。
あなたの笑顔の裏に、どんな辛い生活があって、どれだけ気を遣っていて、どれだけ自分を押し殺して生きてきたかを知らない。
だから「甘えてる」なんて、あなたが罪悪感を感じるようなことが平気で言えるの。
カウンセリングに訪れる人と話すたび、メールカウンセリングで内容を見るたび、SNSの心無い書き込みを見るたび、いつも胸が締め付けられる想いでした。
十分頑張って耐えてきて「あなたは悩まなくていいんだよ」という人ほど、傷ついて悩んでしまう。
何もできない自分、その現状がもどかしくて…。
だから今回の記事を書きました。
あなたはやっと、おかしいと気が付けたんだよ。
やっと、自分のことで悩めるようになったの。
やっと、自分の意見を言えるようになったの。
よくここまで頑張った、本当にそう思います。
今回「甘えかどうか」というタイトルで記事を書いていますが、今までたくさん頑張ってきたあなたは『もっと甘えていい』と思うんです。
あなたがあなたらしく生きるために、前に進むための一歩を踏み出せますように。
Poche
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