「あなたの親」があなたを苦しめる理由~ACの親もAC
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日は、なぜ「親」が子どもを苦しめるのかについて、お話していきます。
※このブログは音声サイトvoicyでも配信しています。
大切な事なので、最初にお伝えしておきます。
この記事の目的は、あなたが親の苦しみについて知り、親を許すことではありません。あなたの親を恨み、責め続けることを推奨することでもありません。
親がかわいそうだとしても、
親に理由があったとしても、
あなたが負った心の傷は別問題です。
子どもを苦しめる親は、子どもをコントロールしようとします。コントロールしているという自覚なく、「あなたのため(子どものため)」と思っていることもあります。
コントロールや過剰な干渉を受け続けた子どもは、親を責めることもできず「自分がダメだから…」と思い込みます。
でも、違います。
コントロールされるのも必要以上に干渉されるのも、「あなたが悪いから」「あなたがダメだから」ではありません。
多くの場合は、「親自身が自分の心」に問題を抱えているのです。
「親」と「子どもを傷つける親」
世の中には、2種類の親がいます。
1つ目は、子どもの気持ちを考え、子どものために行動できる「親」。
2つ目は、自分の気持ちを第一に考え、自分のために子どもを使う「親」です。
この記事では分かりやすくするために、1つ目の親のことを『親』。
2つ目の親について、『子どもを傷つける親』と表現することとします。
※「子どもを傷つける親」というのは、いわゆる「毒親」「親子逆転の親」「コントロールする親」といった親が該当します。
子どもを傷つける親のルーツ
子どもを傷つける親のルーツをたどると、ある1つの共通点にたどり着きます。
それはその親自身が、子どもの頃に十分に親に愛されていないという心の傷を持っているということです。
- 子ども時代に、トラウマを経験している
- 親を失った(死別、離婚、絶縁)
- 親に甘えられなかった
- 身体的または性的な虐待、精神的な虐待を受けて育った
- 親に精神障害があった
- 両親が不仲だった
- 家庭で親子逆転が起こっていた
このような心の傷を負いながら、誰にも助けを求められず大人になったのが『あなたの親』なのかもしれません。
大切な人が急にいなくなってしまったり、信頼していた人に傷つけられたり、裏切られたり…このような経験が積み重なる中で、あなたの親は人を信用できなくなったのかもしれません。
このように誰も信用できない中で、「また何かを失うかもしれない」という不安を抱えたまま大人になると、精神的な面で大人になりきれません。
つまり、精神面が子どものまま。大きな子どものようなイメージです。
あなたは自分の親に対し、このように感じたことはありませんか?
- 私と親、どっちが大人なんだか…
- なんでそんなことで怒るの?
- なんでそんなことで拗ねるの?
- 親は、全て自分の思い通りになると思ってる…
親に対し、「どうして大人なのに、こんなことするの!?」と思う事もあるでしょう。
ではもし、あなたの親の精神状態が「4歳」くらいだとしたら、いかがでしょうか。
これまでの親の行動に、納得できる部分がありませんか?
「子どもを傷つける親」の多くが精神面で子どものままです。
大人になりきれていないので、親としてやるべきことが果たせません。
「子どもがどう感じるか」よりも、「自分がしたい事」「自分がしてほしい事」を優先させてしまうのです。
子供を傷つける親の「勘違い」
子どもを傷つける親は、2つの重大な勘違いをしています。
意識している場合もあれば、無意識の場合もあります。
いずれにせよこの2つの勘違いは、子どもを苦しめます。
あなたが親に抱いている罪悪感も、この2つの勘違いが生み出したものかもしれません。
1.子どもは親の所有物
子どもを傷つけたり、利用したり、子どもの望むものを与えず、望まないものを与える…。
これは、子どもを一人の人として尊重できていない証拠です。
子どもを傷つける親の多くが、無意識もしくは意識的に、「子どもは自分の所有物」だと思っています。
だから言うことを聞かないと、怒ります。
所有物に「逆らう権利はない」と思っているからです。
一方で、どれだけ尽くしても満足しません。感謝しません。
所有物だから、そうするのが当たり前だと思っているからです。
もちろんこれらは全て、親の勘違いです。
子どもは、親の所有物ではありません。
2.子どもは親に借りがある
親は、自ら親になる道を選んだ結果、親になったのです。
もしかすると、十分考え尽くした結果ではなかったかもしれません。
でも理由や原因は何であれ、親が自分で決断したことに変わりはありません。
一方で子供は、自分の意思で生まれたのではありません。
親に「産んでくれ」と、頼み込んだわけでもありません。
親の子どもだからという理由で、その親に借りがあるわけではないのです。
……この記事をここまで読んでくれたあなたはきっと、親に何かしらの感謝や罪悪感を抱いているのではと思います。自分自身が親になって、親の大変さを理解した人もいるかもしれません。
産んでもらったのが当たり前、育ててもらったのが当たり前、ということではありませんし、感謝している人は感謝したままでいいし、反対に感謝できない人は感謝できないままでいいのです。
大切なのは「自分の気持ち」をそのまま受け止めること。
あなたにお伝えしたいのは、「産んでもらったから」「育ててもらったから」という理由でそこまで我慢しなくていいんだよということなのです。
これまでのことは「親のせいではない?」
親が子ども時代に苦しんでいたことを知ることで、「自分が親に不満を抱いていたこと」に罪悪感を覚えることがあるかもしれません。
親も子どもの頃に苦しんでいた。だから彼らは、子どもの頃に心に傷を負った。
その傷を癒せないまま大人になったから、あのような親になり、私を傷つけた。
だとしたら、親が私を傷つけたのは「親のせい」ではないのかもしれない。
私が親に不満をもったり怒りを持ったりするのは、いけないことなのではないだろうか。
……このように悩む人もいるでしょう。
それは違います。
親が子ども時代に心の傷を負っていたことを知ったからと言って、親があなたにしたことが帳消しになることはありません。
親が、あなたをどんな気持ちにさせ、どんなに傷つけたのか。
そのことで大人になったあなたが、今も悩み苦しみ続けている事実が変わるわけではありません。
親が子どもの頃に苦しんでいたり、親もかわいそうな人だったと分かったからと言って、『親に怒りを抱いてはいけない』ということではないのです。
それでも、親に申し訳なく感じたり、親に同情する人もいるでしょう。
親からの影響が強いほど、コントロールが強いほど、その傾向があります。
それはそれで、かまいません。
それがあなたの本当の気持ちであれば、それはそれでいいのです。
親を好きでも嫌いでも、許しても許せなくても、恨んでも恨まなくても、仲良くなりたくても縁を切りたくても……どちらでもいいのです。
何がベストなのかというのは、ひとりひとり違いますから。
ですが『事実』をなかったことにして、押さえ込むことはお勧めしません。
心から納得して「もういいや」と思えていない限り、数年後、数十年後にあなたが再び苦しんでしまうからです。
子どもの頃の親との関係が、今のあなたを形作っているのは、まぎれもない事実です。
今抱えている人間関係の悩み、苦しみを解決するには、過去の親との記憶を整理する必要があるかもしれません。
あなたが親から受けた過剰なコントロールは、おそらく何世代も前から続いてきたものです。
だから「そのような親」をあなたが変えることは、まず出来ないでしょう。私も薦めません。
あなたが今できるのは、自分が次の世代に、他の人に「同じこと」を繰り返さないことです。
この負のサイクルは、『誰か』が止めるしかありません。
もしあなたが、すでに家庭を築いているのなら。
もしくは、これから新しい家庭を築こうと思っているのなら、あなたがその『誰か』として連鎖を止めることができます。
- 「毒親になりたくない」
- 「自分の親みたいな子育てはしたくない」
- 「子どもが欲しいけど、毒親になりそうで怖い」
このような不安を抱えているのなら、カウンセリングで一度ご相談ください。
カウンセリングを受けるかどうか悩まれている方には、著書「あなたはもう、自分のために生きていい」のチャプター1がお役に立てるのではと思います。この章を読んで当てはまる部分が多いのであれば、親の影響が強く残っている可能性が高いです。
「子どもを傷つける親」の連鎖には、顕著な傾向が見られます。
その傾向や連鎖を、断ち切ってあなたらしい生活が出来る方法を見つけていくことを願っています。
Poche