【毒親】子どもを苦しめる母親5│かわいそうな母
こんにちは。
心理カウンセラーのPocheです。
今日の記事は、親子関係に悩む『子ども』のあなたに向けて書いていきます。
毒親カウンセリングで相談が多い母親のタイプを7つに分類し、それぞれの対応についてお伝えしていきます。
今回は5つめ。
『かわいそうな母』との付き合い方です。
なお複数のタイプが混在していたり、成長過程でタイプが変化することもあります。
過去の親子関係が現在の思考パターンを形成している可能性が高いので、『成長過程でタイプが変化した場合』は、過去のタイプも併せてお読みいただくことをお勧めします。
※内容を分かりやすくお伝えするために「毒親」という表現を用いることがあります。
毒親というのは、子どもにとっていわゆる「毒」となる性質を持つ親のことです。親によって植え付けられた価値観や行動、子どもの頃の暴言や暴力が、大人になっても影響を与えてしまう場合に「あなたにとっては毒親だった」という定義の元、話を進めていきます。
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かわいそうな母とは
子どもが母親を見たときに「かわいそうな人だ」「不幸な人だ」と感じさせる、それが『かわいそうな母』の特長です。
「親に愛されずに育った」とか「過去にこんなつらい経験をした」といった過去の不幸話を母親から聞かされることもあれば、日々疲れきっている姿を見ることで子どもが勝手に感じることもあります。
介護、家事、親子の不仲、夫婦の不仲、職場問題、人間関係…子どもが母親をかわいそうだと思う理由はさまざまですが、共通点が1つあります。
それは子どもが、『自分だけ幸せになってはいけない』と罪悪感を持ってしまうことです。
幼少期は、大好きな母親を笑顔にしようと頑張ります。
母親が悲しんでいたり落ち込んでいたりすると、「笑わせなきゃ」「楽しませなきゃ」と明るく振舞います。
それとは逆に、「これ以上迷惑をかけちゃいけない」と目立たないようにおとなしくする子供もいます。
中学校・高校に上がるにつれて親以外の交友関係が広がると、友達と遊ぶ楽しさ、恋人と過ごす幸せな時間を知っていきます。
一方で、「私だけが幸せでいいのだろうか」と罪悪感を抱くようになっていくのです。
その結果、自分だけが幸せになる罪悪感から抜け出せず「まずはお母さんを幸せにしなきゃ」と感じ、自分の幸せを後回しにしてしまうようになります。
例│かわいそうな母の具体例
「かわいそうな母」の例を1つ、ご紹介します。
なおこの内容は、実際の相談内容に基づくものではありません。
A子さんの母B子さんは、現在71歳。女手一つで彼女を育て上げた。
両親が離婚したのは小学校1年生の頃で、原因は父親の不倫だった。母親曰く妊娠中から不倫を繰り返しており、とうとう相手の女性を妊娠させたとかで別れることになった。その後、父親とは全く連絡は取っていない。
B子さんの母親は、5人兄弟の最年長。シングルマザーだったので経済的に厳しく、母親は仕事を3つ掛け持ちしていた。忙しい母親に代わって、B子さんが食事や家事一切をこなしていたという。
「だからね、私に青春はなかった。ほんと、アンタが羨ましいよ」と、A子さんにたびたび言うのだった。そのたび「私だけ楽しんでいいのかな…」という罪悪感が、脳裏をかすめた。A子さんが申し訳なさそうにしていると「アンタは幸せになるんだよ」と一言いい、悲しそうに微笑む姿が心苦しかった。
子どもの頃のA子さんは、母の苦労話を聞くたび「頑張ったねぇ。大変やったねぇ」と涙ぐんで母親を抱きしめるのだった。母親も「ありがとね。そんなこと言ってくれるのは、お前だけだよ…」と一緒に泣く。
そのたびA子さんは、「私がお母さんを幸せにしてあげなきゃ!」と心の中で誓っていた。それができるのは自分だけだ、と使命感のようなものを感じていたのかもしれない。
そんなA子さんの心境に変化が訪れたのは、28歳の時。
当時A子さんには3年付き合った彼氏がいて、いよいよ結婚という話が出た。彼とは遠距離恋愛だったので、結婚となると家を出なくてはいけない。
母親にそのことを伝えると「お前まで私を捨てるのか。今までお前を育ててやったのに…」と、涙ながらに言われた。
「一人にしていけない。お母さんは、私しかいない…」A子さんはそう思い、結婚の話を断った。彼は「待つ」と言ってくれているが、それもいつまで待ってもらえるのかという不安がある。思いきって母親に「一緒に住もうか?」と提案してみたが、それも受け入れてもらえない。
母親は今の生活を変えるつもりもないようで、A子さんはどうしていいのか分からなくなってしまった。
私たちの思考回路は、6~10歳頃に作られます。
この時期に毎日のように母親からの苦労話を聞かされていたA子さんは、母親は「かわいそうな人」だと思い「自分が助けなくてはいけない」という運命を信じるようになりました。
自分の幸せを捨ててまで、母親を助けなきゃと信じていたのです。
その原因は、母親が植え付けた3つの罪悪感です。
1つめ。
「私には幸せがなかった。アンタには幸せがある」という母親の言葉の裏には、A子さんへの「羨ましさ」「妬み」が込められています。もしかすると母親自身も、気がついていないかもしれません。
でも本当にA子さんの幸せだけを願っているのなら、自分の不幸をアピールする必要は全くないのです。
2つめ。
「そんなこと言ってくれるのは、お前だけだよ」という母親の言葉の裏には、「私にはお前しかいない」という意味合いが込められています。
母親は無意識に「私がいなくなったらお母さんは一人になってしまう」「一緒に居なきゃ悲しむ」と、子どもの心に植え付けてしまったのです。
(意図的に言うケースもあります)
3つめ。
「お前まで私を捨てるのか」という言葉です。
いわゆる『毒親』と呼ばれる親子問題でもよく見られるケースなのですが、子どもが離れようとした時に「捨てられた」という感覚を持つ親がいます。
A子さんは母親を捨てたのではありません。結婚して離れて暮らすと宣言しただけです。
母親の側は「置いて行かれる=捨てられたような耐えがたい気持ち」になったのかもしれません。しかし、このような言葉は子どもを罪悪感で縛り付けます。
『母親と離れることは、親を捨てること』
そうインプットされた子どもは、いつまでも親から離れることが出来ません。
子どもが小さいうちは問題にならないことが多いのですが、進学、就職、結婚、出産といったライフスタイルの変化によって母親を重荷だと感じてしまうケースはとても多いです。
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かわいそうな母が『あなた』に及ぼす影響
このタイプの母親があなたに及ぼす一番の影響。
それが『離れてはいけない』という思い込みです。
支えなくてはいけない、ひとりにしてはいけない、そばに居なくてはいけない…さまざまな理由から離れることへの罪悪感を強く感じるようになります。
厄介なのは、「罪悪感をもっている」ということにさえ気がつかない人が多いこと。
子どもの頃から「かわいそうな母を守るのが当たり前」になってしまっているので、『罪悪感を持った状態がふつう』になってしまうのです。
その結果、自分だけ幸せになることに強い抵抗を感じてしまいます。
『離れるな(Don’t Be Separate)』
このような親の元で育つと子どもは、『離れるな(Don’t Be Separate)』というルールを自分の中に作り上げてしまうことがあります。
このルールが子どもの頃に作られると、大人になった時に以下のような行動がみられることがあります。
- 依存的な言動が多い
- 成人しても親から自立できない
- 親から離れることに、強い罪悪感を持つ
- 親に対して嫌な感情を持ってはいけない、と思い込んでいる
- 「自分」というものがないように感じる
あなたに、当てはまるものはありますか?
もしこれらのルールに縛られているのなら、手放すことで心から人生を楽しめるようになります。
「母親に幸せになってほしい。」
そう思うのは、子どもとして当然の感情です。
でもだからといって、母親のために自分の人生を捧げる必要はないのです。
もしそうしてしまったら、あなたは「母親がそうしたように」誰かのために自分の人生を犠牲にすることになってしまいます。
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かわいそうな母との付き合い方
過去のルールを手放すには、時間がかかります。
幼少期に作られた思考パターンを変えるのは、なかなか大変な作業なのです。
そのためカウンセリングにおいては、ルールを手放す作業と同時に、母親との付き合い方を「物理的」に変えていくことを提案しています。
一人で幸せになる
「離れていい」と少しずつ思えるようになってきたら、母親との付き合い方について考えていくといいでしょう。
- 母親を一人置いていけない。
- 自分だけ幸せになれない。
そう思うのなら、一度「一緒に幸せになろう」「○○してみない?」と提案してみてください。
もしその提案に共感してくれるのなら、母親が幸せになれるように手を貸してあげてもいいでしょう。
でも恐らく、このタイプの母親は断ります。
この場合は勇気をもって、「自分一人でも幸せになる」と感じることが大事です。そうしなければ、母親と同じ道を歩むことになります。
あなたが幸せになった時に、罪悪感を持つ必要はありません。
幸せになるのか、それとも今のまま不幸(だと本人が思っている状態)でいるのか。それを選んだのは、他の誰でもない母親なのですから。
あなたが責任を持つべきは、あなたの幸せだけ。
それ以上はどんなに願っても、望んでも、責任を持つことはできません。
助けてあげないとダメ…?
かわいそうな母親を助けてはいけない、という訳ではありません。
どうするかを決めるのは、あなたの自由だから。
でも「助けてあげないと」と、義務を感じる必要はないのです。
かわいそうな母親に共感してはいけない、という訳でもありません。
子どもの頃から苦労話を聞いているのですから、同情する気持ちをもつのは自然なことです。
でも、共感することとあなたが義務を感じるのは別です。
「自分を育てるために、母親は自分の人生を犠牲にした」と感じている人もいるかもしれません。
自分のせいで…と思うからこそ、自分だけ自由に生きていいのかと迷うことがあるかもしれません。
でも、あなたが「私に人生を捧げて!」と頭を下げてお願いしたわけではないでしょう?
母親が「そうしたい」と自分で決めて、そうしたのです。だから、あなたが「自分のせいで…」と責任を感じる必要はありません。
「かわいそうな母親」を持つ方は、離れることに強い罪悪感を抱きます。
親と離れることで、まるで人間失格の烙印を押されるような罪悪感を抱くことも多いです。
このように、誰にも相談できない悩みを抱えていませんか?
- 「育ててもらったのに、毒親なんて思っていいのかな」
- 「離れたいけど、罪悪感が大きい…」
- 「こんな悩みを持っている自分は、おかしい?」
もしそうなら一度、ご相談ください。
Poche
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