【毒親】子どもを苦しめる母親4│子どもに過干渉の母
こんにちは。
心理カウンセラーのPocheです。
今日の記事は、親子関係に悩む『子ども』のあなたに向けて書いていきます。
毒親カウンセリングで相談が多い母親のタイプを7つに分類し、それぞれの対応についてお伝えしていきます。
今回は4つめ。
『過干渉の母』との付き合い方です。
なお複数のタイプが混在していたり、成長過程でタイプが変化することもあります。
過去の親子関係が現在の思考パターンを形成している可能性が高いので、『成長過程でタイプが変化した場合』は、過去のタイプも併せてお読みいただくことをお勧めします。
※内容を分かりやすくお伝えするために「毒親」という表現を用いることがあります。
毒親というのは、子どもにとっていわゆる「毒」となる性質を持つ親のことです。親によって植え付けられた価値観や行動、子どもの頃の暴言や暴力が、大人になっても影響を与えてしまう場合に「あなたにとっては毒親だった」という定義の元、話を進めていきます。
過干渉の母とは
- 娘のために何でもしてあげる
- 娘が出来ることにも手を出す
- しなくていいと言われても、やめられない
- 娘が求めているかどうかに関係なく、やってあげたいことはやってあげる
- 娘が成人しても、あれこれ世話を焼く
これらが「過干渉の母」の特長です。
周囲からは仲の良い理想の親子に見えていることも多く、「カプセル母娘」「一卵性母娘」「母親癒着」といった言葉で表現されることもあります。
過干渉の母はダメ、と言いたいのではありません。
本人たちが問題を感じていなければ、それはそれでいいのです。
問題は、娘がストレスを感じ始めた場合。
かまわれることへのストレス、信頼されていないのではという不快感、あれこれ口出しされるのが煩いと感じる…
だけど、母親が悲しむから言えない。
やんわり伝えても、聞く耳を持ってくれない。
はっきり伝えたら「いつからそんな子になってしまったの?」と責められてしまう。
とはいえ大人になったあなたは、母親のことだけを考えて生活するわけにはいきません。
あなたには、あなたの生活があるのです。
母親には感謝しているけれど、このままでは私の生活にまで影響が及んでしまう…。だけど言えない。
このように罪悪感があまりに強すぎる場合は、母親が『あなたにとって毒となる存在』となってしまったと言えるでしょう。
それがいわゆる『毒親』もしくは『毒母』と呼ばれるものです。
何度もお伝えしているように、毒親=悪人ではありません。
あなたのためを思った行動が、結果的にあなたにとっては良くなかったというだけのことです。
「毒」という言葉が強烈なイメージを与えるので「毒親なんて言いすぎかな…」と思う人は多いと思いますが、重要なのは毒親かどうかではありません。
大人になったあなたの行動・考え方に影響を及ぼしているかどうかです。
毒親だと思う事や、子どもの頃の辛かった記憶を思い出すこと、「会うのも嫌だ」と感じることに罪悪感は感じなくていいのです。
お母さんがかわいそうなのでは、私は親不孝なのでは…なんて自分を責める必要もありません。
あなたが感じたものに「良い」「悪い」もなければ、「正しい」「間違い」もありません。
あなたにとって、あなたが感じたものが全てなのです。
例│過干渉の母の具体例
「過干渉の母」の例を1つ、ご紹介します。
なおこの内容は、実際の相談内容に基づくものではありません。
A子さんは、ごく普通の家庭に育った。
昔から母親と仲が良く、周りからは「友達みたいだね」「仲が良くていいなぁ」「優しいお母さんでいいなぁ」とよく言われた。今になって思い返すと、友達と遊ぶよりお母さんと一緒に過ごす時間の方が長かったと思う。
何でもお母さんに報告するのが当たり前で、「隠し事はしない」が母娘の暗黙のルールだった。
そんな2人の関係に変化が訪れたのは、高校生の頃。
A子さんに、彼氏が出来たのである。隠し事はしないルールだったので、A子さんは母親に正直に話した。
すると「え、B君はダメ!頭が悪そうだもの。お母さん、C君の方がいいと思うわぁ」と言われてしまった。それからというものデートに出かけるのはおろか、B君の話をするだけで母親は不機嫌に…。しまいには「お母さんよりB君の方が大切なの!?」と怒り、泣き出し、手が付けられなくなってしまった。
「今まで育ててくれた母親をこんなに悲しませてまで、B君と付き合っていいのだろうか?私だけ幸せになっていいのだろうか」このような罪悪感から、A子さんはB君と別れることにした。
泣きながら母親に別れたことを伝えると、「大丈夫、あなたにはもっといい人がいるわよ」と優しく抱きしめてくれた。母親の穏やかな笑顔を見て、この時A子さんは「これで良かったのだ」と心底安心した。
しかし夫と結婚して5年、最近は母親のことを考えることが苦痛になってきた。
ここ数年で、老いへの不安が出てきたのか1日に何度も連絡してくるようになったのである。連絡がくるのがしんどいと夫に愚痴を漏らすと、「自分の親なんだから、毎日連絡してくるなとハッキリ言え」と言われてしまう。私はただ、話を聞いて欲しいだけなのにと悲しくなる。
気のせいかもしれないが、母親のせいで夫婦げんかも増えたような気がする。
本当は、母親のことを考えずに過ごせる時間が欲しい。だけど、連絡しないと「寂しくて死にそう」と言われ心配になってしまう…。
親子問題を抱えるのが、『ひどい親』の場合とは限りません。
むしろA子さんの親のように、周りから見たら『優しくて良い親』のことは多いのです。
子どもの頃は仲が良かったけれど、大人になって関係が悪化するというケースもあります。
仲がいいのが悪い、と言いたいのではありません。
距離感が近いのが悪い、という訳でもありません。
大切なのは、あなた(子ども)がどう感じるかです。
母親の良いと思うものが、子どもにとって良いとは限りません。
さらに親子の関係は、年齢とともに変わるのがふつうです。
小学校に上がるまではあれこれ手助けが必要だった子供も、小学校に上がるにつれて「自分で出来ること」が増えていきます。中学校、高校と進むにつれて、人間関係も自分で選び築くことが経験に繋がります。
その子の成長に合わせて、親が手を引くことが必要なのです。
子どもは、母親の人形ではありません。
ちゃんと意志を持っています。
このタイプの母親は「あなたのためを思って言うのよ」「あなたを愛しているから厳しいことも言うのよ」と説得してきますが、本当に子供を大切に思っているのなら「その子の意思を尊重する」べきなのです。
親は親、
あなたはあなたです。
親の人生の責任を子どもが取る必要はありません。
さらに、このタイプの母親は『死』をちらつかせることもあります。
- あなたがいなくなったら、きっと私は一人で死ぬんだわ
- 寂しすぎて死んでしまいそう
- 私が死んでも、良いと思ってるんでしょう?
多くの場合は「あなた(子ども)がかまってくれないのなら、死を選ぶ」といったようなメッセージが親から送られます。
中には思い通りにならない時に、「もういい!死んでやる!!」という捨て台詞を吐く親もいます。
このような親からの『死』のメッセージを無視するのは、子どもにとって大きな負担です。
…というよりほとんどの場合が無視できず、「親の思うままに今まで通り頑張り続ける」ことになります。
それくらい子どもにとって、親が「死ぬかもしれない」というのはとてつもない恐怖なのです。それも自分の決断によって、親が死んでしまうかのように思い込まされるのですから…。
過干渉の母が『あなた』に及ぼす影響
- 親の言うことを聞かないと、怒られる。
- 親の言う通りにしないと、悲しませてしまう。
- 親の言う通りにしない私は、ダメな子供だ。
- 親の不幸は、私の責任だ
過干渉な親の元で育つと、子どもは親に強い罪悪感を抱きやすくなります。
親を悲しませることに罪悪感を抱き、自分のやりたいことや気持ちに蓋をするようになってしまいます。
親の顔色をうかがい、親のことを一番に考え、自分は我慢するのが当たり前の生活を送ってきたので、楽しむことや幸せになることに抵抗がある人も多いです。
『楽しむな(Don’t Enjoy)』
A子さんに、彼氏が出来た。
それからというものデートに出かけるのはおろか、B君の話をするだけで母親は不機嫌に…。
しまいには「お母さんよりB君の方が大切なの!?」と怒り、泣き出し、手が付けられなくなってしまった。「今まで育ててくれた母親をこんなに悲しませてまで、B君と付き合っていいのだろうか?私だけ幸せになっていいのだろうか」このような罪悪感から、A子さんはB君と別れることにした。
泣きながら母親に別れたことを伝えると、「大丈夫、あなたにはもっといい人がいるわよ」と優しく抱きしめてくれた。
自分の思い通りにならないA子さんに、母親は冷たい態度をとりました。
母親を大切に思うA子さんにとっては耐えがたい出来事であり、言うことを聞かない娘への「母親からの罰」と表現できるでしょう。(おそらく母親も認識しています)
厄介なのは、次の行動です。
A子さんは罪悪感のあまり、B君と別れることを決意しました。
それを知った母親はこれまでの態度を一変し、「それでいい」とA子さんを慰めました。
これによってA子さんは、「母親の言うことを聞かなければいけない」「言うことを聞かないと、嫌なことが起こる」「反対を押しきって自由に行動しても、どうせ最後には母親に従わなければいけない」といった事実を無意識に心に刻み込んでしまうのです。
さて。
このような親の元で育つと子どもは、『楽しむな(Don’t Enjoy)』というルールを自分の中に作り上げてしまいます。
このルールが子どもの頃に作られると、大人になった時に以下のような行動がみられることがあります。
- 楽しむこと、幸せを感じることに抵抗がある
- 他人の楽しい話、幸せな話が苦手
- 幸せになると、あとで悪いことが起こるような気がする
- 楽しめることや幸せを追い続けている(でも、手が届きそうになると怖い)
あなたに、当てはまるものはありますか?
もしこれらのルールに縛られているのなら、手放すことで人生がより充実したものになるはずです。
過干渉な母親に悩む子どもたちは、自分の人生を生きていません。
親の人生、親が望む人生を生きています。
だから「自分らしさ」が分からなかったり、「自分なんて」と思ってしまいます。
自信がないのは
性格のせいではありません。
過去の親との、こうした関わりが関係しているケースは多いのです。
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過干渉の母との付き合い方
過去のルールを手放すには、時間がかかります。
幼少期に作られた思考パターンを変えるのは、なかなか大変な作業なのです。
そのためカウンセリングにおいては、ルールを手放す作業と同時に、母親との付き合い方を「物理的」に変えていくことを提案しています。
いつもならこの章で『このような付き合い方があります』とご紹介するのですが、今回はやめておきます。
正直なところ、このタイプの親と離れるのはとても大変なことだからです。
書店に並ぶ「毒親に関する本」も、あなたの助けにはならないでしょう。
あなたが母親に植え付けられた罪悪感を捨てるには、物足りないと感じるはずです。
ひとつ、質問します。
親のことに対して、次のようなアドバイスをもらったとき、あなたはどう感じますか?
- 「嫌だったら、親にそう言えば?分かってくれるでしょ」
- 「嫌いだったら、会わなきゃいいじゃん!」
- 「大人なんだから、自分で決めたら?」
「そうだなぁ」と、思えますか?
「よし、やってみよう」と、行動にうつせますか?
…難しいですよね。
このような考え方ができたら、今あなたはこんなに苦しんでいないはずですから。
もしかしたらあなたは、「ウチの親は言うほど酷くないのかも」と思い込もうとしているかもしれません。
「私のワガママかも」と、今までのように自分を責めて納得させようと思っているかもしれません。
だけど、これこそが『毒親育ち』の典型的な思考パターンです。
- 「もしかして毒親?」
- 「自信が持てないのって、親のせい?」
- 「今抱えている悩みは、解決できる?」
このようなことで悩んでいるのなら、まず一度、相談してみて下さい。
今抱えている悩みから抜け出す一歩のために、「これってどうなんだろう?」という疑問をぶつけてみてほしいです。
その一歩が、前に進むための大きな力になりますから。