【子どもが苦しむ親】親は絶対!子どもの自由は認めない! ーカルト教団の教祖のような親
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日ご紹介する毒親のタイプは、「親の言うことは絶対」「親はいつも正しい」と主張する親です。
今回の記事タイトルに「カルト教団の教祖の親」と入っていますが、このタイプの親が子どもに求めること、その思想や態度はまるで、カルト教団の教祖のようだと例えられることが多いのです。
カルト教団の教祖は、「私は常に正しくて、すべてが分かっている」という態度でふるまいます。信者にはそれを信じるよう要求し、絶対的な権力を持っています。
「それ」と同じことが、家庭内で起こることがあります。
※ここでいう「カルト」は宗教を装った邪教のことで、宗教とは似て非なるものです。正しい宗教が人間の救済を目的としているのに対して、カルトは救済を口にしながら人の人生を破壊します
「親は絶対!」このタイプの親の5つの特徴
このタイプの親には、5つの特長が見られます。
このタイプの親は、他のタイプと違い当てはまる特長が1つだけのこともあります。
でもたった1つであっても、その1つが「ものすごくあてはまる」のであれば、あなたの親はこのタイプの可能性があるといえるでしょう。
1.家族全体をコントロールする
このタイプの親は、実際の実力以上に「自分は凄い人間だ」ということを子どもにアピールします。
それだけではなく、それを子どもに認めさせ、自分を特別扱いするように求めます。
ここでいう「特別扱い」とは、常に親を第一に考えろということです。
自分の予定ではなく親の予定を優先し、自分の気持ちではなく親の気持ちを優先し、自分のしたいことではなく親の「させたいこと」を優先するよう求めます。
子どもの感情や都合は一切考えず、親が求める時には従い、親の言うとおりに動くことだけを求めます。
おそらくこの感覚は、このタイプの親を持つ子どもにしかわかりません。
理解ない人たちから、「親の言うことを聞かなければいい」「嫌だと言えばいい」「従ったあなた(子ども)も悪い」と言われてしまうこともあります。
でも、このタイプの親を持つ子どもにとって、それは「ありえないこと」です。
これまでの経験から、従わないと大変なことになることを学んでいるので、言われるままに従います。
「親の言うことを聞かない」という選択肢が、子どもの頃から与えられていないのです。そんなことをしたら、その家で生きていけません。大袈裟ではなく、そうなのです。
だから、このようなタイプの親を持つ子どもにとっては、「やりたくないことをやる方が、親を怒らせるよりもはるかに安全で楽」なだと判断します。
2.いつも「白か黒か」で判断する
このタイプの親の中には、まるで軍隊のようなスタイルを持ち込む人もいます。
何事も、白か黒かで判断し、正しいか間違っているかで裁きます。
彼らは、人間社会にある「グレーゾーン(曖昧なもの、中間的な考え)」を理解できないのです。
厄介なのは、このルールが自分たち(親自身)ではなく、子どもに向けられるということです。
自分にだけ厳しいのならまだ良いのですが、この厳しさを「子ども」に向けます。
できないことがあって当たり前の幼少期から、「なぜできないのか」「お前はダメな子だ」と責め立て、子どもの自信を削いでいきます。他の人や兄弟姉妹と比較して、「あなたはできない子」というレッテルを貼ることもあります。
それとは反対に、「いい子」「できる子」というレッテルで、子どもの自由を縛ることもあります。
「あなたはいい子だから、そんなことしないよね」というふうに、優しい子どもを罪悪感で縛りつけます。
3.異議・質問・新しい考えを容認しない
子どもが自分の考えに異議を唱えたり、質問したり、新たな考えを持つことが許せません。理解できません。
このタイプの親は、自分が絶対だからです。
だから、自分の言うことに黙って従うことを望んでいます。
このタイプの親にとって、子どもが質問することは「親への攻撃」なのです。
子どもが自分の考えを持つことは、「親の権威への反抗」だとみなします。
子どもが自分と別の人間だということが、彼らには理解できません。自分の分身、さらには自分の所有物のように子どもを扱うこともあります。
そのせいで、このような家で生まれる子どもは、子どもらしく生きる機会を奪われます。
学校や社会においては「いい子」「責任感のある子」「しっかりした子」として扱われることは多いのですが、心の内側では、人を信頼できず誰にも頼れず孤独を感じていることも珍しくありません。
4.何かに所属しようとする
特定の組織、宗教団体、企業(会社)などにのめりこみ、人生を捧げることがあります。
一番多いのは、「親が何らかの宗教に没頭している」というケースです。多くの場合、家族や子どもにも強要します。
※宗教に所属しているのが良い・悪いということではありません。
5.部外者を信用しない
このタイプの親は、基本的に人を信用しません。
不信感が強く、「人を信用しない方が良い」ということを子どもにも植え付けます。
「利用されてるんじゃないの?」「その恋人、信じて大丈夫?」などと、子どもが大切にしている人を疑うような発言を平気でします。
その一方で心を許した相手には、驚くほど従う一面も持ち合わせています。
自分で考えることをせず、「○○さんがこう言ったから」「占いで〇〇だと出たから」という理由で従うこともあります。
厄介なのは、それを子どもにも強制することです。
子どもの気持ちや思いよりも、「自分が信頼している他者」の言うことを信じます。
だから子どもは、苦しみます。
「自分に価値はないのでは」「自分なんていらないのでは」「親は自分が大切ではないのでは」という底知れない不安や疑念を抱きます。
このタイプの親に育てられると…
このような親に育てられると、大人になった時に次のような悩みを抱えやすくなります。
- 自分の意思で率先して行動できない
- 何事においても「疑う」クセが抜けない
- 誰も信じない、もしくは逆にすぐ信じすぎてしまう(極端)
- 知的発達が歪められることがある
- 宗教観が歪むことがある
- 家族以外の人間を信用できない、信用してはいけないと感じる
- 親の言うことに逆らうのが、異常なほどに怖い
このタイプの親との距離感
「法律を破るよりも、親の言うことを破る方が怖い」という人もいます。
「死ぬよりも、親に逆らう方が怖い」という人もいます。
「夢もしたいことも、好きな人も…親が反対すれば諦めるしかない」という人もいます。
…それほどまでに、親が絶対になってしまいます。
おそらくこれは、このような親に育てられていない人には、到底理解できない感覚でしょう。
周りに相談した時に「大人になってまでそんなこと言ってるの?」「自分で考えて行動しないと」と、言われてしまうこともあります。
※カウンセラー・医師にも理解のない人はいます。
このようなタイプの親は適度な距離を保つことが難しく、最終的には「離れるしかない」ことが多いです。
同居している場合は、「1人暮らし」を勧められることもあります。
でも、非常に多くのケースにおいて、親から一人暮らしの許可が出ません。
「あなたのためを思って」と心配を装うこともあれば、「あなたには無理だ」「できるわけがない」と否定的なことを言われること、「私を置いていくのか」「ここまで育ててやったのに」と罪悪感を煽られることもあります。
ごく普通の親に育てられた人なら、「もう成人しているのなら親の許可なく一人暮らしすればいいのでは?」と思うかもしれません。
あなたがそう思えるのなら、大丈夫です。
でも、このタイプの親を持つ場合には、そう思えない人が大半です。
それほどまでに、このタイプの親の影響は強力なのです。
離れた方が良いと分かっている。
でも、怖い。
親に逆らうとどうなるかわからない。
否定される、怒られる、悲しまれる、攻撃される……。
このような状態で、強行突破で家から抜け出しても、親に連れ戻されたり、連れ戻される前に「自ら家に戻ってしまう」のが現状です。
親元に戻ってしまった場合に、「そんな自分」を責めてしまう人は多いのですが、子どもの側は何も悪くありません。
この記事で繰り返しお伝えしているように、それほどの影響力を及ぼす親なのです。
自分の行動にブレーキがかかるのなら、責めるべきは自分自身ではありません。
ブレーキがかかってしまうほど、大変な環境で生きてきた自分を褒めてあげてください。それほど大変な環境で生きてきたのだと、自分の苦労を認めて労ってあげてください。
このタイプの親から離れたり、親の影響から抜け出すことは、そう簡単ではありません。
毒親問題についてセルフカウンセリングを推奨するような情報も広まっているようですが、このタイプの親の影響から自分一人で抜け出すことは非常に難しいでしょう。話を聞いてくれる信頼できる第三者、カウンセリング等を通して問題と向き合うのが理想的です。
そのような環境が整っていなければ、書籍『もしかしてうちの親って、毒親』などを通して、「自分のせいではないこと」を見つけてみてください。自分を肯定できる情報を集めてみてください。
ですが、私がここで言いたいのは「このタイプの親を持ったらもう人生は終わりだ」ということではありません。
このタイプの親に育てられてと自覚することは、自分の人生を取り戻す大きな一歩になります。
もしも、あなたがこのタイプの親を持っていると自覚しているのなら、今の段階では自分をひたすらに認めて肯定し、心が折れてしまわないように自分を支えてあげてください。
「自分が間違っていたのではないか」という不安や焦りが、「自分は間違っていなかったんだ」という自信に変わるまで、過去の自分を振り返って認めてあげてください。
毒親問題において、一般的には「親と離れるべき」「絶縁すべき」と勧められることが多いです。
親と物理的に離れてから精神的な問題を解決するためなのですが、このタイプの場合は、それが難しいのが現状です。
だからこそ、親と物理的に離れられなくても自分を責める必要はありません。
精神的に離れることができれば、今より毎日が楽になっていきます。楽しめるようになっていきます。精神的な影響から抜け出すことは、本当の意味で「親から離れる」ために必要なことだからです。
精神的に離れた後に、物理的にも親から離れられることがあります。
精神的に離れたからこそ、物理的に親と離れなくても自分を取り戻せることもあります。
このタイプの親を持つあなたに伝えたいのは、どんな選択、結果であったとしても、もうこれ以上自分を責めないでほしいということです。
これまでたくさんのことを頑張ってきたあなたが、もうこれ以上苦しみませんように。親があなたを苦しめたように、自分で自分を苦しめてしまいませんように…。
そう願いこの記事を書かせていただきました。