【毒親】子どもを苦しめる母親3│子どもにとって完璧で重い母
こんにちは。
心理カウンセラーのPocheです。
今日の記事は、親子関係に悩む『子ども』のあなたに向けて書いていきます。
毒親カウンセリングで相談が多い母親のタイプを7つに分類し、それぞれの対応についてお伝えしていきます。
今回は3つめ。
『完璧で重い母』との付き合い方です。
なお複数のタイプが混在していたり、成長過程でタイプが変化することもあります。
過去の親子関係が現在の思考パターンを形成している可能性が高いので、『成長過程でタイプが変化した場合』は、過去のタイプも併せてお読みいただくことをお勧めします。
※内容を分かりやすくお伝えするために「毒親」という表現を用いることがあります。
毒親というのは、子どもにとっていわゆる「毒」となる性質を持つ親のことです。親によって植え付けられた価値観や行動、子どもの頃の暴言や暴力が、大人になっても影響を与えてしまう場合に「あなたにとっては毒親だった」という定義の元、話を進めていきます。
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完璧で重い母とは
完璧で重い母は、料理や掃除が得意。主婦業を完ぺきにこなします。
一言で表すなら、『しっかり者で何でもできる母』です。
- しっかり者のどこが問題なの?
- 何もできないより、いいんじゃないの?
こう思えるあなたは、
大丈夫。
あなたを苦しめているのは「完璧で重い母」ではなく、おそらく別の母親像です。
ここから先は「しっかり者で何でもできる母が、重苦しい存在だった」「自分は何もできないと突きつけられているようで、母親の存在がプレッシャーだった」と感じている方に読み進めて頂ければと思います。
なぜ完璧な母親は『重い』のか
しっかり者であること、何でもできること。
それ自体には全く問題がありません。むしろ喜ばしいことでしょう。
…ですが、親子関係となると話は別です。
どのような母親でも、子どもはお母さんが大好きで、親が求める要求に応えようとします。
さらに多くの場合、幼い子供にとって母親は「何でもできるすごい人」です。
ご飯を作れるのも、仕事しているのも、けがの手当てができるのも、取れたボタンをつけるのも…子どもにとっては全てが「すごいこと」なのです。
その一方で子どもは、母親を恐れます。
幼い子供にとって、母親は絶対的な存在だからです。
いい子にしないと家から閉め出すこともできるし、悪いことをしたらご飯なしと決めることもできる。ジロリと睨まれたり、大声で怒鳴られようものなら怖くてたまりません。
つまり母親は監視する人であり、罰を与える人でもあるのです。
母親が完璧であればあるほど、監視される側(子ども)が感じる恐怖は増します。
子どもの頃は「恐怖」だけですが、成長するにつれて「恐怖」に「うっとおしさ」や「プレッシャー」が加わります。
例│完璧で重い母の具体例
「完璧で重い母」の例を1つ、ご紹介します。
なおこの内容は、実際の相談内容に基づくものではありません。
A子さんの母はかつて、地元では有名な進学校の教師として働いていた。A子さんを妊娠したのを機に退職し、専業主婦に。
いつも部屋はピカピカ、ご飯は1日3回バランスの良いものをきっちり作る。子育ての傍ら、趣味の生け花やお茶を楽しむといった充実した人生を送っているように見えた。
「しっかり者で、完璧。何をしても出来ちゃうすごい人」というのが、A子さんが母親に抱く印象である。
A子さんは、末っ子だった。
姉や兄は「学校はここにしろ」「こんな彼女はダメ」「あの友達とはもう会うな」など色々言われていたが、A子さんはそこまで口煩く言われることはなかった。
状況が変わったのは、姉と兄が家を出て行ってから。家に母親と2人になる時間が急に増えるようになった。
「A子ちゃん、そんなんじゃだめよ」「A子ちゃん、それくらいで泣いちゃダメ」「A子ちゃん、そんなものが怖くてどうするの?」
事あるごとに、あれこれと口を出す母親。A子ちゃん、A子ちゃん…頭の中で自分の名前がこだまし、常に責められているような感覚に陥ることが増えていった。
母親と2人きりで食事をするのも辛く、「今日は外で食べてくる」と一度だけ伝えたことがあった。だが母親は「A子ちゃん、栄養バランスを考えないと」と、家で食べるようしつこく言ってくるので諦めた。
ある時A子さんは、母親が今まで自分を褒めてくれなかったことに気がついた。
小学生の頃A子さんは母の日に、大好きとメッセージ入りの「似顔絵クッキー」を作ったことがある。その時も母は「あら、私こんな顔してる?まあ、ありがとう」と言っただけで、「すごいね!」「嬉しい!」「ママも大好きよ」「頑張ったね」といった言葉はかけてくれなかった。
当時は「もっと上手に作れば喜んでくれたかな…?」と自分を責めてしまったのだが、なぜか今思い出すと涙が溢れてきた。
A子さんのように「子どもの頃に感じた母親像」と「成長してから感じた母親像」が違うことは、珍しくありません。
特に3~4歳ころまでの子どもにとっての母親は、「優しくて大好きだけど怖い人」というのが一般的です。
- 完璧なお母さんが言うことだから、信じる。
- 何でも出来るお母さんが言うのだから、この指摘は間違いない。
- お母さんの言うとおりにすれば、失敗しない。
完璧な母親だと思い込んでいるので、親の言うことに疑問を持ちません。
疑問を持てたとしても、そう思わないように心の中で蓋をしてしまいます。完璧な母親に反論しても、怒られるだけだと知っているからです。
でも、ある時をきっかけに
関係が変わります。
反抗期、環境の変化…きっかけは人それぞれですが、A子さんの場合は兄や姉の独立でした。
今まで他の人に向いていた「親の監視」が、急にA子さんに向いたことで強いプレッシャーを感じるようになったのです。
すると、子どもの頃は「そんなものだ」「あたりまえ」と思って封印した記憶が、蓋を開いたかのようにどんどん出て来てしまいました。
「自分がちゃんとしなかったからだ」と思って納得してきたつらい記憶が蘇り、「本当は褒めてほしかった」「抱きしめてほしかった」という気持ちが溢れてきたのです。
大人になって思い出した時に流れたAさんの涙は、当時言えなかった本当の気持ちだったのでしょう。
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完璧で重い母が『あなた』に及ぼす影響
- 「できてあたり前」という前提で、物事を監視されるプレッシャー
- どれだけ頑張っても、母親は超えられないという想い
- どれだけ努力しても、褒めてもらえない寂しさ
- 頑張っても努力しても、「まだまだ足りない」と言われてしまう
母親と力関係の差があればあるほど、こういったプレッシャーが大きくなります。
出来て当たり前だと思っているので、ちょっとしたことで喜べません。結果を出さないとダメだと思い込みます。結果を出せたとしても、「上には上がいる」と自分を褒めることが出来ません。
このような母親を持つ子どもは、母親に意見を言うのも苦手です。
「そんなんじゃ甘い!」「そういう考えはよくない」と反論されることを恐れている人もいれば、「どうせ言っても理解してもらえない」と諦めてしまっている人もいます。
大丈夫。
あなたのせいではありません。
子どもの頃からの経験を通して、「言っても意味がない」「言わない方が平和」とあなたが学んだのです。
そしてその決断は、当時のベストでした。母親に養ってもらっている当時は、そうするしかなかったのです。
『感じるな(Don’t Feel)』
「A子ちゃん、そんなんじゃだめよ」、「A子ちゃん、それくらいで泣いちゃダメ」、「A子ちゃん、そんなものが怖くてどうするの?」・・・
今回のAさんの場合、母親が完璧であること以外にも影響を与えているものがあります。
それは親が植え付けた、ある1つのルール『感じるな(Don’t Feel)』というものです。
このルールを植え付けられると、大人になったときに以下のような悩みを抱えやすくなります。
- 「私(親)の言うとおりにしろ」と言われているような気がする
- 悲しい、怖い、嫌といった感情を持つことに罪悪感がある
- 「わぁ!」「すごい!」など、感情や気持ちを表現するのが苦手
- 感情を出している人を子どもっぽい、みっともないと感じる
あなたに、当てはまるものはありますか?
もしこれらのルールに縛られているのなら、このルールを手放すことで今の生活がより楽に感じられるはずです。
もしかするとあなたは、子どもの頃完璧だと思っていた母親が「実はそうでもない」ことに気がつくかもしれません。
母親が完璧であろうとなかろうと、「自分のことは自分で決めていい」と強く思えるようになります。
「悲しい」「つらい」「嫌」というネガティブな感情を出すことに抵抗がなくなれば、上手にストレスを発散できるようになります。
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完璧で重い母との付き合い方
過去のルールを手放すには、時間がかかります。
幼少期に作られた思考パターンを変えるのは、なかなか大変な作業なのです。
そのためカウンセリングにおいては、ルールを手放す作業と同時に、母親との付き合い方を「物理的」に変えていくことを提案しています。
直接対決は避ける
このタイプの親との関わり合いでは、直接対決は避けた方がいいでしょう。
あなたの気持ちを素直に伝えても、「そんなんだからダメなのよ」と言いくるめられてしまうからです。
母親と2人きりで食事をするのも辛く、「今日は外で食べてくる」と一度だけ伝えたことがあった。だが母親は「A子ちゃん、栄養バランスを考えないと」と、家で食べるようしつこく言ってくるので諦めた。
例えばこのようなケースでは、「食事がいらない日はカレンダーに×をつけておく」という約束をしておくことも出来ます。
母親に面と向かって「いらない」と言えない場合に、有効です。
ポイントは「×」と書いた日は、必ず外で食事を済ませてくること。予定がなくなってもそうした方がいいでしょう。
これを繰り返すことで、「×の日は食事の支度をしない」ということに母親も慣れていきます。
問題は、子どもが抱く罪悪感です。
「予定がある」「誰かと食べてくる」と嘘をつく罪悪感と、戦うことになるかもしれません。
でもこの罪悪感は、あなたが『自分の意思で行動した証』。
罪悪感を感じた時は、『新しい人生をスタートさせるための通過点だ』と考えてみてください。
大切なのは、途中であきらめないこと。
諦めてしまうと「ほら、みたことか」と母親の確信をますます強めてしまうことになります。さらには「やっぱり私は、ひとりじゃ何もできない」と落ち込んでしまうかもしれません。
あなたと母親の力関係がさらに開いて、ますます意見しにくくなってしまうのです。
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かわいそうかも…に囚われないで
- 親に意地悪をされたわけではないのに…
- 人並の生活は十分させてもらったのですが…
- 親は完璧で、むしろ出来損ないは私の方なのに…
- 親のせいにしているようで、結局は甘えなのでは…
- むしろ恵まれている生活を送らせてもらったはずなのですが…
このように感じ、「相談することそのもの」に罪悪感を抱くケースは少なくありません。
でも本当は、そんな風に思わなくていいのですよ。
カウンセリングは、一人で解決できない時に悩み事を聞いてもらう場所なのですから。
親子問題は人にも相談しにくいからこそ、このようなカウンセリングがあるのです。
親子問題は、どちらが良い・悪いではありません。
あなたが母親のことを相談したからと言って、それは「母親を悪者にしている」のとは違います。自分の意見を正当化しているわけでもありません。
母親が可愛そうだとか、自分が悪い人間だとか、そのようなことを感じる必要もないのです。
大切なのは、今のあなたがどのような状態かということ。
どのような親子関係であれ、あなたが困っていなければ変える必要はないのです。
親子関係に正解はありませんから。
だけどもしあなたが、今の親子関係に「生きづらさ」を感じているのなら、変えることで格段に楽になるはずです。
親子関係そのものは変わらなくても、周囲の人間関係が変わるかもしれません。
このタイプの親を持つ子どもは、自分の才能や魅力に気がついていなかったり、過小評価していることが多いのです。
あなたはもっと、
自信を持っていい。
まだそう思えないのなら、一度お話しませんか?
下記フォームよりお気軽にご相談ください。
Poche
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