いつも不安なのはなぜ?——「大丈夫、なんとかなる」と思えるようになるために
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
「このままで本当に大丈夫かな…」
「また失敗するんじゃないか…」
「最悪の事態を考えておかないと…」
こんなふうに、いつも心のどこかで不安を抱えていることはありませんか?
不安が強いと、未来のことを考えるだけで心が落ち着かず、疲れてしまいますよね。
今回は、不安に苦しみやすい人の特徴や、その背景にあるものについて一緒に考えていきましょう。
不安になりやすいのは、こんな家庭環境で育った人
不安を感じやすい背景には、生まれ育った家庭環境が影響していることが多いもの。
特に、次に挙げる5つのような環境で育った場合には、不安の原因は「あなたの考えすぎ」ではなく、「長年の習慣として身についた癖」の可能性があります。
① 過干渉な親に育てられた人
「危ないからダメ」「失敗したらどうするの?」と、常に親が先回りしていた場合、自分の選択に自信が持てなくなることがあります。
→ 「自分で決めること」に不安を感じやすい。
② 否定やダメ出しが多かった家庭
「そんなこともできないの?」「もっと頑張りなさい」と言われ続けた場合、失敗を恐れる気持ちが強くなります。
→ 「完璧でいなきゃ」とプレッシャーを感じやすい。
③ 感情を抑え込むことが当たり前だった人
「泣くんじゃない」「怒っちゃダメ」と育てられると、自分の気持ちを出すことに罪悪感を持ちやすくなります。
→ 「不安を感じるのは悪いこと」と思い込み、余計に不安が強まる。
④ 親の機嫌に振り回されて育った人
親の気分がコロコロ変わる家庭では、「次は何を言われるかわからない」と常に警戒する癖がつきます。
→ 「安心できる瞬間がない」と感じやすい。
⑤ 突然の変化が多かった家庭
引っ越しや転校、家族の不和など、大きな環境の変化が多かった場合、「また何か起こるかもしれない」と不安になりやすくなります。
→ 「安定している状態」に慣れず、落ち着いていても不安を感じる。
「大丈夫、なんとかなる」と思えるために必要なこと
強い不安を抱えている状態が、この先一生続くわけではありません。
過去の影響で不安を感じやすくなっているとしても、「大丈夫、なんとかなる」と思えるようになることは十分可能です。
ただし、大きな変化や行動は「不安を増幅させる」ことも…。
そこでまずは、次に挙げるような「小さな変化」から試してみることがおすすめです。このような考え方を取り入れていくことで、不安との向き合い方が変わっていきます。
① 「今できること」に目を向ける
② 失敗を「経験」として捉える
③ 「不安を感じる自分」を否定しない
④ 他人と比較せず、自分のペースで進む
⑤ 小さな成功体験を積み重ねる
相談事例:不安になりすぎてしまう…(Aさんの場合)
先ほど挙げた「① 今できることに目を向ける」について、実際の事例を紹介します。
Aさん(30代・女性)は、家庭環境の影響もあって、強い不安を抱えるタイプでした。
「将来のことを考えると、「ちゃんと準備しなきゃ」と焦るのに、何をすればいいのかわからない。
仕事でも、「完璧にやらないとミスするかも…」と考えすぎて、なかなか行動に移せない。
不安が大きすぎて結局何も手をつけられていなくて、そんな自分が嫌になるんです…。」
そんなAさんが、カウンセリングで一緒に取り組んだのは、「今できること」に意識を向けることでした。
例えば…
🔹 「資格を取らなきゃ」と悩んで焦る
→ まずは情報を調べる
🔹 「仕事が終わらないかも」と不安
→ 目の前のタスクを一つずつこなす
🔹 「貯金しなきゃ」と焦る
→ まずは1ヶ月の収支を整理する
🔹 「仕事でミスしたらどうしよう…」と不安
→ 事前にPocheと確認リストを作る
🔹 「部屋を片付けたいけどやる気が出ない…」
→ 目の前の机の上だけ片付けてみる ※まだできそうでもストップ!
🔹 「メールの返信が遅れてしまった…怒られるかも?」 と思ってメールを送れないまま時間が経つ
→ まずは「遅くなりました」と一言送る
最初は、「こんな小さなことをしても意味があるのかな?」と感じていたAさんでしたが、少しずつ「考えるより、動いたほうが不安が減る」と実感するようになりました。
少しずつ、不安と向き合いながらも「今できること」を積み重ねていくことで、Aさんの気持ちは以前よりも軽くなっていったのです。
以下は、Aさんからカウンセリング1ヶ月目に届いたメールです。
Poche先生、Aです。
前回のカウンセリングから1ヶ月が経ちました。
でも、「今できることに目を向ける」というお話を聞いて、試しに家計簿をつけてみたんです。すると、思っていたよりも収支のバランスが取れていて、「慌てて貯金しなきゃ!」と焦る必要はないと分かりました。それだけで、不安が少し軽くなった気がします。カウンセリングでは、毎日「将来どうしよう…」と不安ばかりで、何をしていても落ち着かなくてとお話ししたと思うんですけど、「今できること」に集中すると気持ちが落ち着くことが増えて、悩む時間もかなり減りました。
以前は友達とカフェに行くのも、「ちゃんと話せるかな?」「場の空気を壊さないかな?」と緊張していました。でも、最近は「とりあえず行ってみよう」「行ってみて疲れたら1時間で帰ろう」と思えるようになって、少しずつ楽しめるようになってきました!」
「不安を感じること」自体は悪いことではない
ここで一つ、大切なことをお伝えしたいのですが、不安を感じること自体は決して悪いことではありません。
「不安=なくさなければいけないもの」ではなく、本来は「危険を回避するための大切な感情」なのです。
Aさんも、不安自体をゼロにしたわけではありません。
でも、「今できること」に集中することで、「不安を感じても動ける」状態になっていきました。大切なのは、不安をなくそうとするのではなく、「不安と共存しながら、自分なりの対処法を持つこと」です。
「大丈夫、なんとかなる」と思えるようになるには、不安を完全になくそうとするのではなく、不安と共存しながら「意外と平気だった」と思える経験を増やしていくこと。
だからこそ「こんな自分を変えなきゃ!」と思うのではなく、まずは「小さなこと」「できそうなこと」から試してみてくださいね。