「また爆発してしまった…」「こうしてほしい」が伝えたいのに伝えられない…「無意識のブレーキ」の正体
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
家族や友達、パートナーに自分の気持ちを伝えられず、ある日突然爆発してしまう……そんな経験をしたことはありませんか?
「最初から伝えられていれば、こんなことにはならなかったのに…」
「怒ってしまった自分が嫌になる…」
こうした後悔や自己嫌悪を抱えているあなたに、伝えたいことがあります。
それは、「こうしてほしい」と言えないあなたが悪いのではないということです。
あなたがそうなってしまうのには、ちゃんと理由があります。今日は、その背景について一緒に考えていきましょう。
なぜ「こうしてほしい」が言えないのか?
「自分の気持ちを言えない」という悩みの背景には、いくつかの心理的要因が関係していることが多いです。
① 過去の経験からくる「拒絶への恐れ」
「わがままを言わないの!」
「そんなの無理に決まってるでしょ」
「もっと空気を読みなさい」
幼い頃、家族に自分の希望を伝えたとき、上記のような言葉を伝えられたことはありませんか?
こうした言葉を繰り返し聞いて育つと、「言っても仕方がない」「どうせ否定される」と思い込むようになり、気持ちを押し込める習慣ができてしまうのです。
これは、学習性無力感(Seligman, 1975)と呼ばれる心理状態の一種で、自分の行動が意味をなさないと学習してしまうことが原因で起こる状態です。
② 「相手を傷つけたくない」という思いやりの気持ち
「自分の要望を伝えることが、相手を不快にさせるのではないか?」
「嫌われたらどうしよう…?」
このように、相手の気持ちを優先しすぎることも、言えなくなる原因の一つです。
特に、感受性の高い方の場合は、相手の反応を敏感に察知するため「伝えることで関係が悪化するのでは」「相手が不快になるのでは」と不安になりやすい傾向があります。
その結果、「言わないほうが平和だ」と感じ、結果的に自分の気持ちを押し殺してしまうのです。
③ 「怒り」が二次感情であることを知らない
爆発してしまったあと、「なんで私はこんなに怒ってしまうんだろう?」と自己嫌悪に陥ることはありませんか?
実は、怒りという感情は「二次感情(Lerner, 1985)」と呼ばれるもので、その裏側には悲しみ・寂しさ・不安などのもっと繊細な感情が隠れていることが多いのです。
「もっと話を聞いてほしかった」
→ でも言えなかった → 爆発!「ひとりで抱え込むのがつらかった」
→ でも頼れなかった → 爆発!
このように怒りが溜まって爆発するのは、言葉にできなかった「本当の気持ち」が、どうしようもなく溢れ出してしまうから。
だからこそ、「イライラしちゃいけない」と自分を押さえ込む前に、「私はなぜ怒っているんだろう?」と自分に問いかけてみることが大切なのです。
解決のヒント
「こうしてほしい」が言えない自分を責める必要はありません。
何でもかんでも言えばいいわけではないですし、「言うことで悪化する関係」もあるからです。
でも、言えないことで後悔することが多かったり、ストレスを感じてしんどくなっているのなら、少しずつ心を楽にするために次のような方法を試してみることをおすすめします。
✅ 「気持ちを言う」ことのハードルを下げる
(小さなことから言ってみる)
✅ 自分の感情に気づく習慣をつける
(「本当はどう感じている?」と自問する)
✅ 「言えなくてもいい」と思ってみる
(言えない自分を否定しない)
✅ 伝え方のバリエーションを増やす
(文章やメモを活用する)
相談事例:「気持ちを言葉にする」
Bさん(30代・女性)は、昔から友達に「本当はこうしてほしい」と言えない性格でした。
たとえば、友達が「ここに行こう!」と提案すると、本当はあまり気乗りしなくても「いいね、行こう!」と合わせてしまうことがよくありました。
でも、そうやって無理をしているうちに、だんだんとストレスが溜まり、ある日ついに「なんで私ばっかり合わせなきゃいけないの!?」と友達に強く言ってしまったのです。
「最初からちゃんと伝えられていれば、こんなふうに怒らずに済んだのに…」と後悔したBさんは、メールカウンセリングを利用されました。
Bさんが一緒に取り組んだのは、「いきなり全部伝えようとしない」「小さなことから1つずつ言う」ことでした。
言葉で伝えるのは勇気がいると言うことで、まずは「今回はカフェでゆっくりしたいな」「ここに行ってみたい」ということをLINEでのやり取りで伝えてみたのです。
すると、友達は意外にも「あ、それもいいね!」と快く受け入れてくれたのだといいます。
「なんだ、こんなに簡単なことで良かったんだ」と思えたBさん。少しずつ「私はこっちのほうが好き」と言えるようになり、友達との関係も楽になっていきました。
小さなことから1つずつ
大事なのは、「私はどうしたいのか?」という自分の気持ちに気づくこと。
言う方がしんどいなら「言わない日」があってもいいし、言わない方がしんどいなら「言う日」があってもいいのです。
言えない自分を責めてしまうなら、「言えなくても大丈夫」と少し肩の力を抜くこと。1つずつ、無理のない方法で試していけば大丈夫。
Bさんのように「目の前の人に気を遣ってしまう」のなら、顔が見えない「LINE」「メール」で伝えてみるのもいいでしょう。小さな一歩に感じるかもしれませんが、この一歩は確実にあなたをラクにしてくれます。