「いい人症候群」とは?自分を犠牲にしない生き方への第一歩
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日お伝えするのは「いい人症候群」について。
あなたは日常的に、次のように感じることはありますか?
もしもこれらに心当たりがあるなら、「いい人症候群」に陥っているのかもしれません…!
- 頼まれると断れず、つい無理をしてしまう
- 「どう思われるか」が気になり、自分の本音を隠してしまう
- 他人に尽くしてばかりで、自分が疲れていることに気づかない
いい人症候群とは?
「いい人症候群」とは、他人から「いい人」と思われたい気持ちが強すぎて、自分を犠牲にしてしまう状態のこと。病気ではありません。
ですが…この状態が続くと、自分の感情や欲求を押し殺し、ストレスや孤独感を抱える原因になります。
いい人症候群の特徴として挙げられるのは、次の4つです。
- 他人の期待に応えすぎる
- 頼まれたことは断れない。
- 「断る=相手を傷つける」と感じて、断りたいのに断れない。
- 自分の本音を隠してしまう
- 自分の意見を言うよりも、相手に合わせることを優先してしまう。言いたいのに、言えない。
- 自分の感情を抑えすぎて、本当は何を望んでいるのかがわからなくなる。自分の気持ちがわからなくなってしまうことも。
- 他人の評価を気にしすぎる
- 「どう思われるか」が気になり、他人の目に振り回される。したいことが分からなくなる、したいことが出来なくなる。
- 褒められると安心し、批判されると深く傷つく。直接批判されなくても「褒められない=ダメ」と思うこと、自分以外の誰かが褒められた時に、「どうせ私は…」と悲観的になることもある。
※ACの場合は、褒められることに違和感や抵抗があることも。この場合は「毒親」にかんする記事をご参照ください。
- 自己犠牲的な行動をする
- 他人を優先するあまり、自分の時間やエネルギーを削り、疲れ果ててしまう。そうしたいから「する」というより、嫌われないために無理をするなど「しなければいけない」に縛られてしまう。
いい人症候群、なおすべき?
冒頭でお伝えした通り、いい人症候群というのは「状態」を指し示す言葉で、病気ではありません。
結論からお伝えすると、「なおさなければいけない」というものではありません。
あなた自身が「いい人」でいることに困っていなければ、そのままで何の問題もありません。
ですが…
いい人で疲れてしまったり、いい人でいる弊害が生じている場合には、「いい人から抜け出す」選択肢も必要です。
無理を続けることで心身ともに疲労が溜まり、ストレスが増大し、最終的には体調を崩してしまうこともあるからです。
さらに、人間関係においても問題が生じやすくなります。
「いい人」として振る舞い続けることで、周囲から「都合のいい人」として扱われたり、自分の本音を押し殺してしまうために、不満や孤独感を抱え込むことが多くなります。
その結果、表面的には周囲と良好な関係を築いているように見えても、「誰にも自分をわかってもらえない」と感じる孤独感が強まる傾向があります。
あなた自身が「いい人症候群」から抜け出したいと感じているのなら、この先も読み進めていただければと思います。
いい人症候群の原因
「いい人症候群」は、以下のような背景から生まれることが多いと言われています。
なお、原因は1つではなく、複数当てはまることも珍しくありません。
1. 幼少期の家庭環境
- 厳しい親や期待が大きい家庭で、「いい子」でいないと愛されないと感じていた。
- 親の機嫌を取るために、我慢や迎合が身についてしまった。
2. 自己肯定感の低さ
- 「自分には価値がない」と感じるため、他人の評価や承認を必要以上に求めてしまう。
3. 社会的な影響
- 「他人を思いやることが美徳」とされる環境で育つと、「自分を優先すること=わがまま」と感じてしまう。
いい人症候群を乗り越えるための方法
ここでは、いい人症候群を乗り越えるために有効な3つの方法についてお伝えします。
全てを実行する必要はありません。
「続けること」が一番大切なので、まずは1つ、無理なく実行できそうなものから試してみてくださいね。
1. 自分の感情を優先する練習をする
他人の気持ちを気にしすぎるのではなく、「自分はどう感じているのか」を意識することから始めましょう。
小さな場面でも、自分の気持ちに目を向ける練習をすることで、自分軸を育てることができます。
- 質問例:
- 「これは本当に自分がやりたいことなのか?」
- 「私はこの状況でどう感じているのか?」
2. NOと言う勇気を持つ
断ることで自分を守ることができます。「断ることは悪いことではない」と自分に伝えてあげてください。
最初は難しく感じるかもしれませんが、小さなNOを積み重ねることで、断ることへの抵抗感が少なくなります。
※断るのが難しい…と感じる場合には、過去の記事【断れないと悩むあなたへ】がお役に立てるかもしれません。
3. 他人に頼ることを覚える
自分ひとりで抱え込むのではなく、信頼できる人に助けを求めることも重要です。他人に頼ることで、信頼関係が深まり、負担も軽くなるからです。
カウンセラーや医師など専門家の助けがあれば心強いですが、あなたが信頼できる相手がいれば、その限りではありません。
信頼できるかどうかの目安になるのは、次の3点です。
1つめ、あなたを否定しないこと。否定する相手を頼ると、傷つくリスクがあります。
2つめ、あなたの話を最後まで聞いてくれること。自分の気持ちを安心して話せることが重要です。
3つめ、あなたと意見が違っても、尊重してくれること。これは、あなたが「相手に合わせる」癖が発動しないための必須条件です。
※頼るのが難しい…と感じる場合には、過去のオンライン漫画【誰かに頼れないあなたへ】がお役に立てるかもしれません。
最後に
「いい人症候群」とは、他人を優先しすぎるあまり、自分の感情や欲求を後回しにしてしまう状態です。
周囲の期待に応えようとするあまり、知らず知らずのうちに自分を犠牲にしてしまい、心身の疲労感や孤独感に苦しむ人も少なくありません。
でも、この状態から抜け出すことは十分に可能です。
まず大切なのは、「自分の気持ちを大切にする練習」を少しずつ始めること。
自分の感情に耳を傾け、「本当はどう感じているのか」「何を望んでいるのか」を意識することで、自分の軸を取り戻すことができます。
無理をして他人に合わせるのではなく、「今の自分にとって最も心地よい選択は何か」を考える習慣を持つことが、心の余裕を生み出す第一歩となります。
「自分を大切にする」ということは、決して自己中心的でわがままな行動を意味するわけではありません。
自分の心の声を尊重し、無理をせずに生きること。そして、自分の幸せを他人任せにせず、自分自身で築いていくということです。
小さな一歩でも、その積み重ねがあなたの心を軽くし、より自分らしく楽に生きる未来へとつながっていきます。