【子どもが苦しむ親】子どもに完璧を求め続ける「完璧主義者」の親
こんにちは。心理カウンセラーPocheです。
今日お伝えするのは、子どもに完璧を求め続ける「完璧主義者」の親について。
このタイプの親は、他人から見た時に教育熱心な親に見えるのが特徴です。
先生から評判が良い事も多く、子どもは誰にも助けを求められないまま良い子を演じ続けます。
そうしないと、その家で生きていけないからです。
頑張るのが当たり前。達成するのが当たり前。
それができなければ、責められ怒られ、ガッカリされ否定される…。
このタイプの親が求める「完璧」は、終わりがないのです。
頑張って達成しても、終わりがありません。親の要求は果てしなく続きます。
だから、子どもは、どこかで心が折れてしまいます。心も体も疲弊し切ってしまうのです。
自信を失う子どもたち
小さな子どもは、家の中で自信を育てます。
親に自分を見てもらい、受け止めてもらったり、認めてもらったり、褒めてもらったりする中で、自信を育てていきます。
何かができるかどうかではなくて、そのままの自分に価値があって、そのままのあなたで愛されるということを親が子どもに教えます。
でも、このタイプの親は、子どもに真逆の感覚を植え付けます。
そのままのあなたには価値がないから、努力しろと教えます。
そのままのあなたでは愛されないと、言葉や態度で教えます。
自信を育てるはずの家庭で、自信を失うことの重大さを「このタイプの親」は自覚していないのです。
大人になった時に、「ありのままの自分に価値がある」と思える人がいます。その一方で、「ありのままの自分に価値はない」と思う人もいます。
これらの違いは、単なる性格や考え方の違いではありません。
非常に多くのケースにおいて、子どもの頃に「親が子どもにどう接したか」が影響しています。
親が子どもに植え付けた思考は、大人になっても影響を及ぼします。
もしも、あなたが「ありのままの自分でいい」と思えないとしても、ガッカリしないでください。
なぜならそれは、あなたのせいではないからです。あなたの能力や努力が足りないせいでもありません。
「そのままのあなたではダメ」「ありのままの自分では愛されない」と思い込まされて大人になった子が、大人になって急に「ありのままの自分でいい!」と胸を張れるわけがないのです。
親の要求を達成できないと…
親の要求を達成できれば、褒められます。
でも、達成できなければ、親は手のひらを返します。態度が一変します。
※要求を達成しても褒めないタイプの親もいます。頑張ってやっと達成した子どもの努力を「当たり前」と一蹴することもあります。「私のおかげ」「さすが私の子」と、手柄を横取りすることもあります。この場合は、書籍『もしかしてうちの親って、毒親』の第2章「7つの毒親タイプ」をご参照ください。
親が求めた何かを達成できない時、一番落ち込むのは子どもです。
でも、このタイプの親は、落ち込んでいる子どもに対して寄り添うことをしません。頑張りを認めることもありません。
その代わりに、「私の願いを叶えられないダメな子」という烙印を押します。
傷ついているのは子どもなのに、「あなたにはガッカリさせられた」と親が被害者面をします。
そしてガッカリした親を見て、子どもは次のように自分を責めます。
- 自分がもっと頑張れれば…
- ○○ちゃんみたいに、うまく出来れば…
- もっと自分に能力があれば…
- 私がこんな性格じゃなかったら…
あなたもこのように感じたことは、ありますか?
過去を思い出して、今もこのように後悔することはありますか?
この答えが「はい」のあなたに支えたいことがあります。
それは、過去の出来事は「あなたのせいではなかった」ということ。あなたは、悪くありません。
さらには、過去のあなたは、本当によく頑張って生きてきたはずです。過去のあなたは、当時できることを一生懸命に頑張ったはずです。
あなたの親がなんと言おうと、この事実は認めてあげてください。
おそらくあなたの親は、あなたがどれだけ頑張っても満足してくれませんでした。
勉強が苦手だとすれば、勉強を頑張るように求めたでしょう。頑張れるようになれば、次は100点を取れと要求したでしょう。100点を取れるようになったら、毎回100点を取るよう要求します。
良い成績をとって「良い高校」に行くことを求められ、それを叶えたと思ったら、次は「良い大学に行け」というでしょう。
良い大学に入った後は、良い就職先に就けと言います。良い就職先についたとおもったら、良い結婚相手を見つけろと言うでしょう。
良い結婚相手を見つけたと思ったら、早く子どもをつくれと言います。子どもを授かったら、次は「その子」についてあれこれ口を出し始めます。
…このように完璧主義者の親の要求には、終わりがありません。
過去に、親があなたにガッカリしたのも、あなたに失望したのも……あなたのせいではありません。
親が勝手に無茶な期待を抱き、勝手にガッカリし、勝手に失望したのです。
親の要求が叶えられなかった子ども側に問題があるのではありません。
人間である以上、終わりのない要求を叶えることは不可能だからです。
子どもに完璧を求め続ける「完璧主義者」の親とは
このタイプの親には、5つの特長があります。
以前お伝えした「絶対的な教祖のような親」では、どれか1つが強烈に当てはまる可能性についてお伝えしましたが、このタイプの親は複数当てはまることがあります。
1.子どもにプレッシャーをかける
このタイプの親は、何事も完璧に成し遂げるように子どもに要求します。
学校のイベント、入試、就職など子どもが「心のサポート」を必要とする時に大きなプレッシャーをかけます。
子どもの心を支えるはずの親が、期待とプレッシャーで子どもを追い詰めてしまうのです。
ただし、何を完璧とするかは親次第です。
容姿、健康、振る舞い、学歴……その親が求めているものを「完璧に満たす」ことが要求されます。
男の子に多いのは、学歴です。
親が求める合格ラインの成績を収めること、親が求める学校に進学することを求められます。子どもの頃に親の要求を満たせなかった場合、「ダメな子」の烙印を押されます。大人になっても、過去の失敗を責められてしまうことも珍しくありません。
厄介なのは、周囲にこの苦しみが理解されにくいことです。
大抵の親は子どもに「勉強しなさい」と言うからこそ、その家の深刻さが伝わりにくいのです。「大学に行かせてもらえるなんて羨ましい」と、妬みの対象になってしまうこともあります。
女の子に多いのは、容姿です。
例えば、子どもに整形を命じることもあります。子どもの意向に関係なく、「そんな顔じゃ恥ずかしい」「こうした方がもっと可愛い」という親の意向で整形させます。
近年では「整形したい(でもお金がない…)」という願望を持つ人が少なからずいるため、「親がありのままの自分を認めてくれていない(整形を求める)」という底知れない苦しみが、周囲には理解されにくいのです。それどころか「羨ましい」「いいなぁ」と言われてしまうことがあります。
このように、「周囲に理解されにくい」という現状が、その子の苦しみを何倍にも膨らませてしまいます。
2.実現不可能な高い基準を設ける
完璧主義者の親は、子どもの性格や性質を見ることなく、子どもが実現できないような「高い基準」を要求します。
達成しても、達成しても、終わりがありません。彼らは満足することを知らないからです。
「やって当たり前」と、当然のように要求します。出来ないと責めます。
「なぜできないんだ」「ダメな奴だ」と直接攻撃することもあれば、「こんな子に育てた覚えはない」「○○さんのお宅は…」などと罪悪感に訴えてくることもあります。
自分ができたから「当然のように子どもに求める」こともあれば、自分ができもしないことを子どもに要求します。
このタイプの親は、「子どもの気持ちを考えることができない」のも特徴です。子どもの立場に立って考えることをしないので、平気で無理な要求をし続けます。
3.言動が強迫観念的
整理整頓や清潔さを異常なほどまでに、要求する親がいます。
どの家庭でもある程度の清潔やや整理整頓が必要なのは当然のことですが、完璧主義者の親は、子どもの食事、睡眠、掃除、喋り方、そのほか全てについて「自分の基準を守らせよう」として子どもに苦痛を強います。
子どもが「子どもらしくあること」が認められません。許せないのです。
ですが、厄介なことに、これも周囲に理解されにくいのです。
世間一般のイメージとして…
「部屋を掃除しないゴミだらけの部屋に住む親」よりも、「完璧すぎるほど綺麗な部屋に住む親」の方が良い親だと判断されてしまいます。
「ご飯を作らない親」よりも、「完璧すぎるほどに栄養管理をしている親」の方が良い親だと判断されてしまいます。
現実には、そのようなことはありません。
完璧すぎる親、異常なほどに子どもを管理する親というのは、子どもの健全な心を壊します。「その子らしさ」が育つ機会を奪います。
でもそれが、今の世の中では理解されにくいのです。
同じような親を持つ人ではない限り、管理されすぎてしまうことの苦しみは理解できません。医師やカウンセラーでさえ理解できないこともあります。
理解されないどころか、「(いろいろしてもらっているのに)わがまま、贅沢」と勘違いされてしまうこともあります。
もしも、あなたもそのような経験があるのなら、「人には理解できないような大変な環境で生きてきた」という事実を認めてあげてください。理解されないのはあなたのせいではなく、それほど異常な環境だったからなのだ…ということを。
そしてそれは、絶対にあなたのせいではありません。
4.「人がどう思うか」が大事
他人の前でどうふるまうか、子どもに強制する親もいます。
言葉でハッキリ伝えられることもあれば、親の態度で子どもが「こうした方が良いな」と察することもあります。
他人の前で、「親の理想の家族」を演じさせられることもあります。
家の中では会話がないほど冷え切った関係なのに、外では「仲の良い家族」を演じることもあります。家の中では「怖い親」、でも一歩外に出れば「優しい親」ということもよくある話です。
このタイプの親は「子どもがどう思うか」よりも、「他人の目にどう映るか」の方が大切です。
だから、親が望むように、子どもが完璧に演じることを期待しています。
子どもはそれを無意識に感じ取り、親が求める「いい子」を演じます。
この習慣は、大人になっても残ります。
子どもの頃に「いい子でいること」を求められた人のほとんどは、大人になっても「いい子」「いい人」から抜け出せません。
「自分らしく生きていい」「断ってもいい」「頑張れなくていい」と頭で考えてもブレーキがかかります。
子どもの頃に「いい子」をやめることは、してはいけないこと、ダメなことだったからです。
「してはいけないこと」、「したらよくないことが起こる」ということが、過去の親子関係から強烈にインプットされてしまっています。
5.心の状態まで支配する
このタイプの親は、美、地位、権力、お金を宗教的なほどに崇拝することがあります。
外見や行動ばかりではなく、子どもの心の状態まで完璧でなくては満足しない親もいます。
「そんなんじゃ大人になってやっていけないわよ」と言葉で制する親もいれば、明らかに不機嫌になって沈黙することで「そんな言葉は言うな」とプレッシャーを与える親もいます。
子どもが悲しんだり、怒ったり、不安になったり、弱音を吐いたりすることが認められないのです。
男の子に多いのが、「泣くこと」を抑圧されるケースです。
時代的な背景もあるので、親だけのせいとは一概には言えませんが、「泣くこと」を封じられてしまうことがあります。でも、特定の感情を押さえ込むと、その感情は「別の感情」となって出てきます。
例えば、泣くことを過剰に抑え込んだ結果、心の中で怒りや不満が募ることがあります。
ですが、このタイプの親を持つ場合は、怖くて親に怒りをぶつけることができません。親に向いた怒りは、矛先を変えて自分を傷つけてしまいます。自責や何かへの依存といった形で、怒りが形を変えて自分を苦しめてしまいます。
このタイプの親に育てられると…
このような親に育てられると、大人になった時に次のような悩みを抱えやすくなります。
- 自分が「どんな人か」ではなく、「何をしたか」によって価値が決まると感じる
- いつも何かに追いたてられ、強制されているように感じる
- あとになって「ああすればよかった」と思ったり、自己不信に陥ることがよくある
- 誰かに「出来ている」と褒められても、自分ではそう思えない
- 何をやってもうまくいかないように感じる
- 抑うつ感が募る
親が完璧ではないのに…?
このタイプの親は、子どもに完璧を求めるため、完璧主義者の親と表現されることもあります。
では、このタイプの親は「本当に完璧」なのかというと、そうではないケースの方が多いです。
ある程度の地位・名誉を得ていることもありますが、「子どもに求めているほど完璧ではない」ということがほとんどです。
ですが、このタイプの親にとって、自分が完璧かどうかは関係ないのです。
このタイプの親は、自分の夢と子どもの夢を区別することが出来ません。
自分が達成したかった夢を子どもに達成させようとします。自分が達成したい夢だから、子どもが出来ないと怒ります。責め立てます。
大人になって抱える悩み
完璧主義者の親を持つ子どもに必要なのは、「ベストを尽くせばいいよ。結果がどうであろうと、私はあなたを誇りに思っているよ」という温かい言葉です。結果によって、その子の価値・その子への愛情は変わらないという安心感を得る必要があります。
でも、このタイプの親を持つ子どもが、その言葉を聞くことは永久にありません。
このタイプの親は、子どもの失敗や欠点ばかりに注目します。
「何が出来たか」「どう頑張った」という努力や過程には、興味がないのです。
- 日々の生活で「満たされない何か」があるような気がする
- フラストレーションから抜け出せない
- 「ああすればよかった」と後から後悔することが多い
- 他人の欠点ばかり目についてしまう
- 「ふつうはこうだろ?」と、誰かにイライラしがち
このようなことで日々悩んでいるのならこのタイプの親の影響を強く感じている可能性があります。
この影響があると、何をしても満たされません。何かが達成できても、不全感が残ります。
この影響を消すためには、「あなたを苦しめている原因が過去のどの段階で作られてしまったのか」について知る必要があります。
今回の記事内で何か当てはまることがあったなら、書籍『もしかしてうちの親って、毒親』がお役に立てるはずです。