褒められても素直に喜べないあなたへ 〜それでも大丈夫
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「○○さんのおかげなだけです」
「運が良かっただけ」
「全然大したことじゃないです」
誰かから褒められた時に、このような言葉をつい口にしてしまったことはありませんか?
ただし…
ここでお伝えしたいのは、「この言い方が良くない」「もっと別の言い方をした方がいい」ということではないのですよ。
日本という国においては「謙遜」の文化もありますし、周囲との輪を大事にするため、空気を読むためにこのような言葉を「意図的に使えている」のなら、何の問題もありません。
この記事では、「褒められて喜べない」ということを否定するのではなく、その背景や理由に寄り添いながら、「喜べなくても大丈夫」という視点をお届けします。
褒められて喜べない理由
「素直に喜べないじぶんはおかしいのでは」「心が歪んでいるのでは」「素直ではないのでは」と悩む方もいらっしゃいますが、決してそのようなことはありません。
「褒められて喜べない」ことに悩む場合、その裏にはあなた自身が大切にしている価値観やこれまでの経験が隠れています。
1.「まだ足りない」と思ってしまうから
褒められることは、自分の成果や努力を認めてもらえることです。
…ですが、自分の中で「まだ十分ではない」と感じていると、その言葉を素直に受け入れられなくなります。
例えば、次のような具合です。
「仕事で成果を出して上司に褒められたのに、『いや、まだまだです』と反射的に答えてしまいました。本当は嬉しいはずなのに、心のどこかで『これくらいで満足していたらダメだ』『もっと上を目指さないと』と思ってしまうんです。学生時代からずっと『完璧にできて当たり前』という環境で育ってきたせいか、どれだけ頑張っても『まだ不十分』と感じてしまうんですよね。もっと気楽に、自分の頑張りを認められるようになりたいです。」
上記相談者の場合は、「まだ不十分」と思ってしまう背景を探すことから始めました。
過去の影響が強く「できない自分もOK」と思うにはかなり時間がかかりそうだったため、「とりあえず『ありがとう』と言ってみる」ということを試すことに。すると不思議なことに、少しずつ褒め言葉が受け入れられるようになっていったのです。
「ありがとうって言ってみたら、なんだか私も相手も嬉しくなったというか」「周囲の反応も変わったんですよ。以前より気軽に話しかけてくれるようになったというか」と嬉しそうに報告してくれました。
これは、「まだまだ」というプレッシャーから解放されることで、本来の「自分らしさ」が出てきた例です。
2.褒められることが「評価」だと感じてしまうから
「仕事で上司に『今回のプレゼン、すごく良かったよ!』と褒められました。本来なら嬉しいはずなのに、心の中では『次も同じレベルを求められるんだろうな…』『次に失敗したらガッカリされるかも』と不安になってしまいました。褒められるたびに、プレッシャーを感じてしまい、素直に喜べません。」
「友達に『○○って気が利くよね!』『いつも周りをよく見てる』と言われることが多いです。でも、そのたびに『次も気を利かせないとダメなのかな?』『期待に応えられなかったら、がっかりされるかも』と考えてしまいます。」
このように感じてしまうと、褒められることが重圧となり、次第に「褒められたくない」と思うようになってしまうこともあります。
「褒められた」事実が、「頑張り続けなければいけない」「成果を出し続けないと褒められない」「成果を出せないとがっかりされる」というプレッシャーへと変換されてしまうからです。
3.「本当にそうだろうか」と疑ってしまうから
「仕事で上司に『今回の資料、すごく分かりやすかったよ』と言われました。でも、素直に受け取れなくて…『ただの社交辞令じゃないのかな?』『みんなに同じように言ってるだけかも』と思ってしまいます。褒められるたびに、『本当に?』と疑ってしまい、喜ぶどころか逆にモヤモヤしてしまうんです。」
- 「社交辞令で言っているだけでは?」
- 「無理に持ち上げているのでは?」
このように疑ってしまう背景には、「自分が褒められるに値する存在だと思えない」という気持ちが隠れています。過去の経験から自己評価が低いと、褒められた言葉を「本心ではないのでは」と感じてしまうことがあるのです。
自分の価値を信じることが難しいと、他人の言葉も素直に受け取れなくなってしまいます。
喜べなくても、大丈夫
ここまで、褒められて喜べない理由についてお伝えしました。
喜べない理由には「もっと頑張りたい」「期待に応えたい」「謙虚でいたい」といった、あなたの真面目さや責任感、過去の経験による影響が反映されています。
ですが、ここで言いたいのは、褒められて喜べないあなたが悪いわけではありません。
褒められても喜べない時、「喜べなくてもいい」と受け止めるだけで心が軽くなることがあります。
褒められた言葉を「良い言葉」として認められるようになるには時間がかかることもありますから、無理に喜ぼうとせず「喜べない自分も、今の私なんだ」「今はまだ喜べないけど、それでもいい」と受け止めてみてくださいね。
喜べるのがいい人で、喜べないのが悪い人、ということではありません。
最後に
褒められても素直に喜べない――
それは、あなたが真面目で、慎重で、周囲に誠実であろうとするからこそ生まれる感覚です。
だから、無理に「喜べる自分」になろうとしなくても大丈夫。
褒められた時に「どうして自分は素直になれないんだろう」と責める必要もありません。
どのような理由があるにせよ、「喜べない」というのはあなたの素直な気持ち。自分の気持ちを無視してまで、大喜びする必要はありません。
今はとりあえず、褒められたという事実だけ受け取っておきましょう。
そうすることで、いつか受けいられられるタイミングが来た時に「過去にもらった褒め言葉」が、あなたの自信に繋がっていくはずです。大丈夫ですよ。