「自分軸で動けない」と気づいたあなたへ〜小さな一歩から始める自分軸の育て方
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
「自分軸がない」
「自分軸が弱い」
「自分軸で動けない」
…このように思うことはありますか?
なぜこのような質問をしたかというと、まずはこの気づきがとても大切な一歩であることをお伝えしたかったからなのです。
自分軸が「ない」「弱い」「動けない」というとネガティブな印象を受けますが、そのことに気づけているあなたは、新たな一歩を踏み出す準備ができています。
身近な大人たちの不機嫌さや厳しい態度、理不尽な言葉…。
私たちは、小さな頃から家庭や周囲の環境の中で、自分の「軸」が揺らいでしまう経験をします。
その結果、自分の気持ちよりも「相手がどう感じるか」「自分がどう見られるか」を優先する癖がつき、自分軸が見えにくくなってしまうことがあるのです。
自分軸で動けない3つの理由
自分軸が「ない」「弱い」「動けない」と感じる背景には、多くの場合「幼少期」のできごとの影響があります。
あなたがこれまでの人生で積み重なってきたさまざまな経験や考え方が、自分軸で動くことにブレーキをかけているのかもしれません。
ここでは、自分軸で動けなくなる主な理由を3つ挙げ、それぞれに対する解決のヒントをお伝えします。
1. 「他人軸」を優先する癖がついている
小さい頃に、親や周囲の大人たちからの評価を気にしながら育ってきた場合、「自分の気持ちよりも他人の気持ちを優先することが当たり前」という癖がつきます。
特に、親の不機嫌や理不尽な態度に敏感に反応してきた人は、「自分がどうしたいか」よりも「相手がどう感じるか」に意識が向きやすくなります。
例えば、次のような悩みが該当します。
「昔から、周りの顔色をうかがう癖があります。特に親が不機嫌なときは、怒られないように先回りして動いたり、余計なことを言わないように気をつけていました。そのせいか、大人になった今も、職場や友人との会話で『自分はこうしたい』よりも『相手はどう思うだろう?』と考えてしまいます。気づけば、周りの意見に合わせることが当たり前になり、本当の自分の気持ちがわからなくなっています。私はどうすれば、自分の気持ちを大切にできるのでしょうか?」
相談者の場合は、過去に親の顔色を窺ってきた癖が、大人になっても強く残っていました。
相談者の場合は「怒られないように」という恐怖からでしたが、それ以外には「親のことが好きで笑って欲しかった」「親に褒めて欲しかった」という動機のこともあります。
いずれにしても重要なのは、「子どもの頃に頑張ってきたことは、大人になっても残りやすい」ということ。
相談者の場合は、「自分の性格のせいではなく、過去の習慣が「今の生きづらさ」につながっている」ということを知り、一緒に「自分の気持ちを大切にする習慣」を試みることに。
カウンセリング3回目には「自分の気持ち」について自覚できるようになり、少しずつ「自分を優先していい」「断ってもいい」と実際に行動にも移せるようになっていきました。そうすることで職場での人間関係で我慢しすぎることも減り、とても楽になったのだと言います。
(当初は、「転職したい」という相談だったのですが、職場の人間関係が良くなることで「今の職場でしばらく頑張ってみます!」と仰っていました)
2. 「自分の意見には価値がない」と感じてしまう
「自分の意見には価値がない」と感じてしまうのは、多くの場合、過去に繰り返された否定的な経験が影響しています。
たとえば、子どもの頃に否定されたり、意見を無視される体験を重ねると、「自分の考えは受け入れられないものだ」と思い込んでしまいます。
たとえば、次のような事例です。
「昔から、自分の考えを話すのが苦手です。子どもの頃、親に『そんなの間違ってる』『考えが浅い』と言われることが多く、意見を言っても受け入れてもらえませんでした。無視されたり、『そうじゃなくてね』と訂正されることもあり、『どうせ言ってもダメなんだ』と思うようになりました。大人になった今も、自分の意見を言う前に『間違っているかも』『変だと思われるかも』と考えてしまい、結局黙ってしまいます。」
相談者のように、自分の気持ちを表現するたびに否定されると、「傷つくくらいなら周囲に合わせておこう」と防衛反応が働き、自分の意志を抑える癖がつきます。
これは誰がが悪いとかそういう話ではなく、親に悪意がなくても「子ども側が否定された」と感じてしまうことがあるということです。
そしてこの思い込みは、大人になっても無意識に働き、「自分にはそんな資格がない」「周囲に従うほうが楽」という選択につながりやすくなります。
3. 「失敗を恐れる気持ち」が強い
「新しいことに挑戦しようと思っても、『もし失敗したらどうしよう』『周りに迷惑をかけるかも』と考えてしまい、結局やらずに終わることが多いです。子どもの頃、ミスをすると親に『なんでそんなこともできないの?』と怒られたり、『迷惑をかけるな』と言われることがよくありました。そのせいか、失敗=責められるものだと感じてしまい、最初から諦める癖がついてしまいました。」
上記の相談者のように、「失敗を恐れる気持ち」が強いと、行動する前にあれこれと悪い結果を想像してしまい、「自分には無理かもしれない」と挑戦を諦める傾向があります。
また、失敗することで「自分の価値がなくなる」と思い込む場合もあります。その結果、行動する前に「失敗したらどうしよう」と自分を抑え込み、安全な選択に逃げがちになります。
ここでお伝えしたいのは、「行動できないのがダメだ」「行動できるようになるべきだ」という指摘ではありません。
ですが、もしもあなたが、行動したいのに「できない」のだとしたら、その原因が過去にあるのかもしれないという可能性について知って欲しかったのです。
自分軸を取り戻す小さな方法
「自分軸を取り戻したい」と思っても、いきなり大きく変わる必要はありません。
むしろ、日々の小さな選択の中で「自分はどうしたい?」と問いかけるだけで、少しずつ自分軸は育っていきます。
例えば、次のように、日常の小さな場面で自分の気持ちを大切にすることを意識してみるのも良いかもしれませんね。
例えば…
- 食事の時、「今、何を食べたい?」と自分に聞いてみる。
- 誰かのお願い事を引き受ける時、「本当にやりたいのか」「無理をしていないか」を心の中で自分に確認する。
小さなお願いごとや誘いに対して、「今は無理」「また今度ね」と断る練習をするのも効果的。 - 疲れている時、「今日は休む自分を許してあげよう」と決めてみる。
- 朝起きた時、「今日は元気?」「どんな気分?」と自分に聞いてみる。
その日の気分やエネルギーの状態を意識することで、無理をせず過ごせるようになります。 - 誰かと会話している時や何か行動をしている時に、「楽しい?」「少し無理してない?」などと、心の中で確認する。
その場で自分の気持ちに気づく練習になります。
最後に
自分軸を強くするために必要なのは、小さな日常の選択を大切にすること。
自分の気持ちを否定せず、少しずつ「私はこうしたい」という感覚を取り戻していくことで、自分軸は自然と育まれていきます。
「私はどうしたいのか」を問いかけることは、最初は少し難しいかもしれませんが、繰り返していくうちに「自分の気持ちを優先してもいいんだ」と少しずつ感じられるようになるはずです。
ここまで読んでみて、「そんなの綺麗事だ!そんな簡単にいくはずがない!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それはそれで大丈夫。
自分の中に芽生えた素直な感情は、そのまま受け止めてくださいね。
自分軸を取り戻すための方法はたくさんありますから、あなたに合う方法もきっと見つかります。
納得できないものを頑張るより、納得できたものを試す方が結果は出やすいもの。
だからこそ、自分の感覚を最優先に、「やってみたいな」と思えたものを試していきましょう。
これこそが「自分軸」を育てるための考え方でもあります。