「過去の親子関係が今の生きづらさに影響する」の過去は、いったい何歳の頃のこと?
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こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
これまでブログやツイッターでは「過去の経験が今の生きづらさに影響を与えているかもしれない」ということを繰り返しお伝えしてきました。
でもこの「過去」って、いったいいつのことなのか…という疑問を持たれた方もいるのではと思います。
今日は「今に影響を与える過去」とは、いつのことを指すのか、そのことについてお話をさせていただければと思います。
思考の癖は0〜6歳頃までにつくられる
結論からお伝えしてしまうと、思考の癖というのは0歳~6歳頃までに作られます。
何かトラブルが起こった時や、何かがあって落ち込んだり不安になったりした時、どう行動するのかに影響を与えやすいのがこの時期の親子関係です。
同じ出来事に遭遇したとしても、怒りが出やすい人、悲しみが出やすい人、不安になりやすい人、混乱しやすい人まで様々です。
カウンセリングに訪れる方の中には「私は不安になりやすい性格なので」「私はイライラしやすい性格なので」と自分についてやや否定的に話をされる方は多いのですが、性格のせいではなく幼少期の家庭環境が影響を与えているケースは多々あるのです。
何かに遭遇した時、みんながみんな同じ感情を抱くわけではありません。
多くの場合は、幼い頃から馴染みのある「感情」を使います。
たとえば家庭内で許されなかった感情、家庭内で親が認めてくれなかった感情を「別の感情」の代理に使うこともあります。
自分が怒った時には親からひどく怒られ、反対に悲しんでいたり泣いたりしている時に親が優しくしてくれた経験があると、「悲しみ」をよく使うようになります。
親の反応から怒りは良くないもの、悲しみは良いものと、子どもなりにインプットするからです。
さて。
怒りはNG・悲しむのはOKという場合には、怒りが出るような出来事に遭遇したとしても、怒りではなく「悲しみ」を代用することがあります。
怒りは親に認めれれなかった感情、悲しみは親に認められた感情だからです。
小さな子どもにとっては「親がどう思うか」というのは、とても大きな意味を持ちます。そしてその影響は、特別なことをしない限りは大人になっても残り続けます。
このような影響が大人になった時にどう出るのか、1つ例をお話ししますね。
誰かに理不尽なことを言われたとしましょう。
この時に悔しさや怒りが出るか、悲しさや不安が出るのかで、感じる気持ちは全然違います。
怒りはNG・悲しみはOKという影響が無意識に作用すると、「あの人にあんなことを言われてしまって悲しい」「なぜこんなことが起こったのだろう…」と感じます。
怒りはOK・悲しみはNGという影響が無意識に作用すると、「あの人ひどい!」「あんな言い方しなくても!」と感じます。
ここで重要なのは、「本音が何なのか」ということ。
怒りと悲しみどちらの方が良いということではなく、その時感じた本音と「気持ち」が一致していれば問題ないのです。
理不尽なことを言われて腹が立った時。
素直に「怒り」を感じられるのか、それとも腹が立った気持ちを抑えて「悲しみ」を感じているのか。
理不尽なことを言われて傷ついて悲しんでいる時。
素直に「悲しい」「傷ついた」と感じられるか、それとも悲しみを隠して「怒り」を感じるのか。
何かが起こって、本音ではどう感じて、それをどう自分が感じるかによって、出来事のストレス度合いは全然違います。
「怒りNG・悲しみOK」のケースとは反対に、悲しんでいたり泣いている時に「弱虫」「男の子なんだから」「泣いても何も解決しない!」と怒られ、怒りをぶつけた時に比較的自分の意見が通った経験を持つ場合には、悲しみを抑え込んでしまうことがあります。「怒りOK・悲しみNG」の状態です。
この傾向は比較的男性に多く(社会の風潮もあります)、性別問わず長子に良く見られます。
この場合、「悲しみは親に否定される、怒りなら比較的通りやすい」と子どもの頃に学んでいるので、辛く悲しいことがあった時に、悲しみを抑え込んで「あいつのせいだ」「腹が立つ」など、悲しみを怒りで代用することがあるのです。
悲しみだけではなく怒りも抑え込んでいるケースは、「なんでこんなことになったのだろう…」と怒りや悲しみの代わりに混乱したり、「自分が悪いのでは」と自責や不安に置き換えてしまうこともあります。
6歳以降の環境が与える影響
先ほど0~6歳頃までの親子関係が思考に影響を与えやすいとお伝えしましたが、母と娘の関係においては小学生以降の関係も強く影響しやすいです。
それほど虐待的な環境ではない、はたからみて比較的良い環境で育ったとしても、物心がついた時期に親から過度に干渉されたり、否定的な言葉を浴びせられ続けると、大人になった時に生きづらさを抱えやすいのです。
これは親が子どもに無関心のケースよりも、親が子どもに関わりすぎてしまうケースで多くみられる傾向です。
小さい頃には親の細やかな世話が必要ですが、それを成長してもなおやり続けてしまうような場合に、子ども側が生きづらさを感じることがあります。
カウンセリングに携わる身としては、小学生以降の親との関係は「親への罪悪感」や「親への怒り」に結びつきやすいという印象があります。
たとえば「あなたのためを思って」という言葉を使われると、真正面から否定できないと感じる方は多いです。
母親の善意に見える行動を否定したり拒否したりする自分が、とてつもなく冷たい人間に思えたり、酷い人間だと感じてしまうこともあります。この状況は、想像以上にあなたを苦しめます。
実はそれほど虐待的ではなくむしろ普通に見える家庭環境において、親から離れたいのに離れられない、親不孝なのではという罪悪感につながるケースはとても多いのです。
さて。
タイトルテーマ「過去の影響」が指す年齢は何歳ごろなのか?ということに話を戻しますね。
思考の癖や「どんな気持ちが出やすいのか」については、0~6歳頃の影響が大きいです。
ですが6歳以降の親との関係は、「今親に抱いている感情」や「なぜかそう思ってしまうような出来事」にも深く関係しています。
……とはいえ正直なところ何歳頃の影響が強いのかは、とても個人差が大きなところなのです。
考えるのが得意な人、行動するのが得意な人がいます。
石橋を叩いて渡る人もいれば、石橋を叩かず渡る人、石橋を叩いても渡らない人もいます。
ここで今私がお伝えしたいのは何が良くて何が悪いと言うことではなく、「それほど違う」ということなのです。
1冊目の著書「あなたはもう、自分のために生きていい」では、前半で0~6歳頃までの影響について、後半で小学生以降がもたらす影響についてお話ししています。
どのような親の言葉が、どんな生きづらさに影響を与えやすいのかを具体的にまとめていますので、「なぜか生きづらい」「なんかしんどい」という悩みから抜け出すきっかけになれば幸いです。
2冊目の著書「あなたのしんどいをほぐす本」は過去の影響によって生まれた思考の癖をどうやって楽に持っていくかについてまとめた一冊です。過去の影響について深く知りたい方は1冊目の著書、影響よりもとりあえず対処法が知りたいと言う方には2冊目の著書をおすすめします。