「失敗したくない」と思うのは逆効果!? 〜失敗しにくくなる&失敗から立ち直る2つのステップ
こんにちは。心理カウンセラーのPocheです。
今日の記事は、失敗した時の落ち込みからどう抜け出すのか…ということについて。
次のように悩むあなたに向けた記事です。
- 過去のミスが頭を離れない
- 一度失敗すると、気持ちを引きずってしまう
- 失敗すると、どん底まで落ち込む
- 「どうせ失敗する」と挑戦するのをやめてしまう
過去の失敗から立ち直れないあなたが、少しでも自信を取り戻せますように。
寝る前にグルグル考え込んでしまうあなたが、少しでもぐっすり眠れますように。朝、スッキリ起きれますように。
今日より明日が、ほんの少し穏やかに過ごせますように。嫌なことを思い出す頻度が減りますように。
……そう願って書き進めていきます。
失敗して良かった!なんて思えなくてOK
完璧な人間は、どこにもいません。
あなたの大好きな人や「推し」、みんなの憧れの「あの人」でさえ、完璧ではありません。
もしその人たちが完璧に見えるなら、そう見えるだけです。
その人たちがそう見えるように努力しているだけで、本人は周りに言えない葛藤を抱えて生きています。どんな人でも、必ず失敗と成功を繰り返しているのです。
誰でも失敗はするし、失敗したところであなたの価値が変わるわけではありません。
「もう終わった…」と思うような出来事でさえ、案外なんとかなるものです。命を失う以上の出来事は、ありません。
…というのが正論なのですが、頭で理解できることと、心で納得できることは別物です。
「誰でも失敗する」と分かっていても失敗すれば落ち込むし、「失敗しても自分の価値は変わらない」と分かっていても「もうダメだ」と絶望を感じることもあります。
「私は何をやってもダメだ!」と能力に自信が持てなくなったり、「私なんていない方がいいんだ…」と自己否定してしまうこともあるでしょう。親や先生、周りの大人に言われた言葉を思い出して、「やっぱり私は」「どうせ私は」と苦しむこともあります。
でも、失敗した時に落ち込んでもいいです。
絶望的になったとしても、すぐに切り替えられなくていいです。
とことんネガティブになってもいいです。
ただし、自分を否定したり、自分を追い詰めたりすることは、やめておきましょう。
これらは「しない方がいいこと」だからです。
このようなことをしていると、落ち込んだ気分から抜け出せなくなったり、自分がどんどん嫌いになってしまいます。
失敗したときに落ち込むのはなぜ?
人が深く傷ついたり落ち込んだりするのは、「理想・期待」と「現実」にギャップがある時です。
大好きな人に裏切られて深く傷つくのは、「良い人だと思っていた」という理想と、「裏切られた」という現実の差が大きいからです。
だから、明らかに性格の悪そうな人に裏切られるよりも、信じていた人に裏切られる方が心が深く傷つきます。
そのほか、話題の高級スイーツでガッカリしてしまうのは、「高評価や絶賛レビュー」によって高まった期待と、「思ったより普通だった」という現実にギャップがあるからです。
期待通りの味、期待を上回る味なら、「高かったけど買ってよかった〜」と満足できます。
でも、期待以下の味だとガッカリしてしまいます。楽しみにしていたり、期待していた分、「こんなものにお金を使ってしまった」という怒りが出ることもあります。期待値が高ければ高いほど、ガッカリしたり怒りを感じます。
実は、失敗についても、同様のことが言えます。
「失敗しない自分」という理想が強ければ強いほど、「失敗した自分」という現実に落ち込んでしまうのです。
「失敗したくない」「失敗してはいけない」という期待が強ければ強いほど、「失敗した自分」を許せません。
このようなケースにおいて、失敗による心のダメージを減らすには、失敗してもいいと自分に許可を与えてあげることが効果的です。
「失敗したくない」の裏には、「失敗しちゃダメ」という気持ちが隠れています。
「失敗したらよくないことが起こる」「失敗したら怒られる」「失敗したら嫌われる」といった、子どもの頃の記憶が影響していることも多いです。
そもそも人の脳は、禁止が苦手です。
「失敗してはいけない」と思えば思うほど、無意識に「失敗」を意識してしまい、本当に失敗を呼び込んでしまうこともあります。素直だったり真面目だったりする人ほど、この傾向は強いです。
「開けてはいけない」と言われた玉手箱を開けてしまった浦島太郎のように、「してはいけない」と禁止されると余計に意識してしまうのです。
だからこそ自分が自分に、「失敗してもいい」と許可を与えてあげてください。
失敗しないように努力する姿勢も大切ですが、それよりも「失敗してもOK」と捉え方を変える方が、毎日がグッと楽に過ごせるようになります。
「失敗してはいけない」と思うより、「失敗しても大丈夫」「失敗してもいい」と思う方が、失敗は減らせます。
禁止や恐怖での支配は、身体中に力が入って緊張状態になって、本来の力が出せなくなってしまうからです。これはスポーツの世界にも言えることですが、「絶対失敗するな!」と恐怖で支配されるより、「あなたなら大丈夫」と安心感を与えられる方が失敗しません。
矛盾しているように感じるかもしれませんが、失敗したくないからこそ「失敗してもいい」と思うことが、重要なのです。
この考え方が、「失敗しにくいという」という結果を生み出します。
失敗した自分を受け止める2つのステップ
「失敗してもいい」と捉えられるようになったからといって、失敗しなくなるわけではありません。
冒頭でお伝えしたように、どんな人でも失敗することがあります。生きているからこそ、何かを頑張っているからこそ、その過程で「失敗」と思える出来事が起こることもあります。
ここでは万が一の時に備えて、「失敗したときの受け止め方」を2段階に分けてお伝えしていきます。
1:結果を受け止める
「白黒思考はしんどい」「0か100かで考えない方がいい」とお伝えしていますが、仕事においては「できた」「できない」で判断されることが多いのも事実です。
試験なら合格・不合格がありますし、自分の案が通る・通らない…といった現実もあります。
たしかに、結果は変えられません。
でも、その結果は、それ以上でもそれ以下でもありません。
試験に「不合格」だったとしても、「不合格だった」だけです。
あなたがダメだという訳でも、他の人が優れていたという訳でもありません。
「結果は結果」として受け止めてみてください。
ショックでも良いし、悲しくても良いし、悔しくてもいい。納得して次に進もうとか、前向きに捉えられなくてもいいです。
「これは単なる結果」「結果は○○だった」、とだけ捉えるようにしてみて下さい。
過去にひどく落ち込んだとしても、今あなたがこうして前を向いて生きているように、時間が解決してくれることもたくさんあります。
だから、ひとまず「事実を受け止める」こと。これだけで十分です。
自分の心を騙してまでポジティブになれなくていいし、結果に無理して納得する必要はありません。
2:得たものに『気づく』
「結果は結果」と思えるようになったら、次の段階に進みます。
「なぜ失敗したのか」「どうすれば失敗しなかったのか」という原因探しは、しないでください。
この段階で考えるのは、「今回のことで何が得られたか」ということです。
結果がどうであれ、あなたは何かに挑戦し、挑戦する前よりも成長しています。
試験に不合格だったとしても、あなたの知識は確実に増えているはずです。勉強した時間が無駄になることはありません。
プレゼンが「認められなかった」としても、あなたが学びに費やした事実は消えません。学んだことが、思いもよらない場面で生きてくることもあります。
中には、「特に挑戦なんてしていないし、ただ失敗しただけ…」という人もいるかもしれません。
でも、それでも自分の限界に気がつくことが出来たのではないでしょうか?何が得意で何が苦手なのか、自分について知ることが出来たのではないでしょうか?
これも、立派な気づきです。
何もしなければ「失敗」は起こりません。失敗したのは、あなたが立ち止まっていないからです。
自分では何もしていないように思えるかもしれないけれど、あなたは確実に何かを頑張って生きています。この事実は、認めてあげてくださいね。
失敗したら嫌われる?人が離れていく?
- 失敗したら嫌われる…。
- 失敗したら人が離れていく…。
- 失敗したらみんなに迷惑をかける…。
- 失敗したら能力がないと思われる…。
- 失敗するのが恥ずかしい…。
このように思うことがあるかもしれません。
自分自身が「失敗してもいい」と思えるようになったとしても、あなたの周囲の人が「失敗するな」とプレッシャーを与えてくることもあります。
ですが、あなたが大切にすべきは、失敗しても寄り添ってくれたり、そっと見守ってくれる人です。
時には背中を押してくれる人も必要かもしれません。
あなたが失敗したときに笑ったり、否定したり、離れていく人は「そういう人」だと思いましょう。
あなたの成長や変化を喜べない人との関係は、長く続けられません。あなたが自分を犠牲にして我慢し続けない限り、どこかで終わりが来てしまいます。
とことん信頼したあとに気がつくのではなくて、「その時」気がつけた良かった。そう思える時が必ずやってきます。
2つのステップを経ても「失敗」が怖い時
今回ご紹介した2つのステップで、失敗が怖くなくなったり、失敗しても立ち直れるようになった人をたくさんみてきました。
でも中には、これらのステップの途中でブレーキがかかったり、「こんなの無理」「意味がわからない」「実践できない」と感じる人もいます。
このような人に多いのは、失敗したときに「また!」「ほーら、やっぱり」といった親や先生の声が蘇ったり、頭の中で再生されるといったケースです。
このような場合はまず、「蘇ってくる言葉」の影響を薄くしていく必要があるでしょう。失敗を受け入れる2つのステップに進むのは、そのあとです。
子どもの頃のあなたは、親や先生に対して、「自分が悪い」「いうことを聞くしかない」と思って感情に蓋をしてきたのかもしれません。
否定が多い場合には、考えないようにすることで、自分の心を守ろうとすることもあります。その結果、自分の気持ちがよくわからなくなってしまうことも珍しくありません。
大人になった今も、「過去に言われた言葉」があなたを苦しめているのなら、失敗から立ち直る2つのステップを実践する前に、過去に誰かから言われた言葉を振り返ることが必要です。
誰に何を言われ、どのような言葉が今も残っていて、どんな時に思い出すのか…。このことが分かれば、嫌な言葉を思い出す頻度を減らしていけます。
「失敗」が怖いのは、あなたの考え方や性格のせいではなく、過去の記憶のせいかもしれません。
※影響を薄くする方法については、書籍『もしかしてうちの親って、毒親?』をご参照ください。毒親ではなくても、心に傷を負うことがあります。