幼少期のトラウマにふと苦しくなるあなたへ──日常でできる、心をゆるめる方法
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
今日は、「ふとした瞬間に、過去の記憶が心をしめつける」という経験があるあなたへ、お話を届けたいと思います。
昔のことなのに、思い出したくないのに、ちょっとした出来事や誰かの言葉が引き金になって、胸がぎゅっと苦しくなる……
そのような経験は、ありませんか?
「そんなにひどいことされたわけじゃない」
「大人なんだから、忘れなきゃ」
「もう昔のこと」
そう自分に言い聞かせても、体が緊張してしまったり、涙が出てしまったり…。
でもそれは、決して悪いことではなく、あなたの中に『安心できなかったあの頃の気持ち』がまだ生きているということなんです。
その感情は“ダメ”ではありません
つらかった出来事をなかったことにしようとしたり、「もう気にしてない」と振る舞おうとしても、心や体は、ちゃんと覚えています。
怒りや寂しさ、不安や孤独――
それは、あなたが子どもの頃に言えなかった本当の気持ちです。
誰にも伝えられなかった声が、誰にも分かってもらえなかった思いが、今になってあなたの中で小さく叫んでいるのかもしれません。
大切なのは、その声を無理に消そうとしないこと。
そのままの気持ちに、今のあなたがそっと寄り添ってあげることが、とても大切なんです。
なぜそれが大切なのか…そのことについて、少しお話ししますね。
脳の中には「扁桃体(へんとうたい)」という、感情のセンサーのような部分があります。この扁桃体は、不安や恐怖を感じるときに強く反応して、体を守ろうとする指令を出します。
でも、その感情を「ダメだ」と否定したり、感じないように我慢してしまうと――
脳は「まだ危ない」「まだ安心してはいけない」と誤解してしまい、いつまでも心が緊張状態から抜けられなくなるんです。
だからこそ、大切なのは、
「いま、私はこんな気持ちなんだな」と、そっと認めてあげること。
そうすると、脳は「もう大丈夫だよ」と落ち着いていき、心もゆっくり緩んでいきます。
日常でできる小さな「心のゆるめ方」
残念ながら、過去の辛い記憶は、魔法のように一瞬で消えることはありません。(消えてくれたらどれだか良いだろうか、と切に思いますが…)
でも、日常の中にほんの少し、「自分の心をゆるめる習慣」を取り入れていくだけでも、固くなった心は、少しずつ、やわらかくなっていきます。
今日は、そんな簡単にできる方法を3つ、ご紹介しますね。
① ノートに「今の気持ち」をそのまま書く
モヤモヤしているとき、つらさを感じているときは、その気持ちを頭の中だけで整理しようとすると、かえって苦しくなってしまうことも。
そんなときは、ノートに書いてみてください。スマホに書き出してもOKです。
・なんか不安…
・さっきの言葉が引っかかっている
・またあのときみたいに、責められた気がした
・あの人の言い方、きらい!
まとまっていなくていいんです。
汚くても、感情のままでも大丈夫。
書くことで、気持ちは“外に出す”ことができます。
心の傷を癒すには、「傷つき」を心の中に閉じ込めたままにしないこと。
これ以上傷を深くしないこと。それが、何よりも大事なんです。
② 安心できるルーティンをつくる
子どもの頃、安心できる場所が少なかった人ほど、今も「自分で自分を落ち着ける方法」がわからないまま過ごしていることがあります。
そんなときは、“自分を落ち着ける時間”をあえてつくるのがおすすめです。
・お気に入りのハーブティーを飲む
・アロマの香りをかぐ
・お気に入りの毛布にくるまって深呼吸する
・人目が気にならない場所、時間を探してみる
この“安心のルーティン”が、あなたの「こころの避難所」になります。
何かあったときに戻れる場所があるだけで、人はずっと心強くなれます。
③ 小さい頃の自分に、やさしく声をかけてみる
ふとつらくなったとき、あなたの中で苦しんでいるのは、“過去のあなた”かもしれません。
「もっとちゃんとしなきゃ」
「こんなんじゃダメだ」
そう言われ続けた“過去のあなた”が傷ついたまま、その傷を大人になった今も引きずっていることもあるんです。
そんなときは、目を閉じて、心の中でこう語りかけてあげてください。
「あのときはつらかったよね。でも今はもう、大丈夫。」
「ちゃんと耐えてくれてありがとう。」
「もうひとりで頑張らなくていいよ。」
最初はうまくできなくても大丈夫。
でも何度も繰り返していくうちに、心の奥でこわばっていたものが、少しずつゆるんでいく感覚が生まれてくるはずです。
「不安」を与えているのは過去の記憶で、今目の前の状況は大丈夫、過去とは違う……そう思えるようになるだけで、日々の不安はどんどん小さくなっていきます。
最後に
「もう過去のことなのに…」
「こんなことで苦しくなるなんて、自分がおかしいのかな…」
そんなふうに思ってしまうこともあるかもしれません。
でもね、あなたがおかしいんじゃないんです。
それだけ、たくさんのことを我慢して、抱え込んで、今まで頑張ってきた証なんです。
だからこそ、無理に忘れようとしなくていい。
無理に許そうとしなくていい。
まずは「苦しかったね」と、今の自分が過去の自分に気づいてあげること。
その小さなやさしさが、
これからのあなたの心を、そっと守ってくれます。
焦らず、ゆっくり。
あなたのペースで大丈夫です。
必要なときは、いつでもご相談ください。
話を聞かせてくださいね。