「私が悪いんだ…」がもたらす最大のリスク~愛情のない母親が子どもに与える影響
こんにちは。
心理カウンセラーPocheです。
今日お伝えするのは、母親を無理やり許すことのリスクについて。
母親を許さなければいけない、許さないと前に進めない、許すべきだと苦しんでいる…
そのようなあなたに向けて、この記事を書いています。
「母親神話」がもたらすリスク
- 母親は子どもを愛する
- 母親は子どものことを第一に考える
- 母親は母性によって子どもを守る
- 母親は偉大で優しい心を持っている
- 母親は子どもの幸せを願っている
これらは世界的に信じられている「母親神話」の一部です。
しかし【>>以前の記事】でもお伝えした通り、「母性が生まれる魔法のスイッチ」など存在しません。
子どもを産んだだけで母性が芽生え、無条件に子どもを愛し、子どもに温かく接することなどありえないのです。
それにもかかわらず世の中の風潮は、子どもに母親神話を押し付けます。
親は子供を愛するという思い込みから「あなたが悪いから愛されないんじゃないの?」と子どもを責めたり、「産んでくれた親を悪く言うなんて…」と恩知らずの人間のように扱われることもあります。
すると子どもは、どうなるか。
真実から目を
背けるようになります。
母親の支配を「どの家も一緒だ」と納得し、過干渉を「愛ゆえだ」と思い、酷い言葉や態度を「自分のせいだ」と考えます。
母親にもこんなに良いところがある、優しくしてもらったこともあると、「わずかな良い記憶」をかき集めます。
そうすることで自分の心を守ろうとするのです。
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「母親の欠点」に目をつむるリスク
「母親にもこんないいところがある」と、欠点に目をつむって受け入れる態度は『よいこと』のように思えるかもしれません。
でもそれは、愛情を持つ「普通の親限定」です。
毒親の場合は、欠点に目をつむることが大きなストレスを生みだします。
あなたが好きなものを「くだらない」と言い、つまらないものを「楽しい!」と答え、いらないものを「わぁありがとう!」と答え、聞きたくない話に笑顔で対応する…。
あなたが感情を抑えたり、作り笑いで母親に接することで、家の中の平和は保たれるかもしれません。
でも、これらが家庭内で繰り返されていくうちに、あなたの感情は麻痺していきます。
そして大人になった時に、自分の気持ちが分からなくなります。
「何が好き?」と聞かれて、戸惑います。
自分の意見の代わりに、「お母さんは○○が好きだったな」と頭をよぎったり、「この人は何が好きと言ったら喜ぶかな?」と考えてしまうのです。
「何がしたい?」と言われて、戸惑います。
子どもの頃に親の言うとおりにしてきたので、「何をしたら怒られないかな?」「何ならしてもいいのかな?」「この人は何を求めているのかな?」と考えてしまうのです。
「好きにしていいよ」と言われて、怖くなります。
その人に見放されたように感じてしまうことがあります。
子どもの頃に毒親が言う「好きにしなさい」は、「あんたなんてもう知らない」という意味だったりしたからです。
母親を悪く言えない2つの理由
母親の欠点に目をつむり、自分が感じた事実を無かったことにする。
その理由はただ1つ。
母親を悪く言わないためです。
なぜ悪く言いたくないのか。
それは「母親を悪く言うことのリスク」について、子どもたちが無意識に実感しているからです。
正確には「悪く言いたくない」のではなく、「悪く言えない」ように親によってプログラムされているのです。
リスク1.母親神話がもたらす「罪悪感」
「母が産んでくれなければ私はいなかった」という思いがよぎる時、子どもは母親を非難することに強い罪悪感を感じます。
産んで育ててくれた母を悪く思う事でさえ、とてつもない背徳行為のように感じます。
例えば「母親は子どもを愛する」という母親神話は、「子どもを愛せない理由があるに違いない」と思い込ませます。
「母親も苦労した」「母親もかわいそうな人だ」と思うことで、「そんな母親を悪く言う自分」を責めることがあります。
「自分がダメな子だから愛されなかった」「いい子だったら愛されたのに」というように、自分のせいで母親が酷いことをしたと思い込もうとすることもあります。
このような母親に育てられた子どもに共通しているのは、自分に酷いことをした母親ではなく「自分」を責めてしまうということです。
なぜか。
その方が楽だからです。
母親を責める罪悪感に比べれば、「自分を責める方が何倍も楽」なのです。
恐らくこの感覚は、ふつうの親を持つ子どもには理解できないでしょう。
あなたが「自分が悪者になればいい」「自分を責める方が楽」と感じているのであれば、あなたの母親はほぼ確実に『あなたの心に悪い影響』を及ぼしています。
リスク2.愛されていない「悲しみ」
母親を悪く言えない隠れた理由が、そのことによる「深い悲しみ」と「喪失感」です。
愛して欲しかった唯一無二の母親に「ありのままの自分を愛されなかった」という事実は、想像を超える悲しみを伴います。
ふつうの親に育てられた人には到底理解できない、耐えがたいほどの喪失感です。
一言で感情を表すなら、「恐怖」に他なりません。
小さな子どもの頃だけでなく、成人しても、社会的に成功しても、家庭を持ったとしても付きまとう恐怖です。
この問題に直面するのを避けるために、「私の勘違いだ」「私が神経質すぎるのかも」「私のワガママだ」と自分の気持ちをごまかすことがあります。
真実を知ったら、自分に母親がいなくなってしまうと感じるからです。
だから「お母さんにも理由があった」とか、「私にも悪いところがあったのだ」と必死に納得しようとします。
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「すべて私が悪い」という刷り込み
大人になるにつれ、母親が自分にしてきたことに向き合うことが出来ることもあります。
母親と距離を取ることで、これまで起こったことを正直に語ることが出来るようになることもあります。
- 「母親は人として最低です」
- 「母は鬱状態なんです」
- 「母は私のことを言葉で虐待しました」
- 「母のような人には、なりたくありません」
- 「母のせいで頭がおかしくなりそうです」
これまで罪悪感を感じていた子どもが、母親に怒りの言葉を述べられるようになった時に「母親の影響から抜け出せた」と判断する医師やカウンセラーもいます。
でも私は、これだけでは不十分だと考えます。
これらの言葉は、安堵をもたらすには程遠いことを知っているからです。
というのも、愛情のない母親は子どもに「ある言葉」をプログラミングしています。
あらゆることを帳消しにしてしまう、ある言葉を。
「母親が私に何をしたにしろ、すべて私が悪い」
この言葉は、あなたが感じた事実を全て「無」に変えてしまいます。
母親が植え付けたこの間違ったプログラミングのせいで、あっという間に母親神話の呪縛に引き戻されてしまうのです。
ひとりで抜け出すのは、とても難しいです。
もしあなたがこれらのことで悩んでいたり、思い当たることがあれば、一度メールカウンセリングでご相談ください。
何十年と続いた親子関係なので時間はかかりますが、話すことで「自分では気づいていない母親の影響」から抜け出すきっかけが見つかるはずです。
Poche